「こんにちは」
「お世話になっております」
「ありがとうございました」
あいさつすらままならなかった私ですが、
社会人としての経験を積んでいくうちに、
こんなふうに、
基本的なあいさつや、
仕事での受け答えは、
できるようになっていきました。
電話対応や窓口での応対も、
きちんとマニュアル通りにこなせます。
だから、
周りからは
「この人は人とのコミュニケーションができる人だ」
と思われがちです。
でも――
本当は、
そんなに簡単じゃないんです。
マニュアルどおりならできる。
でも、それ以外が苦手なんです
ただ、
雑談は苦手です。
急な変更やイレギュラーな出来事にも、
とっさには対応できません。
「こんなとき、どう言えばいいんだろう」
「今、なんて返すのが正解なんだろう」
そんなふうに
頭の中が真っ白になってしまって、
言葉が出なくなることもあります。
自分から話しかけることができなかったり、
意見を求められても、
自分の考えを言葉にできなかったり。
営業トークのように、
相手の反応を見ながら調整するような会話は、
とてもハードルが高いのです。
「できる人」に見えるからこそ、
つらくなることも
一番つらいのは、
周りに「できる人」だと
思われてしまうことです。
マニュアル通りに
きちんと対応できているから、
他のこともできて当然だと思われてしまう。
でも、
実際には、
臨機応変な対応が苦手で、
会話が突然止まってしまうこともある。
すると、周りの人は「あれ?」と驚き、
だんだんイライラしたり、
冷たい反応をするようになる。
こちらとしては一生懸命やっているのに、
なぜか
「気が利かない」
「空気が読めない」と思われてしまう。
それが、
何度も何度も、
起きてしまうのです。
今でも、
雑談は苦手です
相手の表情や声のトーンを読み取って、
言葉を選ぶようなやり取りは、
今も苦戦することがあります。
だから時には、
コミュニケーションの問題から、
仕事の契約を解除されることもあります。
「もうあなたには頼みたくない」と言われて、
落ち込んだことも、
何度もあります。
それでも、
私にはできることがある
でもね、
それでも私のことを
必要としてくれる人はいるんです。
雑談ができなくても、
営業トークが苦手でも、
「あなたお願いしたい」と
言ってくれる人がいる。
そして、
私自身も、知っています。
私は、
自分にしかできないことがあると。
苦手なことがあっても、
それをカバーできる力がちゃんとあるということを。
だから今は、
無理をせず、
「自分らしいやり方」で
人の役に立てればそれでいいと思っています。
できないことがあっても、
それがあなたをダメにするわけじゃない
人と話すことが苦手でも、
雑談ができなくても、
臨機応変な対応が難しくても、
それだけで
「自分はダメなんだ」と
思わないでください。
誰にだって苦手なことはあるし、
できないことがあるからこそ、
見える世界や気づけることがあるんです。
ゆっくりで大丈夫。
あなたにしかできないやり方で、
あなたにしかできないかたちで、
人の役に立てば、
それでいいんです。
今日も、
自分らしく、
生きていきましょう。