5月26日臨時議会が開会され「市役所の移転先用地として新拠点ゾーン南側の国有地を30億2千万円で財務省から購入するための議案」の採決がありました。関根ジローは会派「立憲民主党」を代表して、反対の立場で下記の通り討論しました。

採決の結果、賛成は、
「公明党(10人)」
「会派に属さない議員 鴫原舞 議員 」
「会派に属さない議員 中村典子 議員」
「会派に属さない議員 大橋博 議員」
に留まり(賛成議員は13人)、反対多数(反対した議員は30人)で否決となりました。

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(反対討論)

会派立憲民主党の関根ジローです。

議案第4号  財産の取得について、会派を代表して反対の立場から討論します。

◎議案の概要

本議案は、市役所の移転先用地として新拠点ゾーン南側の国有地を30億2千万円で財務省から購入するための議案です。この議案提案に先立ち、前提として市は「市役所機能再編整備基本構想案(改案)」を5月12日に市議会に説明し、その後5月23日に成案として市HPで公表しております。

本議案への反対理由を4つの観点から申し述べます。

◎反対理由1.市長の姿勢

本議案への反対理由の1点目は、5月12日及び24日に開催された特別委員会での市長の姿勢に大きな問題あることです。

まず5月12日の市長の姿勢です。
5月12日に「庁舎整備に関する特別委員会」に「市役所機能再編整備基本構想案(改案)」の説明がされましたが、この特別委員会で多くの委員から改案に対しての質疑が相次ぎましたが、市長はその質疑に一切答えることはありませんでした。市長が委員会において委員の質疑に一切答えない、という姿勢は今回の「庁舎整備に関する特別委員会」に限らず、その他の委員会においても同様の姿勢ですので、「いつも通りの市長だな」と私は思っていました。ところが、本当に驚いてしまったのですが、この日の「庁舎整備に関する特別委員会」では委員の質疑が終わり、市長のご挨拶になったところで、今まで一切質疑に答えなかった市長が、いかに移転建て替えが素晴らしい案で、現地建て替えがダメな案なのか等、私の体感にして10分くらい、雄弁に語りだしました。私は、この市長の姿勢は厳しく批判されるべきと思います。なぜなら、委員の質疑が終わっているわけですから、この市長挨拶での市長の発言に対して、疑問があっても委員は質疑できないのです。委員から質疑を受けることがない時間帯で、市長が一方的に持論を展開する、というのは何のための委員会だということになります。市長は、持論があるのであれば、委員会のなかで、正々堂々と各委員の質疑に真摯に答弁するべきだったと、痛烈に批判します。市長の一方的な持論のあと、私はいてもたってもいられずに、市長の姿勢に対して一言苦言を申し上げましたが、発言機会のお許しを頂いた末松委員長には心からの感謝を申し上げます。

次に5月24日の市長の姿勢です。
5月24日は、市が成案として市HPに公開した「市役所機能再編整備基本構想」に基づき、市役所の移転先用地として新拠点ゾーン南側の国有地を30億2千万円で財務省から購入するための議案が、庁舎整備に関する特別委員会に付託され審議されました。この委員会において市長は、質疑開始となってからの1人目の質疑者に対して答弁をしたのですが、驚くべきことに「必ずしも市役所のみと理解していない。複合施設の可能性を検討したい。」と発言しました。その後、他の委員から「複合施設というが、移転先は土地が狭く難しいのでは」という趣旨の質疑がありましたが、これについては「隣接地の取得を希望することもあるかもしれない」という答弁までありました。

私はそもそも新拠点ゾーン南側は市役所用地として相応しくないと考えていますが、職員は市長の号令のもと、これまで市役所用地として新拠点ゾーン南側の国有地取得をめざして努力してきたと、理解するものです。その努力の積み重ねで、5月24日の市役所用地としての土地の購入の提案にいたったわけです。それにも関わらず、市長が委員会の冒頭の答弁で「市役所のみと理解してない」と発言してしまうことは、市役所用地としての国有地取得をめざして努力してきた職員からしてみたら「今までの市長の方針はなんだった」と、大きな徒労感を感じさせ、職員を混乱させるものだったのではと推察します。市長はリーダーとしての資質が問われる事態になっていると思います。

その後、私の質疑で、「複合施設について、市役所機能再編整備基本構想の何ページに掲載されていますか?」と確認しましたが、「どこにも記載してない」というものでした。当然のことながら、「隣接地の取得を希望するかもしれない」という発言の内容についても、基本構想のどこにも記載されていません。

