失礼なヤツ | どんな人生を歩んでも最後は幸せになれる

どんな人生を歩んでも最後は幸せになれる

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「ありがとう」と言えなかった私に、

やさしく教えてくれた先輩

社会人になったばかりの頃のことです。

私は、

職場の人とのコミュニケーションが、

あまり得意ではありませんでした。

今振り返ると、
「どうして、そんなこともわからなかったんだろう」
と思うようなことは、たくさんありました。


あるとき、

同じ県の出身者が集まる職場の懇親会がありました。

その中で、

ビンゴ大会が行われたんです。

ビンゴ大会では、

職場の幹部の方が景品を当てました。

すると、その方が私に、
「これ、君にあげるよ」
と、景品を渡そうとしてくれました。

そのときの私は、何も考えずに、
「これ、持ってるから、いらないです」
と答えました。

自分では、正直に答えただけでした。

すると、

たまたま横にいた女性の先輩が、

私にこう教えてくれたんです。

「こういうときは、ありがとうございますと言って受け取るのよ」

その言葉を聞いて、
「ああ、そういうものなのか」
と気づきました。

そして、言われたとおり、
「ありがとうございます」
と言って、景品を受け取りました。

それは、

社会人としては当たり前のようなやり取りです。

相手が自分のために何かをしてくれたら、

まずは感謝を伝える。

たとえ自分がすでに持っているものでも、

相手の気持ちを受け止めてから、

必要かどうかを伝える。

そういう振る舞いが、

コミュニケーションでは大切なんですよね。

ところが、当時の私は、

そうしたことがよくわかっていませんでした。

相手の気持ちを考えることや、

場面に合った振る舞いが、

うまくできなかったんです。

そして、

私のような人間にとって、

あの先輩の存在は、

とてもありがたいものでした。

なぜなら、

どうすればいいのかを、

やさしく具体的に教えてくれたからです。

当時の私は、

自分の言動によって相手を怒らせてしまうことがありました。

相手が不機嫌になったり、

怒っていることはわかります。

それが、
「なぜ怒っているのか」
「自分の何がいけなかったのか」
「次はどうすればいいのか」
ということが、わからなかったんです。

しかし、

社会人としての常識を

大人になってから教えてくれる人なんて

めったにはいません。

 

そして
理由を教えてもらえなければ、

改善しようと思っても、

何を直せばいいのかわかりません。

ただ怒られるだけでは、

同じことを繰り返してしまうこともあります。

人との関わり方は、

子どもの頃からの経験を通して、

少しずつ学んでいくものです。

あいさつの仕方。
相手への気遣い。
会話の順番。
場面に合った言葉の選び方。

こうしたことを、

家族や友だちとの関わりの中で学ぶ人も多いでしょう。

ところが、

子どもの頃から人と関わる機会が少なかったり、

友だちをつくることが難しかったりすると、

そうした経験を十分に積めないことがあります。

 

私の場合は、

子どもの頃から、

友だちと遊ぶという経験が

ほとんどありませんでした。

特に発達障害の特性がある人の中には、

相手の気持ちを読み取ることや、

場面に合った対応をすることに難しさを感じる人もいます。

もちろん、

発達障害のある人がみんな

コミュニケーションを苦手としているわけではありません。

人によって得意なことも、

苦手なことも違います。

ただ、

多くの人は、

周りの人の様子を見ながら学んでいくことが、

見て学ぶことができなかったりします。

 

そんな人でも、

その理由や方法を教えてもらうことで、

少しずつ身につけていける場合があります。

私自身は、あの先輩に教えてもらったことで、
「そういうときは、そう言えばいいんだ」
と学ぶことができました。

もし、あの先輩が何も言わずに、
「なんて失礼な人なんだ」
と思っているだけだったら、

私はその場面から学ぶことができなかったでしょう。

もちろん、

いつもやさしく教えられるわけではありません。

相手に余裕がないときもありますし、

何度も同じことが続けば、

イライラしてしまうこともあるでしょう。

誰かにアドバイスすることは、

簡単ではないと思います。

それでも、もし身近に、
「どうして、こんなこともできないんだろう」
「社会人として、ありえない」
と思ってしまう人がいたら、

少しだけ考えてみてほしいんです。

もしかすると、

その人は、やり方を知らないだけかもしれません。

もしかすると、

これまで誰にも教えてもらえなかったのかもしれません。

そして、

どうすればいいのかわからないまま、

困っているのかもしれません。

そんなとき、
「こういう場合は、こうするといいよ」と、

やさしく伝えてあげることで、

その人の行動が変わる可能性があります。

大切なのは、相手を責めることではなく、

どうすればうまくいくのかを一緒に考えること。

もちろん、

相手の行動によって傷ついたり、

困ったりしている場合は、

自分の安全や気持ちを守ることも大切です。
無理をしなくて良いと思います。

それでも、

もし伝えられる余裕があるのなら、

怒る前に、

教えるという選択肢もあるのではないでしょうか。

私に

「ありがとうございますと言って受け取るのよ」

と教えてくれた先輩。

あのときの何気ないひと言が、

私にとっては大きな学びになりました。

人は、

やさしく教えてもらうことで、

できることが増えていくことがあります。

そして、

誰かに教えてもらった経験は、

今度は自分が誰かにやさしく伝えるときにも、

役立つのかもしれません。

「できない人」と決めつける前に、

「教えてあげられることはないかな」と考えてみる。

そんな関わり方が、

少しずつ人とのコミュニケーションを

変えていくかもしれません。