はじめまして。心理カウンセラーの 高緑ひろみ です。
主にアダルトチルドレンの方の心理カウンセリングを行っています。
アダルトチルドレンとは、子どもの生育に悪影響を与える機能不全家族のもとで育ち、成長してもなお、精神的にその影響を受け続ける人々のことです。
あなたが何故かわからないけど上手くいかないなぁとか、生きづらいなぁと感じているなら、もしかしてアダルトチルドレンかもしれません。
アダルトチルドレンの人たちは、「マインドコントロール」をどのように捉えていらっしゃるでしょうか?
「マインドコントロール」と似た言葉に、「洗脳」があります。
ここで、言葉の定義についてご紹介します。
「洗脳」とは、過去の考えや価値観を悪いものだとして、それを洗い流して排除し、新しい考え方に置き換えてしまうことです。
虐待、拷問、違法薬物、電気ショックなどを用いて、人間の思想や主義を強制的に変えさせます。
「マインドコントロール」とは、心の隙間に入り込み、不安や罪悪感を刺激して感情に訴え、相手の考えや価値観を変えるように導くことです。
過去の考えや価値観を悪いものだとして、それを洗い流して排除し、新しい考え方に置き換えてしまうことは同じです。
ただし、暴力などは使わず、あたかも「自分がそうしたいから、そうする」というように、自分の意思でそうしているように仕向けていきます。
周囲からは気づきにくいため、広がりやすい危険性があります。
暴力を伴わないパワハラやモラハラも、このタイプと言えるでしょう。
そして、身近なマインドコントロールでは、「子育て」や「教育」というものがあります。
「子育て」や「教育」は、まだハッキリした考えや価値観を持っていない子どもに、新しい考えや価値観を与え、社会に適応して生きていける大人に育てることが最終目標です。
そもそも、子どもは過去の考えや価値観を洗い流して排除しようにも、過去の考えや価値観がほとんど存在しないのですから、そこに新しい考え方を刷り込んでいくという点では、良くも悪くもマインドコントロールをされている状態と言えるでしょう。
そして、悪いマインドコントロールが子どもの心にたくさんの傷を与えてしまい、そのことが大人になったアダルトチルドレンの生きづらさの原因となっているのです。
今回は、(宗教)によるマインドコントロールについて考えてみたいと思います。
宗教と言うと、海外の人たちに比べて日本人には馴染みが無いように思う人も多いかと思います。
『信仰の自由に関する国際報告書(2021年版)-日本に関する部分、第1節 宗教統計』によると、日本の主な信者数は下記のとおりです。
- 神道 8890万人(48.6%)
- 仏教 8480万人(46.3%)
- キリスト教 190万人(1%)
- その他 740万人(4%)
※ちなみに、創価学会の信者は日本で827万世帯いるそうです。
日本の宗教は、様々な地域の行事や慶弔の儀式に関係が深く、生活に根差しているものという認識が強いですよね。
特に日本は、第二次世界大戦までは天皇という神様が、天皇に絶大な権力を与えた大日本帝国憲法の下で、一部の有力者(貴族など)や満25歳以上の男性たちとともに日本を統治していました。
ご存じのとおり、政治は国民に絶大な影響を与えますが、宗教もまた政治に絶大な影響を与えている要素の一つです。
現代の日本国民の意識に深く影響を与えている宗教が儒教です。
そして、その儒教の流れをくむ儒学一派の学問である『朱子学』は、江戸幕府が奨励したことで、私たちに最も大きな影響を与えているのではないかと考えられています。
儒教は中国の孔子によってつくられた政治道徳思想で、儒学はその後継者たちによって実践倫理と政治哲学が加えられ、教育の教材として使いやすいように体系化された学問です。
江戸幕府が『朱子学』を奨励したのは、封建制度を維持管理するために都合が良かったから。
いつの世も、当時の政権に都合のよい宗教や学問が国民をまとめ、支配し、管理するために利用されます。
体系立ててつくられたある意味完璧なメソッドである宗教や学問は、政権の権力者たちにとって最高のツールだからです。
『朱子学』の基本理念は、「理」の追求です。
この世の全てのものは、「理」という原理原則のもとに存在し、人もみな同じだと考えました。
「理」とは、物事の筋道。道理。
つまり、筋道や道理に従うことが一番大事だということですね。
その筋道や道理は、誰が決めるのでしょうか?
それが江戸時代では、江戸幕府だったのでしょう。
そして、現代は政府与党ということでしょうか。
政治に対して様々な批判や不平不満があるにもかかわらず、自由民主党の長期政権がこれほどまで続いているのは、日本国民に「お上に任せておけば大丈夫」という潜在意識があるからなのではないでしょうか?