市長は、「市役所機能再編整備基本構想」に基づき「市役所用地としての土地の購入」を提案したのです。計画の大勢に影響を与えかねない「複合施設」や「隣接地の取得を希望するかもしれない」ということを基本構想に書いてないのに、委員会冒頭で突如として答弁することは、滅茶苦茶で乱暴な市政運営であると強く抗議します。

加えて、私はこの複合施設の意味合いについて市長に聞きました。答弁では、どうやら市長は、複合施設を「食堂や展望施設や市民の交流スペース」と捉えているような答弁がありました。市長、「食堂や展望施設や市民の交流スペース」は複合施設と呼ばないですよ。それはどこの市役所にも整備されうる市役所の設備です。市長が本心で「食堂や展望施設や市民の交流スペース」を複合施設と認識しているのであれば、本当に、「大丈夫か?」と心配になります。一方で、そうではなく「市役所だけの用地だと議会の賛同が得られなさそうだから、複合施設という表現で賛同を得たい」という思惑である可能性も否定できないと思います。そういった意味では、市長が複合施設といってることは、「食堂や展望施設や市民の交流スペース」という程度のものに過ぎないことが明らかになってよかったと思います。

以上、市長の姿勢の問題点を申し上げました。

◎反対理由2.「移転先の土地の狭さ」と「交通アクセスの悪さ」

続いて、本議案への反対理由の2点目です。
他の委員からも相次いで指摘されていた「移転先の土地の狭さ」と「交通アクセスの悪さ」です。この「土地の狭さ」と「交通アクセスの悪さ」については、多くの委員が委員会で指摘しておりましたが、私も思いを共有するものです。私からは2点申し上げます。

まず1点目です。移転先の土地の狭さに折り合いを無理やりつけるためと思われるような、職員のテレワーク2割を前提にしている問題です。
市長が基本構想で掲げた市役所本庁舎の規模について、その経緯を端的に振り返りますと、2019年に実施した「松戸市新庁舎必要面積算算定業務」を行いました。これは、現本庁舎をベースに、本庁舎として十分な機能を確保するにはどの程度の面積が必要になるか調査したものです。その結果、保存文書量の削減や物品量の削減などを進めることを条件に約43000㎡とされました。その後、市長は、狭い移転先土地に43000㎡の規模は難しいと思ったのか、規模の再算定を行うことにしました。結果的に、職員の2割のテレワークを前提とした37000㎡という数字が出てきます。

2割のテレワークは行政として現実的なんでしょうか。5月に市役所建て替えの先進事例の視察のため、会派立憲民主党と政策実現フォーラムは大阪府内の2つの自治体に視察に行きました。この2自治体に対して、行政として2割のテレワークは実現可能なのか、と聞いてきましたが、両自治体ともに「市役所は民間企業と異なり、個人情報を多く取り扱うという特殊性があり、一般的には2割のテレワークは極めて高いハードルではないか」という認識でした。加えて、松戸市が構想で掲げる保存文書量の削減や物品量の削減についても「一般的には極めて高いハードル」という認識も伺ったことも申し添えます。

5月12日の特別委員会では、「2割のテレワークを実現している自治体は他にあるのか」という質疑がありましたが、答弁は「ない」というものでした。

これほどまでに、先進事例もなく、他の自治体からも「一般的には高いハードルだ」と言われてしまう、2割のテレワークはリスクが大きすぎるのでは、と心配になってしまいます。また、行き過ぎたテレワークは、「若手職員の育成」「業務のノウハウ等の継承」「職場のチームワーク感の醸成」といったことに、弊害があるのでは?と社会的にも指摘されだしており、本当に2割のテレワークが市民や職場にとって望ましいことなのか、問われるべきです。

加えて、5月12日の特別委員会で明らかになりましたが、「2割のテレワーク」という大きな労働環境の変更という内容にも関わらず、市長は、職員組合に事前に説明することもなく、ましてや理解を得ていないことにも、大変に驚きました。昨年の市長選挙のとき、市長は職員組合からも推薦を頂いていたのにも関わらず、「2割のテレワーク」という大きな労働環境の変更について、事前の説明をしない、市長の姿勢は全く理解出来ません。

