嫌な夢を見た
ほんの数分の
うたた寝だった
奥底に沈めたはずの
鈍い記憶が
水面に顔を出し
孤独の世界へ
引きずり込む
10歳の私がそこにはいる
自己防衛のために
生まれた歪んだ心
いずれ訪れる別れに
翻弄されぬよう
出会いから別れを意識して
何が起きても
最小限の傷みで済むように
一定の距離以上は
立ち入らず
一定の距離以内は
立ち入らせない
気付くと
孤独だった
夢の中の私は
現実と同い年で
マンションの
ベランダに立っていた
3歳の頃住んでいた白いマンション
親しみのある
声が聞こえる
友人たちが芝生の上を
歩いている
大きく手を振り
声を掛ける
久しぶり
私もまぜてよ
声が出ない
彼らは気付かず
遠ざかっていく
焦る
何度叫んでも
小さなかすれ声しか
出てこない
もう
あの頃には戻りたくない
そう思った時
目が覚めた
あの頃に戻るのは
もう絶対に嫌だ
でも
あの頃身に付けてしまった
距離感は
今でも深く根付いている