はじめまして。心理カウンセラーの 高緑ひろみ です。
 主にアダルトチルドレンの方の心理カウンセリングを行っています。

 アダルトチルドレンとは、子どもの生育に悪影響を与える機能不全家族のもとで育ち、成長してもなお、精神的にその影響を受け続ける人々のことです。

 あなたが何故かわからないけど上手くいかないなぁとか、生きづらいなぁと感じているなら、もしかしてアダルトチルドレンかもしれません。

 

 今回は、最近話題になっている「ジャニーズ事務所性加害問題」について考えてみたいと思います。

 一番重要な問題点は、2000年(平成12年)に成立した下記の法律の定義にあると思います。


児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)

(児童虐待の定義)


第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。


わかりやすく言うと、

現行の児童虐待防止法とは、


児童虐待を防止するための法律で、2000年(平成12年)5月に成立し、2000年11月から施行されました。

最終改正は、2007年(平成19年)6月1日。

児童虐待防止法では、「何人も児童に対し、虐待をしてはならない」と国民全員に警告しているかのように書かれていますが、この法律で裁かれるのは(児童虐待の定義)にあるとおり、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)のみです。
つまり、養育者のみということです。

児童相談所の権限を強化し、教師や医師、弁護士などに児童虐待を早期発見する努力義務を課しています。

保護者が18歳未満の子どもに対して行う下記の行為を「児童虐待」といいます。
①身体的虐待
②性的虐待
③ネグレクト
④心理的虐待

 ちなみに、学校の教職員が児童に対して行う性暴力については、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が令和3年(2021年)6月4日に公布され、令和4年(2022年)4月1日から施行されています。

 つまり、これまで第三者の大人(教職員以外)が児童に性暴力を行った場合の法律は、存在していなかったということです。

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題を裁く法律が、日本には無かったということが問題なのではないでしょうか。

 法律が存在しなければ、現在ジャニー喜多川氏が生きていたとしても、罪に問われることはありません。

 もちろん、被害者も告訴はできないでしょう。

 ジャニーズ事務所では、スタッフたちが児童のタレントたちを故ジャニー喜多川氏のもとに送り届けていたのですから、会社の体質そのものが異常でした。

 しかしながら、ジャニーズ事務所という会社が、児童に対してセクシャルハラスメントを常態化して行ってきたブラック企業だったとしても、そのことを被害者側が証明するのは簡単なことではありませんよね。

 これは、セクシャルハラスメントの法律ができる前の状態とよく似ています。

 従業員に罪が無いように、ジャニーズ事務所に所属しているタレントには全く罪はありません。

 児童のセクシャルハラスメントを常態化したジャニーズ事務所の会社の責任であり、問題です。

 今もジャニーズ事務所に所属しているタレントの人たちが、被害者たちを助けられなかった自分を責めたり、世間からの誹謗中傷にあわないことを切に願います。

 

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題が最初に報道されたのは、1965年。

 社会人の感覚で考えれば、それ以前から児童の性虐待が行われていたことは想像に難くないでしょう。

 それから故ジャニー喜多川氏が2019年に死去するまで約54年間余り。

 児童たちの夢を餌に、50年以上の長きにわたり、やりたい放題してきたということですね。

 週に1人が性的虐待を受けていたと仮定して、約2500人以上の被害者が存在するのではと予想している人もいます。

 これまでのジャニーズ事務所は芸能界の中でも絶大な影響力を持っており、生前のジャニー喜多川氏はそのトップです。

 1965年以来、何度となく所属タレントが暴露本を出版しても、ジャニーズ事務所の影響力は拡大していきました。

 そして、ジャニー喜多川氏の葬儀には、当時の安倍晋三首相も弔電を送るほどだったそうです。

 そんな大きな企業に対して被害者が絶望を感じ、「自分が何を言っても、誰も信じてくれない」と思うのは、当然のことかと思います。

 性的虐待は、とても個人的でデリケートな問題ということもあり、証明することが非常に困難です。

 そもそも、スマホで鮮明な動画を撮影できるようになったのは最近のこと。

 だからといって、そもそも法律が無いのだから、動画を撮影しても警察には提出できないし、裁判なんて起こせません。

 SNSにアップすれば、その動画は永久にインターネット上に保存され、消えることはありません。

 あなたなら、どうしますか?

