12)満点を目指さない、完璧を目指さない
新型コロナ感染症のパンデミックにおける治療や看護では、今まで経験してきた
事が役に立たなかったり、本来ならやるべきケアができなかったりする場面が
多い。
世界規模のパンデミックは100年前のスペイン風邪以来であり、ベテランの看護師
も含め現役の医療関係者にとって初めての経験である。
混乱や戸惑いや正解のない中で間違うこともあるし、行き届かないこともある。
他人にも自分自身にも「まあいいか」と思い、特に重要なことでない限りは目を
つぶる事も仕方がない。
13)助けを求める
人間は進化の過程で集団を作り、生き残りために本能的に助け合けあいながら生き
てきた生物。
共感能力やコミュニケーション能力など「助け合うことが前提」のプログラムが
本能に備わっている。しかし、成長過程の中で、達成した成果よりも「人に迷惑を
かけない」「一人で成し遂げる」ことの方が素晴らしいこととされてきた。
(学校での教育や社会の風潮)
辛くなったら誰かに頼ることが本当に窮地に強い人で、本来の目的を
達成できる人なのだということを忘れずに。ためらわず助けを求めよう。
14)孤独にならない、同僚と仲間になる
援助者はストレスから簡単には逃げられない。また、新型コロナウイルス感染症は
差別や誹謗中傷などもあり、活動を公にできないこともあり孤独感を持ちやすい。
心配させたくない気持ちや特殊な状況により家族や親しい人にも辛さを話せなかっ
たり、話しても共感されることは少なく、慢性的に孤独になり感情や気持ちに
悪影響が及ぶ。研究によれば、社会的孤立とうつ病の間には「相互関係」がある
ことが分かっている。
また、孤独を感じることによって、そのストレスから体の中で炎症反応が起こった
り、免疫系が弱まることも確認されている。
同じ状況で活動する同僚は共通する困難や辛さを抱えており、感じているストレス
や身体の反応、湧き出てくる感情など共感し合えることが多い。「わかってくれる
人がいる」という気持ちや共感は自身の心の支えとなる。
「わかってもらえない」「自分だけがこんな思いをしている」という孤独感は同じ
経験をした人と話すことで癒される(セルフヘルプグループ)
セルフヘルプグループとは
疾病や障害、依存症、精神障害、犯罪被害や遺族など、様々な生きづらさ共通の問題を感じる人々が自主的につながるグループ。共感の中で悩みを打ち明けたり、問題解決のために経験や情報を分かち合い、相談活動や社会に理解を広める活動を行っている。患者の会などがよく知られている。
困ったら助けてくれるという安心感、助けてと言える関係、相談しやすい環境で
働くことは自分を守ることにもなる。
安心して働ける環境は勝手に整う事も誰かが作ってくれるものではない。
積極的に助け合える仲間や雰囲気を作っていくことは最終的にはセルフケアであ
る。被災地で活動する看護師は自分でストレスの症状に気がつかないことが多いの
で仲間同士でお互いの状態を観察し合い、声を掛け合い、危険なストレス症状を
早期に発見できるようにしている。自分や同僚の頑張りすぎを防ぎ、いつもと様子
がおかしいなと思ったら同僚や上司などに伝えて心身が不調になる前に手当できる
ようにしていくことが大切。