最近、何かとAIが話題ですね。
将棋でも囲碁でも、だんだん人がAIに敵わなくなってきました。
でも、AIというのは、人間の脳の構造を模倣したものだということをご存知ですか?
しかも、今のITの技術では、膨大な人間の脳細胞をコンピュータで再現することはできないんです。
なのに、お手本の脳を持つ人が、AIに負けてしまうのはなぜでしょう?
いろいろな理由があると思いますが、その一つは、AIには無い「動物的な脳」が関係していると思います。
この動物的な脳との付き合い方を知ると、より快適な生き方ができるようになっていきます。
AI は人間の脳をプログラムでシミュレーションしています。
人の脳は、ニューロンという細胞がつながってできています。
以下のようなイメージです。
ニューロンは、複数のニューロンとつながっていて、それぞれのニューロンは、とても単純なことを覚えます。
どのニューロンから刺激が来たら、どのニューロンに刺激を送るとよいかということだけを覚えます。
これだけで、脳全体としては複雑なことを覚えたり判断することができるようになります。
AIはそれをプログラムで作ります。
ニューロンを模倣した単純な処理をするプログラムが沢山集まった構造で、以下のようなイメージです。
このAIがすごいのは、方程式やルールで表現できないことを判断できるということです。
例えば、正常時の機械の振動を教えておいて、故障で振動が変わると「なんか、おかしい!」と判断したり、普段のオフィスの動画を教えておくと不審者の侵入したときに「なんか、やばい!」といった判断ができたりします。
つまり、数式の塊のようなプログラムなのに、直感的な判断ができるようになります。
人間の脳は、以下のような構造になっています。
中心分が太古からある動物的な部分で、表面の方が知的な活動や、理性で律するための部分です。
動物的な部分は、快か不快で物事を覚えていきます。
動物的な部分の判断は、不安、嫌悪、衝動として感じます。
「なんかしらんけど、したくなる」といった感覚です。
知的な部分は、合理性や辻褄で覚えていきます。
将棋や囲碁で戦うのは、もちろんこの知的な部分の働きです。
今のITの技術では、人のニューロンの数を再現することはできません。
つまり、性能としては人の方が優秀です。
でも、注意しないと動物的な部分の衝動で、知的な部分の判断が惑わされます。
棋士などが負けた時のインタビューで「自分の考えを信じ切れなかった」というコメントを時々聞きます。
次の手を考える時の「正しい」という直感と不安の葛藤です。
言い換えると、知的な脳の直感と動物的な脳の直感の葛藤です。
動物的な脳の部分は、理屈で覚えるわけではありません。
例えば、過去の「変わった手を打って負けた」という経験から、「変わった手」と「負けた悔しい感情」を結びつけてしまいます。
知的な部分では、「変わった手」が負けの原因ではなく、手の内容や考え方の問題であることをわかっていても、動物的な脳は「変わった手」というだけで「負けた悔しい感情」を生み出すようになっていて、知的な部分の判断を惑わします。
特に、過去の失敗を後悔して何度もその悔しさをかみしめていると、感情が強く結びついて、不安が必要以上に強くなります。
逆に、ある手での成功の喜びを何度もかみしめると、不適切な誘惑に悩むことになります。
私たちは将棋の世界で勝つ必要はありません。
ですが、このような問題は日常的に起きています。
例えば、頼りたい人・関係を良くしたい人に悪態をついてしまったりします。
怒っても損なのがわかっているのに、怒ってしまったりします。
これらも、動物的な部分が覚えてしまった行動や感覚が関係します。
私たちは、日常的に動物的な脳の影響を受けて不適切なことをしがちです。
本来私たちが快適に生きられるために働く動物的な脳を、何かに執着することで不適切に働くように躾けてしまったのも自分です。
この問題については、マインドフルネスでは、以下のように教えます。
- 「反応」ではなく「対処」する
- 感情を受け流す・執着しない
「反応」というのは心(動物的な部分)が自動に導く衝動に従うことを言います。
「対処」というのは、意識的(知的な部分)な対応のことを言います。
マインドフルネスでは、自分の自動的な判断や動きに気づくために、以下のようなエクササイズがあります。
- レーズン・エクササイズ
- 歩く瞑想
棋士の羽生さんは「最後は、直感を信じる」といいます。
この知的な部分からの「直感」と、動物的な部分からの「衝動」を見分けるには練習が必要かもしれません。
そして、動物的な脳を味方につけるためには、執着につながる感情を受け流したりクリアする必要があります。
そうすると、動物的な脳がじゃませず、私たちの快適な生活に協力してくれるようになっていきます。



