「もうどうすることもできない。
今はもう何もできることはないんだ」
心の中で嘆きながら、
私は玄関の冷たい床で眠った。
部屋の奥から息子が放つ
「ゴミくず!」「出ていけ!」の言葉が、
心に深く刺さっていた。
(自分は父親失格だ…
どうしてこんなことになったんだろう)
息子は小学校6年生、
ひきこもりの日々。
一日中布団の中で過ごし、
食事も布団の上。
私が何を言っても反応はなく、
ただ静かに扉の向こうにいるだけだった。
「お父さん、これ面白いよ」
そう言われたのは、
息子がゲームの画面を
見せてくれた時だった。
まだ息子と一緒に外出できていた
当時を振り返りながら、
私はそんな光景を思い出していた。
(そうだ。息子が興味のあるものに、全力で寄り添うんだ)
不登校専門カウンセラーの助言を思い出し、
ゲームに興味のなかった私が
息子の好きなゲームを徹底的に調べ始めた。
扉越しに、
息子にゲームの情報を伝えてみると、
なんとなく興味を示した。
そこから少しずつ会話が始まった。
プレイ方法を学び、
攻略情報を共有し、
時には夜遅くまで一緒に話した。
それまでの距離感が、
少しずつ、
でも確実に縮まっていった。
気がつけば、
息子が部屋から出てくるようになった。
「シャワー浴びてくる」
「今日は一緒にご飯食べてもいい?」
そんな言葉を聞ける日が来るなんて
思ってもいなかった。
(これが、共感と傾聴の力なんだ…!)
もう
どうすることもできないと思っていた状況は、
少しずつ変わり始めた。
息子が家族との時間を取り戻す姿に、
私は父親としての自信を取り戻しつつあった。
家庭のリーダーとして、
子どもに寄り添い、
信頼される存在になるために、
あなたなら何をしますか?
どんな小さな一歩でも、
きっと明日は変えられるはずです。