松戸市3月議会に岡本優子議員を紹介議員として「交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願」が提出されました(請願文を転載)。採決の結果、岡本議員が退席(紹介議員にも関わらず賛否を表明せず)し、「その他の議員全員が反対」し、否決されました。

 

この請願に対しては、会派「政策実現フォーラム」「立憲民主党」を代表してDELI議員が下記の通り、反対の討論をしました。

 

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◆反対討論:DELI

 

ただいま議題となっております、令和3年度請願第5号交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願について、政策実現フォーラム並びに会派立憲民主党の両会派を代表して、ただいまの委員長報告の通り、不採択すべきという立場で討論したいと思います。

 

今回事前に請願者から参考資料の提出やご説明をいただきました。その中で、アバターやVtuberは匿名の配信方法として、性的少数者や障害者の発信手法としてのニーズや関心が高まっている中、否定的な懸念材料として何度も参照される可能性があると言うことが前提になっているということは一定理解できましたが、質疑を通して請願の中にある、協力する松戸市民を原因と断定している部分や人権侵害や名誉毀損に抗議文のどの部分があたるのか?などについては明確にはなりませんでした。

 

また、執行部への質疑で市は個別の案件について人権侵害かどうかの調査や判断をすることはできないと言う事も確認できましたが、人権侵害が発生してるという法務省などの判断がない、ある意味まだ人権と人権が衝突してる状況で、行政が予断を持って啓発などの取り組みに反映するというのはとてもハードルが高いと思います。というより、むしろ行政は予断を持ってそのような事はするべきではないと考えます。

 

個別の人権問題に関する所管は法務省であり、松戸市の所管ではないことも、そもそもの請願願意に沿い難い理由ですが、一般的な人権に関する会派「立憲民主党」、「政策実現フォーラム」の考え方を少し申し述べます。

 

日本国憲法において人権は大きく、自由権、参政権、社会権、受益権に分けることができます。このうち自由権は、精神的自由、経済的自由、人身の自由に分類されます。さらに精神的自由は「思想・良心の自由」「信教の自由」「学問の自由」「表現の自由」に分類されます。

 

これらの人権は、絶対無制限というわけでなく、他者の人権にも配慮しなければなりません。

 

この点、憲法の教科書には、「ある個人の人権と別の個人の人権がぶつかりあったときに、その衝突の限りにおいて人権が制約されます。このような人権と人権の矛盾、衝突の調整の原理が公共の福祉です」という旨が記載されているはずです。

 

次に請願が取り上げている千葉県警による広報についてです。

 

会派「立憲民主党」、「政策実現フォーラム」は、表現の主体が「一般人」なのか「公」なのかは重要な要素になると考えています。この点、憲法学者の志田陽子・武蔵野美術大学教授は現代ビジネスにおいて次の指摘をしています。一部抜粋します。

 

“自治体の広報は「公」が発する言論に属するもので、一般人と同じ「自由権」の保障を受けるものではない。そこに「公の言論としては不適切ではないか」との批判が生じてきたとき、公の機関が発する表現は憲法21条の「表現の自由」によって保護されるわけではなく、またこれを規制する法律がとくにあるわけでもないので、市民と「公」との協議によって適切な表現へと収束させることが求められる(抜粋おわり)。

 

我々としてはこの意見に賛同するもので、ただいま議題となっている請願願意は、「市民と『公』との協議によって適切な表現へと収束」することを求める内容ではないため、請願に賛同することは難しいと申し上げます。

 

以上の理由により、令和3年度請願第5号交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願については、政策実現フォーラム並びに会派立憲民主党の両会派を代表して、ただいまの委員長報告の通り、不採択すべきと主張させていただきます。

 

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◆請願「交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願」

 

全国フェミニスト議員連盟による2021年8月26日に千葉県警本部、松戸警察署、松戸東警察署、千葉県、松戸市、松戸市教育委員会宛、交通安全啓発動画に対する抗議ならびに公開質問状が提出された。

その公開質問状には理由として性犯罪を助長や誘発とあるものの、根拠は刑法の個別具体性の確認に基づくものではなく、検証過程や証拠も挙げず協力する松戸市民を原因と断定するものであった。

顕著な証拠があるならまだしも、犯罪の原因とされているのは交通事故防止に協力する善良な市民である。よって、市民の名誉毀損と市民の社会参加の権利の妨害の二点の人権侵害が認められる。

それと同時に市内で経済活動を行う納税者が受ける影響であるとも捉えるべきものである。

職権と権威性を用いた犯罪を助長するものという大々的な発表は、職権を乱用した人権侵害である。

市民を犯罪の原因と名指しで公開質問状を提出したことに始まる一連の人権侵害には、重大な問題として取り組まれるべき深刻さを有するものである。

市民の人権侵害が発生した場合に注意が払われ人権擁護が行われるべきところ、残念ながら問題視される様子が見えない。

松戸市に対し、松戸市民の人権侵害の救済及び、人権侵害問題への取り組みに向けて以下の内容に、一刻も早く取り組むよう求める。

 

(請願事項)

・交通安全啓発動画は、市民の人命を守る目的によるものであるため、市民を犯罪の原因と断定する資料1の公開質問状の不当性を調査し、その結果を今後の人権侵害対策に反映するよう求める。

・当事者は現在非常に繊細な配慮が求められる状態である。公開質問状の大々的な公開をきっかけに松戸市内での経済活動に対する不当な妨害や名誉毀損の横行が客観的に確認可能な状況となっている。その実情の確認には適切な配慮を求める。

・市民を人権侵害から守る役割の再確認と表明を求める。

・市民に向け、根拠の無い不当なレッテル貼りや表現活動や経済活動に対する妨害行為が人権侵害であるという理解を啓発(人権啓発活動)するよう求める。