現在、市長は新拠点ゾーン南側へ市役所を移転したいとしています。しかしながら、新拠点ゾーン南側の用地・周辺道路は、土砂災害警戒区域等に指定されていることから、市民から「危ないところ市役所を移転することは問題ではないか」という声が挙がっていました。

そこで、市長は、当初の計画を見直し、相模原公園南側に隣接する斜面を含めて広範囲に安全対策工事を行うことを表明しています。この安全対策工事は、土地買収を伴う広範囲の安全対策工事になることから、費用が極めて高くなってしまうものです。

この費用は、新拠点ゾーン南側へ市役所移転するための費用に含める必要があると私は思いますが、驚くことに市長は「市役所移転の費用に含めない」と主張しています。

市長の立場もわからないわけではありません。市役所移転のために整備手法を変更したと言ってしまった場合、新拠点ゾーン南側への市役所移転の費用に、この広域的な斜面の安全対策工事の費用(これは土地の買収費用も必要になるので高額な費用になります)を含める必要が生じてしまうのです。その場合には、新拠点ゾーン南側への市役所移転の費用と、現地建て替えの費用を比較した場合、新拠点ゾーン南側への移転のほうが、だいぶ高くつく可能性が高くなってしまいます。(なお、そもそも移転と現地の費用比較は、移転が安く済むように、市長にとって都合がよい費用算定がされているように私には見える)。このような背景から、市長は市役所移転のために整備手法を変更したと言えないのでは、と推察しますが、市民への説明責任という観点からは極めて不誠実な政治姿勢です。

本日、相模原公園南側に隣接する斜面を含めた広範囲の安全対策工事を行う方針に見直すことに関する補正予算に対して、会派政策実現フォーラム・社民、立憲民主党を代表して、下記の通り討論を行いました。

添付は、現況の新拠点ゾーン南側が土砂災害警戒区域等に指定されていることがわかる地図です。

 



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議案第61号 令和5年度松戸市相模台地区土地区画整理事業特別会計補正予算(第1回)に対して、会派政策実現フォーラム・社民、立憲民主党を代表して反対の立場から討論します。

本議案は、主に整備手法の変更に伴い、土地区画整理整備事業約2億3千万円減額するものです。整備手法の変更の具体的な内容は、最初の計画ではS字道路付近の保留地整備に資する限定的な範囲での斜面の安全対策工事をするとしていたものを見直し、今後は相模台公園南側に隣接する斜面を含めて広範囲の安全対策工事をする、という整備手法の変更をしたい、というものです。

なぜ最初の計画を見直しして、広範囲の安全対策をする必要があるのでしょうか。
この点、市は委員会答弁で「相模台土地区画整理事業を補完するため」と答弁しましたが、私は「新拠点ゾーン南側に市役所移転をするため」にほかならないと指摘します。

ご案内の通り、現在、新拠点ゾーン南側は用地と周辺道路が土砂災害警戒区域等に指定されています。土砂災害警戒区域等というのは、土砂災害が発生した場合に市民の命や財産が守れない、そういう危ないところを予め土砂災害警戒区域等に指定していく、という取り組みなのです。この土砂災害警戒区域等に指定されている危ないところに、現在、市長は市役所移転をしたいとしています。このような危ないところに市役所移転することは、多くの市民の理解が得られるわけがない、と私は思います。さらに申し添えると、市役所機能再編整備基本構想の34ページに、新拠点ゾーン南側に移転建て替えした場合と、現地で市役所建て替えした際の比較表が掲載されていますが、災害対応拠点の視点での評価点で、新拠点ゾーン南側に移転建て替えした場合のほうが現地建て替えよりも勝るとされています。用地と周辺道路が土砂災害警戒区域等に指定されている新拠点ゾーン南側への移転建て替えと、土砂災害警戒区域等に全く指定されていない現地建て替えを比較して、どうしたら土砂災害警戒区域等に指定されている新拠点ゾーン南側への移転が、災害対応拠点の視点での評価が勝るのか、さっぱり理解できません。

昨年6月議会には、市は、この土砂災害警戒区域等に指定されてる新拠点ゾーン南側の国有地を市役所移転候補地として買った後に、約4億円かけて安全対策工事を行うことを明らかにしました。しかし、驚くことに、安全対策を講じても用地と周辺道路に土砂災害警戒区域等が残ることが、同6月議会で明らかになっています。安全対策工事をしても、土砂災害警戒区域等が用地・周辺道路に残ってしまう、そういった危ないところに市役所を移転することに、「問題があるのではないか」という市民の声が高まってきたさなか、昨年12月に、突如として市長は、これまでの計画を見直し、相模台公園南側に隣接する広域的な斜面の安全対策を行う方針を示しました。この広域的な安全対策を講じることで、新拠点ゾーン南側の用地や周辺道路の土砂災害警戒区域等の指定はほぼ解消される可能性が高まることになります。

このように経過を振り返ると、最初の計画ではS字道路付近の保留地整備に資する限定的な範囲での斜面の安全対策工事をするとしていたものを見直し、今後は相模台公園南側に隣接する斜面を含めて広範囲の安全対策工事をする、という整備手法の変更をした理由は、市役所移転をするためにしか見えないと、強く申し上げます。

ただし、市長の立場もわかないではありません。市役所移転のために整備手法を変更したと言ってしまった場合、新拠点ゾーン南側への市役所移転の費用に、この広域的な斜面の安全対策工事の費用(これは土地の買収費用も必要になるので高額な費用になります)を含める必要が生じてしまうのです。その場合には、新拠点ゾーン南側への市役所移転の費用と、現地建て替えの費用を比較した場合、新拠点ゾーン南側への移転のほうが、だいぶ高くつく可能性が高くなってしまいます。なお、そもそも移転と現地の費用比較は、移転が安く済むように、市長にとって都合がよい費用算定がされているように私は見えると申し添えます。このような背景から、市長は市役所移転のために整備手法を変更したと言えないのでは、と推察しますが、市民への説明責任という観点からは極めて不誠実な政治姿勢であると厳しく指摘します。

最後に「整備手法の変更は新拠点ゾーンの価値を高めるために必要不可欠だ」という意見もあるようですが、その意見に一定の理解はするものの、必要不可欠であるのであれば新拠点ゾーン整備基本計画に盛り込むべきだったし、少なくとも昨年6月に「最初の新拠点ゾーン南側国有地の取得議案」を市議会に上程する際に、市長は整備手法の変更を説明すべきだったと申し添えます。

以上、議案第61号の反対理由を申し上げました。
ご清聴ありがとうございました。