そうして俺はこえ部に戻った。
戻ったとは言っても俺は約2ヶ月間ニコ生をメインにやってきたし軌道にも乗っていたし楽しみもそっちに移っていたので本当に待機場所って感じだった。
ただテツの彼女もネット住民だったのでこえ部は前より賑わっていたようだ、まあ前を知らないわけだけど、どうも俺が居ない間はアメピグブームだったようで誰も居なかったみたいw
でもかなり健全だよな、それぞれがそれぞれやりたいことをやってる。俺はいつのまにかネットでの
役割を演じていたのかもしれないと気づいたのはこの辺りだったな。
913の古参で年上でメインパーソナリティーの一人でまとめ役。そんな役を無理して演じていたんだろうなと思った。それによって楽しめなくなっていたからね、本末転倒もいいとこだ。
ニコ生のほうは1週年がそろそろだったので「初見さんに面白いコテハンをつける1時間SP」をやった。予想以上に人が来てしまってビックリした。アクティブ55とかだったし、つけきれねーよwwってなってたな。あの企画は1時間やるもんじゃない。
そのままの勢いで1000人も突破。
このあたりで最近の放送スタイルになる。つまり雑談多め。もう増やす必要性が無かったからね。
そんなこんなでまったり放送していた頃、こえ部でダラダラ話していた時にあの企画が生まれるわけなんだ。

第5章5部完
「おい、飲んでるか」
そういって肩を組んでくるのは同級生の岡田、俺は今10年ぶりの同窓会に来ている
「お前かわらねーよなあ、ほんと高校の時のまんまだ」
そう言って岡田はビールジョッキを空ける
「・・・・変わってないのは俺じゃなくてお前だよ」
「あ?なんか言ったか?」
「いや、なんでもない」
俺は高校を卒業して、そこそこの大学に行ったものの、一人暮らしに失敗し、資格試験に失敗し、そして大学の人間関係にも失敗して、今はいわゆるニートってやつをやっている。
片や、岡田は高校を卒業して就職し、職場をいくつか変えてるものの今はかなり稼いでいて子供も来年生まれるらしい。
元気で、明るくて、行動力があって、こいつこそ昔のまんまだ。
俺は今正直無理をしている。こんな同窓会に何故来てしまったのかと自問自答を繰り返している。
「でもお前来てよかったよ。なんか電話したら渋ってたからさ」
そう、俺はこいつに執拗に誘われて来ていた。おかげでこのザマだ。恨むぞこのやろう。
「そういや、変わってないで思い出したけどさ。お前昔よく言ってたよな。俺は変わらない、つまんねー大人になんか絶対ならねーってさ。こうやってお前見てるとそれ今でも
 守ってるような気がするな。まだ目がギラギラしてる」
「俺なんてもうダメだよ。社会出て、鼻折られちまってさ。昔は俺はなんでもできるー。なんて思ってたけど何にもできねーんだなって思った。思い知らされたよ。結婚もしたし
 子供も生まれるし、もう守りに入っちゃったよな。つまんねー大人だよ」
俺は以外だった。こいつは昔と変わってないと思っていた。高校時代こいつは常に自信満々だったし、今だって自信に満ち溢れてるように見えていた。でも、そう語った時の岡田
は少しだけ弱く見えた。だけど、さっきまでより大人でかっこよく俺には映った。
「変わらないものなんて、ねーのかもなー。俺だって今は昔みたいなこと言えないよ。夢見る歳でもないからな」
「そうだよな。まあ、湿っぽい話はよそうぜ。ほら、飲むぞ。生中頼むからよ」
「ああ、そうだな。さーて、飲むか!!」
でも、ビールを煽るように飲みながら俺は思ったんだ。変わらないものなんてなくたって、このくだらない話ができる岡田って友人との関係は歳をとって、この片手にあるビールが日本茶に変わって、
場所が居酒屋から縁側か老人ホームになったって変わらないんだろうなって。
そう思っているだけで俺の人生も捨てたもんじゃないかもなって。そう思ったんだ。
事件が起こったサイト。
それはツイッターだった。
話は少し遡るが、その時テツが同棲していた彼女と別れた。
その数日後、ある子と知り合いになったらしく。これからデートして告白すると言うのだ。
まあ、俺としては微笑ましくみていた。
いや、すまない。正直爆笑しながらニヤニヤして見ていた。
そしてテツのあるツイート
「俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、俺が振られるわけがない、」
こいつはどれだけビビってるんだと。
まあ、本当に振られるわけもなく上手いこと言ったわけなんですけどね。
そこまではいい。俺がわざわざ自分のネット自伝にこのことを書くのには理由がある。
その彼女がネット住民だったからだ。
つまりこえ部民だったんだ。
そして上手く言ったテツはこえ部でお披露目会をすると言っていた。
そしてこれから書くのが俺のミス。
スカイプの常連会議チャットで、悩んでいるテツを見てつい
「上手く言ったら俺こえ部戻ってやるよ」
って言ってしまったんだよね。
正直、もうニコ生が軌道に乗っていたし、楽しかったし、たまに行くぐらいなら構わないかなと言うところまで気持ちの整理はついていたっていうのもある。
2ヶ月以上経っていたしな。
そしてお披露目会当日。
いつもどうり仕事を終えPCを立ち上げると、テツからチャットが来た。
「今やってるから戻ってこいよ。今TKTがリア充爆発しろって名前で暴れてるぞ」
というチャットが来た。タイミングは今しかなかった。
なぜなら俺は笑いに貪欲だからだ。
「わかった。すぐに行く」
そうして俺はこえ部に戻った。
「テツとかマジ死ねばいいのに。おめでとう」という名前を引っさげて。

第5章4部 完