はじめまして。心理カウンセラーの 高緑ひろみ です。
 主にアダルトチルドレンの方の心理カウンセリングを行っています。

 アダルトチルドレンとは、子どもの生育に悪影響を与える機能不全家族のもとで育ち、成長してもなお、精神的にその影響を受け続ける人々のことです。

 あなたが何故かわからないけど上手くいかないなぁとか、生きづらいなぁと感じているなら、もしかしてアダルトチルドレンかもしれません。

 

 本日は、「親と独裁者の違い」についてお話ししようと思います。
 

 では最初に、子どもにとって最も恐ろしい親について考えてみましょう。
 
 子どもにとって最も恐ろしい親は、独裁者と化した人間です。

 親が独裁者と化してしまえば、もはやその人間は「親」ではなく「独裁者」です。

 では、「独裁者」とはどのような人間なのでしょうか?
 

  • 家庭の中で、絶対的な権力を行使する支配者。

 

  • 子どもの意思や趣向は無視し、親の独断で物事を決める。

 

  • 親指導の下で子どもが失敗したら、全て子どもに責任をなすりつける(親自身が責任から逃れるために、子どもに自己責任を強要する。親子逆転)。

 

  • 食料を与えてもらっている子どもは、親に奉仕し、親孝行することが当たり前だと考えている(主人と奴隷の関係)。

 

  • 子どもの食べ物や居住スペース、時間、言動などを全てにわたって管理拘束し、自由な権利を与えない。

 

  • 子どもが親の言いなりになることを絶対とし、口答えをすることは許さない。

 

  • 子どもが親の期待に応えられない場合は、食事を与えなかったり、罰を与えたりして、恐怖心を植え付ける(親はこのような虐待を躾と称す)。

 

  • 親は、食料を与え、必要最低限の世話をし、学校に通わせればそれで完璧だと考えており、子どもはそのことに感謝しなければならないと思っている。

 

  • 親は、子どもの心まで育てる必要は無いと思っている。

 

  • 親の夢を子どもが叶えるのは、当たり前だと思っている(親自身が自分で夢を叶えようとは思わない)。

 

  • 食べさせて世話してもらっているのだから、子どもが親の機嫌を取るのは当たり前だと思っている。

 

  • 親は、子どもを将来自分に奉仕させる(社会的や経済的、介護奉仕的に利用する)ために、今投資をしていると考えている。

 

  • 親は、本当は子どもなどどうでもよいが、社会の対面上しかたなく世話をしている(親自身を最優先したい欲求が強い)。


 これは、職場のパワハラにも似ていますが、職場の場合は大人同士です。

 しかし、親子の場合は、周りの世界から隔絶された家庭の中であり、しかも大人と子どもの関係です。

 そのため、弱い立場の子どもがいかに恐怖を感じているかは、想像に難くないと思われます。

 このように極端な独裁者ではなくても、これに似たような親であれば、もはやその人間は親とは呼べないのではないかと私は思います。

 「親心」からこのようなことをしたのであれば、それは「親心」からではなく、「独裁者の心」からだと言うべきでしょう。


 「独裁者の心」を簡単にまとめると、

  • 本当は、子どもよりも自分を最優先したいと思っている。

 

  • 自分は全て正しいと思っている、または思いたがっている。

 

  • 子どもは未熟だから、自分が子どもの未来を創造しなければならないと思っている。

 

  • 自分の思い通りにするためなら、子どもに何をしても許されると思っている。

 

  • 子どもが道を踏み外しても、それは子どもが自分の言う通りにしないからだと信じている。

 

  • 子どもは自分のすることに無条件で感謝しなければならないと思っている。

 のようなものではないかと私は考えます。


 このような考えが脳裏をよぎったことは、大人なら誰しも一度はあるのではないか思います。

 そして、多くの親たちは立ち止まって考え直し、一生懸命子育てをしていると私は信じています。



 

 そこで、「親心」から「独裁者の心」になってしまう原因とは、どのようなことなのかについて考えてみました。

 私の場合、親子の絆で最初に思い浮かぶ言葉は「遺伝子」でした。

 遺伝子は染色体ごとにまとまって伝わりますので、子どもに伝わる遺伝子の組み合わせは染色体の組み合わせで決まります。

 母親から受け継ぐ染色体は23本ですが、母親は23本を2セット持ち、そのどちらかが受け継がれますので、子どもに伝わる染色体の組み合わせは2の23乗(=8288608)通りです。

 また、同様に父親から受け継ぐ染色体の組み合わせも2の23乗(=8288608)通りなので、子どもが受け継ぐ染色体の組み合わせは(8288608)x(=8288608)≒約70兆通りになります。

 また、子どもは父親と母親のDNAをそれぞれ受け継ぎますが、その時に突然変異でどちらにもないDNAが70個できるそうです。

 まさに、人類が生き残るために、多様性を生み出すシステムが「遺伝子」にはあります。

 同じ両親から生まれる子どもは、約70兆通りの性質を持っているのですから、兄弟姉妹が違うのは当然ですよね。

 兄弟姉妹も、全く違う親から生まれるよりは似ているというだけのようです。

 だからこそ、トンビが鷹を産んだり、蛙の子は蛙だったりするのでしょう。

 また、性についてもスペクトラム(連続体)であることがわかってきており、約70兆の組み合わせの結果など、人間の想像を遥かに超えていますよね。

 親子は似ると言いますが、似ている所も多少はあるくらいに考えている方が良さそうですし、生活習慣が似ているのは「遺伝子」とは関係ありません。


 