 

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題がここまで社会現象になったのは、イギリスBBCニュースのドキュメンタリー番組がきっかけでした。

 これは、BBCニュースが日本の私たちに送ってくれた「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律をつくりなさいよ」というメッセージだと私は受け取りました。

 このムーブメントを大切にして、「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律」をつくるためにも、日本のマスコミにはもっと頑張ってもらいたいものですね。

 これまでマスコミ企業が利益を優先するあまりに、日本の子ども達を悲しませてきた罪は、非常に大きいと思います。

 日本のマスコミは、ジャニーズ事務所に所属しているタレントたちの尊厳を守りながら、ジャニーズ事務所の企業体質の現状について逐一報道することが求められると考えます。

 報道のやり方を工夫すれば、タレントたちの尊厳を守りながらの報道は可能なのではないでしょうか。
 
 せっかく起きている「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律」をつくろう!というムーブメントを、日本のマスコミは潰さないでいただきたいです。

 児童を守るという認識が、社会の人々を守るという認識を育てます。

 多くの人たちの認識が、社会を少しずつ変えていくのだということをどうぞ信じてください。

 また、SNSは、こういう時にこそ素晴らしい力を発揮して欲しいと願っています。

 

 あなたの子どもが、第三者からの虐待の被害に遭わないように、「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律」をつくる運動をもっと盛り上げていきましょう!

 ちなみに、現行の「強制性交罪」の刑法の改正案が、衆議院本会議で全会一致で可決され、参議院に送られました。

 詳しい内容は、こちらをご覧ください。

 衆議院解散が噂されている中、「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律」をつくる絶好のチャンス到来です!
 

 

 もしもあなたに「押しのアイドル」がいるなら、その人のためにこの法律をつくるムーブメントを応援しましょう!

 アダルトチルドレンの人たちは、幼い頃からの毒親たちの刷り込みにより、社会は酷い所だと思いがちですが、素晴らしい人たちはたくさんいます。

 

 私の思い込みだったら、ごめんなさい…。

 ジャニーズ事務所の性加害問題の被害者たちのように、二次被害に苦しむことを覚悟しながら、「日本の子ども達を第三者の虐待から守る法律」をつくろうと一生懸命になっている姿に、私は勇気をもらっています。

 彼らが願っているのは、「自分たちのように児童が第三者から虐待を受けることがない社会」です!

 セクハラやパワハラは、大人でさえもつらい体験です。

 社会で子ども達を守るためには、大人と同じように法律をつくることが大切だと思う今日この頃です。

 

 

追記 (2023-06-08)

 このブログを読んでいただいた皆さまへ

 ブログ内に記載された内容に誤りがありましたので、ご報告いたします。


 その部分は、
 
 「つまり、これまで第三者の大人(教職員以外)が児童に性暴力を行った場合の法律は、存在していなかったということです。

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題を裁く法律が、日本には無かったということが問題なのではないでしょうか。

 法律が存在しなければ、故ジャニー喜多川氏が罪に問われることはありません。

 もちろん、被害者も告訴はできないでしょう。」

 です。

 
 実は、性加害問題に対する法律は存在していました。

 それは、「青少年保護育成条例」「青少年健全育成条例」「強制わいせつ罪(刑法第176条)」「強制性交等罪(刑法第177条)」「準強制わいせつおよび準強制性交等罪(刑法第178条)」「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」「児童福祉法」などです。

 したがって、「故ジャニー喜多川氏の性加害問題を裁く法律が、日本には無かった」というのは誤りでした。

 2023年6月8日以前に、このブログを読んでいただいた皆さまにはご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。

 この過ちを深く反省し、真摯に確かな情報収集を行い、精進いたします。

 もしもお許しいただけましたら、引き続き『アダルトチルドレンの安全基地』をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

【参考文献】
“ジャニーズ事務所社長が謝罪するも……第三者調査求める声 性加害問題で.” BBC, 16 May 2023, https://www.bbc.com/japanese/65606160. Accessed 4 June 2023.

“BBC Two - Predator: The Secret Scandal of J-Pop.” BBC, https://www.bbc.co.uk/programmes/m001jw7y. Accessed 4 June 2023.

“児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)|厚生労働省.” 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv22/01.html. Accessed 4 June 2023.

“強制性交罪を「不同意性交罪」に変更など刑法改正案が衆院可決 | NHK.” NHKニュース, 30 May 2023, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230530/k10014082701000.html. Accessed 4 June 2023.

“児童生徒等に対し性暴力等を行った教員への厳正な対応について:文部科学省.” 文部科学省, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/mext_00001.html. Accessed 4 June 2023.
 

 

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