【1都3県における「生活保護のしおり書きっぷり調査」

について~多くの自治体で「例外なく扶養照会が行われる」かのような書きっぷり~】

 

コロナ禍を通して生活に苦しむ方が増加しています。このような方たちのセーフティネットが生活保護です。しかしながら、生活保護を申請する際の案内書である、生活保護のしおりの書きっぷりが自治体ごとにバラバラの状況です。

 

加えて、生活保護申請の際に、親きょうだいに知られたくないと申請を妨げる要因となっている扶養照会について、厚労省は令和3年3月に「扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うこと」を自治体に事務連絡 しましたが、その内容についても反映されていません。

 

そこで、東京・神奈川・千葉・埼玉の各自治体の生活保護のしおりの扶養照会に関する書きっぷりを調査 のうえ、その実態を見える化しました 。

 

本取り組みを行った「生活保護のしおり書きっぷり調査プロジェクト」のメンバー(参議院議員 石橋みちひろ、超党派地方議員 ・生活保護受給者支援団体・大学生)が連携のうえ、調査結果の詳細について、参議院会館で1月21日に記者発表します。

 

◆会見出席者

参議院議員石橋みちひろ、超党派地方議員、(仮)一般社団法人つくろい東京ファンド小林美穂子、(仮)反貧困ネットワーク佐々木大志郎、大学生ほか

 

◆記者会見の趣旨

 

[1] 1都3県の「生活保護の書きっぷり調査」の結果発表

 

①「扶養照会は扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うこと」という内容が盛り込まれた生活保護のしおりは1都3県全体で3.8%に留まる(東京3.8%、神奈川10.0%、千葉4.8%、埼玉0.0%)。

②「暴力・虐待を受けた場合には通知しない」という内容が盛り込まれた生活保護のしおりは1都3県全体で28.8%に留まる(東京15.1%、神奈川45.0%、千葉31.0%、埼玉36.6%)。

※詳細は別紙参照

 

[2] 調査結果から明るみになった問題点

 

「扶養照会は扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うこと」等の記載が生活保護のしおりに記載されていないことにより、「例外なく扶養照会が行われる」という誤解を申請者に抱かせ、申請を躊躇させている可能性がある。

また、記載がないことで福祉事務所が実際に「例外なく扶養照会を行う」可能性を否定できない 。

 

[3] 今後の取り組みについて

 

①各福祉事務所が作成している生活保護のしおりに「扶養照会は扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うこと」「暴力・虐待を受けた場合には通知しない」等が記載されるよう、厚労省が望ましい生活保護のしおりを作成することや、優良な生活保護のしおりを自治体に紹介することを働きかける。

②全国の超党派地方議員と連携し、それぞれの議会で生活保護のしおりの改善を求める質問を行う。

③生活保護の申請書に「扶養照会をしないでほしい」という項目を加えることを目指す。