 つまり、親子といえども、遺伝子の組み合わせ的には全く別々の異なった人間なのです。

 それを認識することが、「独裁者の心」にならないためには大事なことだと私は思います。

 そのため、親ができるから子どももできるだろうと思い込むのは、とても危険なのではないかと思います。

 それよりも、子どもの性質や潜在能力をたくさん発見し、その活かし方を話し合って、社会に折り合いをつける方法を一緒に考えていくことが大切なのではないでしょうか。

 テーブルの上に子どもの性質や価値観、潜在能力などをたくさん並べて、それを社会でどう活かしていくのかを考えるのは、とても楽しい作業だと思いませんか?

 その方が親も子どもも楽しいですし、人生に一度しかない素晴らしい青春時代を子どもが十分に体験できることは、とても素晴らしいことだと思います。

 青春時代の体験が、子どものアイデンティティ(自己の存在証明)形成を促します。

 幼い頃からの原風景や思春期の出来事が、大きな影響を与えるのです。

 故郷や民族の習慣に愛着を感じるのはそのためです。

 そして、その完成されたアイデンティティ(自己の存在証明)こそが、精神の核となります。

 アイデンティティ(自己の存在証明)は、自己の尊厳と言われるものの具体的な中身です。

 どの国に住みから始まり、どのような性質で、どのような価値観を持ち、どのような性自認や性指向か、どのようなことに幸福を感じるかなど多岐に渡ります。

 精神の核があれば、高学歴でなくても、社会との折り合いの付け方さえ学んでいれば、人はたくましく生きて行けます。

 これから求められる人材は、指示されたことを忠実に実行するタイプではなく、「自分で考え、自分で決めて、自分で動く」タイプだと言われています。

 子どもが何に興味を持ち、どんなことに感動するのかを観察し、その体験ができるようにサポートしながら、社会のルールも教えていけたらいいですよね。

 親子関係だけでなく、人間関係全般に言えることは、言葉を使って丁寧に話し合うことです。

 その姿勢を子どもに自ら率先して見せることで、子どもの社会性は自然と身に付いていくと思います。

 親自身が「独裁者の心」になっていなければ、子どもには笑顔があふれています。

 子どもの笑顔が少なくなった時は、「独裁者の心」になっているサインだと思ってください。


 

 前回と同じく、今回もセルフケアの方法をご紹介いたします。

 下記の方法は、時間や場所を気にせず、いつでもどこでもできますが、眠りにつく前に今日あったことを振り返るのにもお勧めです。

 このセルフケアがすんなりできるようになったら、少し長く自分と対話するように心がけてみてくださいね。


 <いつでも、どこでもできるセルフケア>

(一旦深呼吸をしてから)

「そうだよね。(自分の気持ち/ネガティブ感情大歓迎)よね」
「うん、うん。わかるよ」
「でもね、大丈夫だよ」
「よく頑張ったね。(自分の気持ち/ポジティブ感情)」
「いつもありがとう」

と自分に語りかけてみましょう!(独り言をつぶやく感じで。ぬいぐるみを抱きしめながら、つぶやいてもいいですよ)

※特に、自分の感情に注目してくださいね。
※これらの言葉をあなたがつぶやきやすい言葉にして、使ってみてください。
※感情の言葉は、複数選択可能です。


〇ネガティブ感情:
(腹が立った、悲しかった、つらかった、苦しかった、寂しかった、悔しかった、怖かった、羨ましかった、妬ましかった、ショックだった、恥ずかしかった、嫌だった)など。


〇ポジティブ感情:
(大好きだよ、エライね、スゴイね、素晴らしいね、心が広いね、かっこいいね、立派だね、サイコーだね、成長してるね、頼もしいね、よくできたね、素敵だね、その調子だよ、ステージ上がったね)など。


 アダルトチルドレンの皆さまが親になり、子どもを育てることは容易なことではありません。

 セルフケアで自分自身と対話して、これまで頑張ってきた自分を優しくねぎらって、ありのままの自分を認めてあげてくださいね。

 大人としての表現力を駆使して子どもとコミュニケーションを取り、アイデンティティ(自己の存在証明)を、子どもと一緒に自分の分まで探してみましょう。

 きっとアダルトチルドレンの皆さまにも、新しいアイデンティティが見つかりますよ。

 そうは言っても、親も生身の人間です。

 しんどい時もたくさんあるでしょう。

 家庭はチーム。

 チームのリーダーは、つらいですよね。

 そんな時は、親も大変なんだよと、あっけらかんと自分の弱さをさらけ出して、子どもと笑い合えればいいなと思う今日この頃です。


【参考文献】
NHKスペシャル人体II 遺伝子. 医学書院, 2020.


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