A-336 帽子の少女
この彫刻、複製屋さんとしては結構ハードルが高い素材です。
なぜだか分かりますでしょうか?。
この少女の両腕と胸の間には空間があります(つまり腕の内側を省略して作っていない)。さらに帽子の内側がかなり深いところまで彫ってあります。腕の内側と帽子の内側の両方が深いためこの部分の型取りが難しいのです。おまけに右手の小指が独立して前に出ているため折れやすい。
こういった場合セオリーとしては最初の型取りの段階で、原型の両手を切り離し、別の部品として作って仕上げの段階で接続するということになります。ただ部品として個別につくると、接続に手間がかかりますし接続部分がどうしても目立ってしまいます。
実際には私の工房では部品にはせず、型取りの方法を工夫して対応しています。
ちょっと説明が分かりずらいですかね。本当はこういう話はイラストなんかを交えるといいんでしょうけど。
立体の造形物を型取りで作る仕事は、こういった”逆勾配”と”気泡”との戦いです。ブロンズの仕事とか、樹脂でフィギュアを作る仕事でもみんな同じような苦労があると思います。
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2013.8.11追記です
作者ある程度判明しました
20世紀初頭に活躍したイタリア人彫刻家Giuseppe Bessi(1857~1922年)の作であると考えられています
Bessiは、比較的小ぶりな装飾的な少女像などをたくさん制作しました
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今回取り上げた、A-336 帽子の少女は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。