共同通信を一部転載します。

 

”国土交通省は17日、住宅の購入・入居希望者に大雨が降った際の水害リスクを説明することを、8月28日から不動産業者に義務付けると発表した。豪雨による大規模水害が頻発する中、居住者が逃げ遅れるのを防ぐ狙いがある。”

 

記事URLはコチラ⇒https://news.yahoo.co.jp/articles/b313f76ea99364ff7dd29c9f33c1d83842346b4c

 

松戸市においても水害リスクがある地域が存在し、異常気象が常態化してきていることから、2019年12月議会において関根ジローは「国に先駆けて、水害リスクを住宅購入・入居希望者に説明すべき」と提案しておりました。

 

議事録を転載します。

 

***************

 

◇質問:関根ジロー

 

浸水・土砂災害警戒区域に指定されたエリアについて、お伺いいたします。

 

台風15号、19号、10月25日の大雨によって、各地で土砂災害や川の氾濫による浸水被害が発生し、人的被害を含めて甚大な被害がありました。河北新報によると、台風19号による浸水被害について、自治体が設定した居住誘導区域のうち、少なくとも7県14市町で浸水被害が実際に発生していたことも明らかになっております。福島県須賀川市では阿武隈川の水が住宅街に流れ込んで、アパート2棟の1階部分が水没し、2人が亡くなったと報道されております。

 

このような状況を受けて、全国的にハザードエリアのあり方の議論が加速しております。

 

都市計画でどのような対策が可能なのか、コンパクトシティの取り組みと防災対策の一層の連携や開発規定の見直しを含めた対策について、より一層進めていく必要があるのではないでしょうか。

 

国土交通省においては「立地適正化計画におけるハザードエリアの扱い」を策定し、この中で、災害リスクの低い地域へ居住や都市機能を誘導することや、災害リスクの高い地域は居住等を誘導すべき区域等から除外することと明記しております。

 

さて、松戸市において、浸水・土砂災害警戒区域等に指定されたエリアが、松戸市立地適正化計画においてどのように位置づけられているのか、お答えください。また、異常気象が常態化している状況を受けて、松戸市立地適正化計画を見直す考えはないのか、お答えください。

 

また、建築基準法第39条になりますが、自治体が条例で浸水による危険の著しい区域を災害危険区域に指定することで、都市計画法に基づく開発許可制度において、その区域での宅地開発を原則として禁止することができるとしておりますが、本市においてこのような区域があるのか、現状お答えください。併せて、今後についての見解もお答えください。

 

◇答弁:松戸市役所

 

国土交通省が作成している都市計画運用指針によりますと、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域は、原則として居住誘導区域に含まないこととすべきであるとされております。

 

また、浸水想定区域及び土砂災害警戒区域は、「災害リスク、警戒避難体制の整備状況、災害を防止し、又は軽減するための施設の整備状況や整備見込み等を総合的に勘案し、居住を誘導することが適当ではないと判断される場合は、原則として居住誘導区域に含まないこととすべきであるとされているところでございます。

 

この指針を踏まえ、松戸市立地適正化計画では、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域を居住誘導区域から除いております。

 

一方、浸水想定区域につきましては、一定の市街地が形成され、相当数の市民が居住していること、さらに災害時に対応できる避難体制の構築など、災害リスクを軽減するための施策を検討することを見据え、居住誘導区域に含めており、また土砂災害警戒区域につきましても、災害情報の伝達、避難に関する警戒避難体制を強化することにより、居住誘導区域に含めさせていただいております。

 

次に、建築基準法第39条では、「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる」とされておりますが、本市では浸水に特化した災害危険区域の指定はございません。

 

今後につきましては、昨今の自然災害における被害状況を鑑み、防災対策のあり方や国の動向などを注視しながら、慎重に評価、検証を行うことが重要であると考えております。

 

◇再質問:関根ジロー

 

現状において松戸市は、浸水想定区域を居住誘導地域にしていること、今後についても慎重に評価、検証していかざるを得ないことが明らかにされました。その現状を踏まえて、再質問いたします。

 

土砂災害警戒区域に指定されたエリアについては、不動産の重要事項説明書の都市計画法、建築基準法以外のそのほかの法令に基づく制限において、土砂災害防止対策推進法という項目があります。これは、土砂災害警戒区域内、土砂災害特別区域内基礎調査により、土砂災害のおそれがあると認められた区域内の不動産について重要事項説明が必要というものです。

 

一方で、問題なのが浸水ハザードエリアです。浸水リスクは重要事項説明の項目になっておらず、不動産業者側による浸水などのリスク説明義務がありません。このことについて全国知事会は、8月1日、西日本を中心に甚大な被害が起きた平成30年4月豪雨などを受け、国に来るべき大規模災害に備え、教訓に基づき行動するための提言を提出いたしました。この中で、地域の災害リスクを住民に浸透させるために、宅地建物取引業法を改正し、市町村が作成したハザードマップの説明を住宅購入者などに説明する際の重要事項として位置づけるように求めております。また、国土交通省では、4月末、業界団体に対して、不動産取引時に住宅購入者などには、洪水や浸水のハザードマップについて情報提供をするように通知を出しております。

 

このような背景を受けて、松戸市として、業界団体に対してどのような働きかけを行っているのかお答えください。

 

◇再答弁:松戸市役所

 

本市といたしましても、浸水リスクを周知する重要性は認識しているところでございます。

 

しかしながら、議員御案内のとおり、浸水リスクについては、法律において重要事項説明の義務になってはおりません。現在、松戸市洪水ハザードマップの配布や松戸市生活カタログへの浸水想定区域の記載、松戸市のホームページ等で過去の浸水実績を公表することで、浸水リスクについて市民に周知をしております。

 

今後につきましては、宅建業界に対する周知方法について調査していくとともに、引き続き浸水リスクについて市民への周知にも努めてまいります。

 

◇要望:関根ジロー

 

国土交通省が4月末に業界団体に通知した内容には、宅地建物取引業者より水害ハザードマップの入手方法や内容等について問い合わせ等があった場合には、自治体が適切に対応してくださいという記載もあります。

 

しかしながら、問い合わせがなくても、市から情報提供を行うべきなのではないかというふうに思いますし、情報提供にとどまらず、実効性を担保するためには、例えば優良不動産会社は市のホームページで公表するなど、市による積極的な働きかけができないものか、御検討いただきますよう要望をいたします。

 

以上、再質問への要望を申し上げまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。