「土地の狭さ」と「交通アクセスの悪さ」についての問題点、2つめです。
移転後、さらに数十年後経過するとさらなる建て替えが必要になってきますが、その際の建て替えスペースが移転先の「新拠点ゾーン南側の国有地」には皆無ということが問題です。この点、委員会で認識を質疑しましたが、「新拠点ゾーン南側の国有地では、更なる建て替えはできないこと」の答弁に加えて、「建て替え場所として、松戸中央公園という可能性がある」という見解もお答え頂きました。この答弁にも正直驚きました。松戸中央公園は、陸軍工兵学校跡であり、さらにその前身は松戸競馬場であったという公園です。松戸中央公園の正門は、市指定有形文化財に指定され、その横には見張り兵がいた屋根付きの「歩哨哨舎」が残されています。そんな「歴史と文化と人々の思い」が溢れる松戸中央公園を潰すようなことは、市民から大反対運動が起きることが容易に想像できます。将来に禍根を残すようなことはしてはなりません。

加えて申し上げます。「市役所機能再編整備基本構想」には、市役所整備に係る候補地等別比較表が掲載されています。これは、新拠点ゾーン移転建て替え案と、現地建て替えの2種類の案を比較したものでありますが、この比較表になぜか「将来的な建て替え計画の容易性」の項目が存在しないのです。なぜなのでしょうか。先ほど、大阪府内の自治体に市役所建て替えの視察に行ってきたと申し上げましたが、この自治体では当たり前のように「将来的な建て替え計画の容易性」についても項目を候補地の比較表に盛り込み、現地と移転先で評価しておりました。当たり前の評価項目を盛り込まない、「市役所機能再編整備基本構想」の候補地等別比較表は、市長が恣意的に作ったと、市民に言われても仕方がないでしょう。

◎反対理由3.市長によって恣意的に作られた比較表

次に、本議案への反対理由の3点目です。
これは今申し上げた、恣意的に作られたと指摘がされても仕方ない「市役所機能再編整備基本構想」の候補地の比較表が問題です。「将来的な建て替え計画の容易性」の項目がすっぽり抜け落ちていることだけではなく、5月12日及び24日の委員会で原ゆうじ市議が鋭く指摘しておりましたが「広い土地を売却して、狭い土地を購入するという松戸市の資産が大きく減少するという視点が欠けている」や、「現地の土地の価値が昨今の社会情勢により上昇していることが反映されていないこと」や、「現地建て替えの手法として、わざわざ執務棟を2棟建てる案になっていること(これは原市議の委員会での指摘で、市としても執務棟1棟建設することも可能であり、その場合は費用が圧縮され工期についても短くなる可能性があると認めています)」等、その原市議の指摘は私も共感するものであり、このような原市議の指摘により、比較表の問題点が明らかとなり、市長によって比較表が恣意的に作成されたことが浮き彫りとなりました。

◎反対理由4.3分の2条例案を後回しにする問題

最後に、本議案への反対理由の4点目です。
市役所を移転するたには、地方自治法で、出席議員の3分の2以上の賛成が必要な条例を可決する必要がありますが、市長はその条例案を出さず、土地の購入のための議案だけを提出したことは、大きな問題です。3分の2の賛成が取れなかった場合、国有地にかかった30億円、そして今後も予算化されるだろう関連費用、そしてそれらに費やす時間が無駄になってしまうリスクがあります。このことから、なぜ、3分の2の条例案を、今回の土地購入議案と同時に出さないのか理解に苦しみます。視察した大阪府内の自治体についても、3分の2の条例案を採決してから、土地購入議案を採決するというスケジュールでした。この自治体の担当者も「3分の2の条例案を採決してから、土地購入議案を採決するという順番が一般的であると思うし、市民に対して説明責任に果たせる」とおっしゃっていました。当たり前の進め方が出来ない松戸市の現状に、恥ずかしい思いをしました。なぜ、市長は異例な進め方をするのでしょうか。土地を買ってしまい、基本計画、設計を進めてさえすれば、今の反対議員も賛成せざるを得ないだろう黙らざるを得ないだろうとそんな姑息な考えを仮に持っているのだとしたら、それは言語道断であると厳しく指摘をさせていただきます。

加えて、現地に松戸市役所が移転することになった昭和33年の事例についても申し上げます。委員会でも明らかになりましたが、昭和33年の事例においても、「3分の2の条例案を可決」してから、予算案を採決し可決し、執行されております。過去の事例からしても、本郷谷市長が進める「3分の2の条例案を後回し」にする事は問題があると言わざるを得ません。

以上、会派を代表して、本議案への反対理由を4つの観点から申し上げました。満場の皆様のご賛同をお願いして、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。