そもそも、宗教の教えや学問そのものは、本当に素晴らしいものです。
問題なのは、その素晴らしい教えや学問を権力者たちが国民を支配するために、都合のいい所だけ取り出したり、解釈を変えたりして利用することだと思います。
これこそが、まさに権力者たちが宗教を利用して、国民をマインドコントロールするやり方です。
私たちは、まんまと権力者たちに騙されないように、常に目を光らせていなければなりませんね。
ちなみに、宗教の教えを本当にザックリご紹介すると、
- 儒教・・・「修己治人(しゅうこちじん)」。己が道徳的修養を重ね、そのことによって己と周囲の人たちを治めるという政治思想。
- 仏教・・・諸行無常の世界の中で、生きる目的を見つけ、その目的を達成するための方法を説いた教え。心理学や哲学、脳科学、社会学の要素がつまった教え。
- キリスト教・・・「愛(アガペー:大切にする、尊重する)」。「父である神を愛し、自分のように隣人を愛すること」を最も大切にした教え。
ブッダもイエス・キリストも、お金や権力に執着することなく、弱き者たちに寄り添い、守ることに生涯を捧げた聖人です。
一方で、その崇高なキリスト教が権力者たちに悪用されたケースが、16世紀のカトリック教会による免罪符(罪の償いを軽減する証明書)の販売です。
イエス・キリストは、神にお金は必要ないのだと説いていたにもかかわらず、当時のカトリック教会は、免罪符を販売して多額の利益を得ようとしました。
教祖の教えと宗教団体(教会など)は、全くの別物です。
日本では宗教と言えば、宗教団体と同じだと考えがちですが、天と地ほどの違いがあり、宗教団体は宗教の教えを利用して運営している組織に過ぎません。
その宗教団体が素晴らしい行いをして多くの人たちから尊敬される組織となるかは、その組織を運営している責任者次第なのではないでしょうか。
もう一つ、キリスト教に関係した歴史上の出来事に、「魔女狩り」があります。
13〜18世紀の長き(約500年あまり)にわたって行われ、民衆の面前で魔女として焼き殺されるというものです。
その中には男性たちもいたそうです。
社会の中で孤立した弱者を魔女に仕立て上げ、社会の不満を権力者たちからそらせる意味合いもあったとされます。
まさに、生け贄。
1339〜1453年の英仏百年戦争では、あの有名なジャンヌ・ダルクも魔女として英国軍に焼き殺されました。
当時の権力者たち(王や司祭、教皇、貴族など)は、自分たちに都合が悪くなるたびに、弱者を生け贄にしてきたのです。
権力者たちは、自分たちの身を守るために、多くの罪のない女性たちを殺害したのです。
彼らに、キリスト教の聖書を所持する資格はありませんよね。
「神は皆を等しくお救いになる」「父である神を愛し、自分のように隣人を愛することで救われる」と説いたイエス・キリストが、そのようなことを許すはずがありませんから。
現代の我々は、インターネットやAI(人工知能)の発達によって、多くの知識を知ることができるようになり、権力者たちの悪行も知ることができるようになっています。
そのような時代だからこそ、改めて物事の本質を自分の頭で考え、権力者たちにマインドコントロールされないようにしたいものです。
権力者たちは、少しずつ少しずつ自分たちの都合のいいように変化させていきます。
そうすれば、多忙な生活を送っている私たちに気づかれないとわかっているから。
「気づいたらスマホに召集令状が届いた」なんてことにならないように、「お上に任せておけば大丈夫」などという無意識の固定観念に気づいたら、即!取っ払って、自分の頭で考えるようにしましょう。
戦前は天皇や貴族、満25歳以上の男性が選挙に参加していましたが、戦後1945年に衆議院議員選挙法が改正され、20歳以上の男女も選挙に参加できるようになりました。
つまり、20〜24歳の男性と20歳以上の女性には政治に参加する権利が無かったのです。
それは、日本の社会人として認められなかったということであり、日本社会の中で自分では何一つ決められない奴隷と同じ扱いだったということでしょう。
成人した日本国民全員が人間扱いされるようになって、まだ約78年です。
特に、成人した女性たちは全員、約78年前まで奴隷と同じ扱いでした。
人権の意識というのは、なかなか発展していかないものですね。
権力者たちの動向に関心を持ち、宗教の教えを悪用しないように注視し、「日本国憲法」の国民の権利をフル活用して、住みやすい日本の国をつくっていきたいと願う今日この頃です。
【参考文献】
“信仰の自由に関する国際報告書(2021年版)-日本に関する部分.” U.S. Embassy & Consulates in Japan, https://jp.usembassy.gov/ja/religious-freedom-report-japan-2021-ja/. Accessed 26 May 2023.
“基本情報|創価学会公式サイト.” 創価学会, https://www.sokagakkai.jp/about-us/. Accessed 26 May 2023.
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