松戸市では、老朽化による和名ケ谷クリーンセンターの令和11年の稼働停止と、新焼却炉建設に向けて「新焼却施設基本構想策定業務委託」を約2000万円の予算計上し、基本構想の策定を進めてきました。
しかしながら、突如として「和名ケ谷クリーンセンターの5年間の稼働延長」が市から提案されました。その理由として、「令和2年11月に千葉県が松戸市に対して『第10 次千葉県廃棄物処理計画』を照会し、そのなかで松戸市は広域化の検討対象と位置づけられたため、その検討等に5年間の時間を要する」と、市は説明しています。
一方で、県は、広域化の検討対象「外」となる条件として「新設の調査や工事に着手」としています。市は約2000万円を投じた基本構想策定業務により、すでに「新設に着手」していると言っていいと思いますが、県から市が「第10 次千葉県廃棄物処理計画」を照会された際に、「市は新設に着手しているから広域化の検討から外してほしい」と、相談した経過がありません。なぜ、相談しなかったのか、極めて理解しがたいです。相談していれば、検討対象から外される可能性は大いにあったのではないかと思います。
5年間にわたって和名ケ谷クリーンセンターを稼働延長させるということは、「市外への運送費用、圧縮費用、和名ケ谷クリーンセンター追加補修費用」等の大きな余計な公金支出が生じます。この費用総額についても市は明らかにしていません。
加えて、延長する5年間、安定的に和名ケ谷クリーンセンターが稼働できるのか、という不安もあります。
また、新焼却施設建設に向けて、住民理解が醸成されていたのに関わらず、今回の突然の稼働延長によって住民感情を傷つけた可能性もあります。
市長は、今からでも、県に対して「松戸市は新設に着手」していることから、広域化の検討対象外とするように、相談して、当初の予定通りのスケジュールで新焼却炉建設を行うべきです。
このようななかで、他会派からも和名ケ谷クリーンセンター稼働延長を疑問視する声が挙がり、3月議会最終日に下記の通り「新焼却施設建設に関する決議」を提案し(会派「立憲民主党」も提案者として名前を連ねています)、賛成多数により可決しています。決議文と、各議員の賛否態度は下記の通りです。
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「新焼却施設建設に関する決議」
令和3年度一般会計歳入歳出予算において、計画上予定されていた新焼却施設建設関連経費の計上がなく、これについて執行部から、ごみ処理の広域化及び施設の集約化を検討するために検討期間を設けて稼働時期を延期させるという説明がなされた。
新焼却施設建設によるごみ処理の確実な履行は、市民生活における最重要事項であり、欠くことのできない行政サービスである。
平成31年3月定例会の予算審査特別委員会において市長から示された見解でも、本市が優先的に取り組む3事業の一つとしてこの新焼却施設建設が位置付けられており、計画に基づいて着実に事業が進められることを共通認識としていたが、広域化という新たな課題への取り組みとそれに伴う事業期間の延長は、その共通認識を超える方針転換とも取り得るものである。
本市は、和名ケ谷クリーンセンターとクリーンセンター2施設体制から、1施設体制へと焼却施設の集約化を進めている最中である。さらに現状ではクリーンセンターの稼働停止により、新焼却施設が稼働するまでの間、本市の燃やせるごみの処理の一部を近隣市にご協力いただき処理をお願いしており、早急に新焼却施設建設を進める必要がある。
先の教育環境常任委員会において市長はこの問題に対して「市民の生活を守っていくことが一番大事な原点であり、スピード感をもって新焼却施設整備基本構想を取りまとめるなど、早急に整備を進める」との認識を示された。
従って、執行部においては、本市のごみの適正処理について、早期に新焼却施設整備基本構想を取りまとめ、着実に事業を推進することを求めここに決議する。
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<賛成した議員(会派)>
●立憲民主党
関根ジロー
二階堂剛
成島良太
戸張友子
●政策実現フォーラム
増田薫
原ゆうじ
DELI
●松政クラブ
桜井秀三
鴈野聡
中村典子
大塚健児
大谷茂範
大橋博
鈴木大介
石井勇
杉山由祥
田居照康
小沢暁民
●公明党
城所正美
諸角由美
篠田哲弥
鈴木智明
松尾尚
岩瀬麻理
高橋伸之
伊東英一
飯箸公明
織原正幸
●市民クラブ
末松裕人
市川恵一
渋谷剛士
岩堀研嗣
深山能一
中川英孝
山口栄作
●日本共産党
宇津野史行
平田きよみ
ミール計恵
山口正子
●会派に属さない議員
箕輪信矢
<反対した議員(会派)>
●市民力・立憲民主党
山中啓之
中西香澄
岡本優子
※敬称略、順不同
※木村みね子議長は採決に加わらない