東京新聞(2021.1.22)を転載します。記事urlはコチラ⇒https://www.tokyo-np.co.jp/article/81331?fbclid=IwAR3ZSUama2s4y2ecKv1vj927T8z75kgid5IilNbEumasKQCE44mgg2Xk0r0

 

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新型コロナウイルス感染者の感染経路や濃厚接触者を調べる「積極的疫学調査」の対象を縮小し、集団感染や重症化リスクの高い人に絞る神奈川県の方針を巡り、保健所を持つ県内六市からは賛同の一方、「命の選別につながらないか」など懸念の声も上がる。「市民から不安が寄せられている」として従来通り調査を続ける市もあり、対応は一様ではない。 (志村彰太、丸山耀平、吉岡潤、曽田晋太郎、安藤恭子、村松権主麿)

 

「県が方針を出してくれたのは、とてもありがたい」。横浜市の船山和志・健康安全医務監は歓迎する。同市は県内感染者の四割以上を占め、クラスター(感染者集団)も相次ぐ。「以前から調査が追いつかない状態が続いていた」

 

相模原市も「保健所の業務が逼迫(ひっぱく)する中ではやむを得ない」と理解を示し、勤務先が市外の人については職場の濃厚接触者の特定をやめるなどした。藤沢市は「高齢者などリスクの高い人たちに重点的に対応するのは現実的だ」と話す。

 

一方、川崎市は「今までの調査を急に変えることはない」とする。市には企業から「社員が陽性になっても、もう濃厚接触者の調査はしないのか」と問い合わせが来たという。同市は県内感染者の二割を占めるが、市民の不安に応える。

 

茅ケ崎市も「茅ケ崎はまだ逼迫した状況ではない。会食したかどうかなどは重要な情報だ」との認識で、可能な限り調査を継続する。市保健所保健予防課の井上郁子課長は、リスクの高い人を重点的に調査することで「命に優先度がつくことになるかも」と懸念する。横須賀市も「すべての人にまず話を聞く」ことを維持し、詳しい調査の必要性を個々に判断する。

 

県に注文も出た。県の表明は各市にとって突然のことで、二十一日の川崎市議会健康福祉委員会では県と市の連携不足が指摘された。茅ケ崎市は、自宅療養者や入院待機者の重症化を防ぐため「オンライン診療対策などをお願いしたい」と述べた。ある市は「県には県民に危機感を高めてもらう意図があると思うが、丁寧な説明をしてほしい」と求めた。

 

県は「各市の保健所には事前に連絡した」と釈明し、「優先度の高いところに重点を置く考え方は共有している」とする。オンライン診療や在宅医との連携は検討中という。