小・中学校において「パソコン1人1台配備」を目指すとともに、高速ネットワーク環境も整備するなど、教育分野のICT化を推進する文部科学省のプロジェクトを「GIGAスクール構想」と呼びます。政府は当初、2023年度までに全国的に整備するとしていたものを、コロナ対策等を理由に大幅に前倒し、全国で今年度中に整備することになりました。

 

この政府の動きをうけて、松戸市においても、6月議会に上程された補正予算に「GIGAスクール構想関連予算(12億3880万円)」が盛り込まれています。内訳として上段で書いた通り「1人1台のパソコン」「高速ネットワーク環境整備」に加えて、「緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備」として「Wi-Fi環境が整っていない家庭に対する貸与等を目的して、モバイルWi-Fiルーターの貸与に関する費用も含まれています。

 

また12億3880万円の財源ですが、国から3億9238万円、松戸市一般財源18億3万円、市債6億6550万円になります。都道府県のなかには、国の補助に加えて都道府県独自に市町村の「GIGAスクール構想」に対して財政支援をおこなっているところがありますが、残念ながら千葉県ではおこなっておりません。

 

この松戸市の「GIGAスクール構想」について、関根ジローと同一会派のDELI市議が6月議会本会議で質問を行いました。

 

議事録(未定稿)を転載します。

 

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◇質問:DELI市議

 

〇 GIGAスクール構想に関連して大きく3つの質問をします。

 

まず、(1)端末等について、4点の質問をします。

 

1として、1人1台を整備するとのことだが、何台整備するのか。

2として、PCかタブレットか、買い取りかリースか。

3つとして、全国的にGIGAスクール構想が前倒しになったことで需要が高まり、供給が遅れると指摘されているが、松戸はいつ購入できるのか。

4つとして、自宅にパソコンとインターネット環境がない世帯に2600台貸与するとしていたが、不足分はこのPCを家庭に対して貸与するのか。

それぞれお答えください。

 

次に、(2)として、ネットワーク等について4点伺います。

 

1つとして、ネットワーク環境整備とはLTE方式か、Wi-Fi方式か。

2つとして、Wi-Fi方式の場合、同時接続何台可能を想定した整備になるのか。

3つとして、校内LANのネットワーク機器が、2の質問の答弁の台数に応じたギガ対応になるという理解でよいか。

4つとして、センター集約方式か各学校個別方式か。

以上、ご答弁をよろしくお願いします。

 

最後に、(3)して、緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備について、を伺います。

 

GIGAスクールのメニューに「緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備」として「Wi-Fi環境が整っていない家庭に対する貸与等を目的として自治体が行う、LTE通信環境の整備を支援(いわゆるモバイルWi-Fiルーターの整備)」がメニューにあります。ここで6点伺います。1点目として、今回の補正予算にモバイルWi-Fiルーターの整備費用が盛り込まれているのか。2点目として、含まれているのであれば、何台確保するのか。3点目として、通信量に上限はあるのか。4点目として、その確保する台数はどのように決めたのか。5点目として、貸与はいつになるのか。6点目として、貸与以降、どのように活用するのか。お答えください。

 

◇答弁:市役所

 

議案第12号のうち、GIGAスクール構想につきまして、順次ご答弁いたします。

まず、質疑の要旨の(1)についてでございますが、整備は市内公立小・中学校に通学する全児童・生徒を対象に、3万4千台のタブレット型パソコンを、リース契約により10月から順次導入する予定で進めております。

なお、GIGAスクール構想として整備するパソコンは、緊急対応の一環で貸与を予定している2,600台のパソコンとは異なる整備であり、これまで整備してきたパソコンの不足分を補うものではございません。

次に、要旨の(2)について でございます。

学校内におけるネットワークの整備は、最大900台までの端末が同時に接続できるWi-Fi方式を計画しております。

また、校内LANの機器も、900台の同時使用を見据えていることから、高速大容量の通信速度に対応した機器の整備を予定しております。

なお、インターネットの接続につきましては、各学校毎(ごと)の個別方式による接続を計画しております。

最後に、要旨の(3)について でございます。

オンライン学習環境の整備といたしましては、今回の補正予算には、2,600台分のモバイルWi-Fiルーターの整備費用や月額定額5ギガバイトの通信料金が含まれております。

なお、2,600台のパソコンにつきましては、既に各学校に配置してある機器のうち貸し出し可能な分を、緊急対応として活用する予定であり、6月から順次貸し出しできますよう、準備を進めているところです。

また、オンライン学習サービスといたしましては、デジタルドリル教材である「eライブラリ」と、千葉県教育委員会が作成した「チーてれ スタディネット」をすぐに利用ができますよう準備しております。

以上、ご答弁とさせていただきます。

 

◇再質問:DELI市議

 

大きく3つの観点から再質問します。

 

(2)について再質問します。

各学校個別方式は、センター集約方式に比べて、安定した高速通信を確保できる方式なので評価します。一方で各学校個別方式は「セキュリティ」や「端末管理」について、各学校が一定の作業を行う必要がある可能性が指摘されています。このことについて2点伺います。1点目として「セキュリティ」や「端末管理」をはじめとして、各学校が行う作業はどのようなものが想定されるのか。2点目として、各学校が行うことが想定される作業について、その負担を軽減する工夫を市としてどのように考えているのか、お答えください。

 

(3)について再質問します。

今回の補正予算に「緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備」として、モバイルWi-Fiルーターの購入費用が盛り込まれていることが確認できました。その確保台数は、先般、各学校が各家庭に「情報端末調査票」を配布し、各家庭のパソコンやインターネット環境を調査した結果により、2600台を確保するとのことでした。この台数や通信量について2点の再質問をします。

 

1点目です。「情報端末調査票」によると、貸与する対象の家庭を「パソコン等の情報端末機器とモバイルWi-Fiルーターなどのインターネット環境の双方がない家庭」としています。「家にパソコンはあるが仕事で使うため、子どもが使えない場合」や「インターネット環境はあるが従量制の場合」などは貸与の対象となりません。これらの家庭に対しても貸与等の支援が必要と思いますが、検討されているのかお答えください。

 

2点目です。上限の通信量は月に5ギガとのことでした。一般的に1ギガの通信量は、動画120分と言われています。つまり月上限5ギガですと、10時間分の通信できるということになります。学習に関する静止画のWEBページを閲覧するのであれば十分ですが、学習動画を積極的に閲覧するのであれば上限があることは制約になりますし、ましてや、双方向のオンライン授業などを行うには通信量が不足することが容易に想像されます。ここで伺いますが、双方向のオンライン授業への検討の進捗を含めて、この5ギガを上限とした理由をお答えください。

 

◇答弁:松戸市

 

再質問について、順次ご答弁いたします。

まず、今後各学校が行うセキュリティや端末の管理に係る作業といたしましては、これまでと同様に、児童・生徒の個人に関する情報の管理となります。

本市といたしましても、このような新しい機器を導入しても、各学校の負担が増えぬよう、引き続き端末やセキュリティ面の管理・運用を一元的に行うなど、工夫してまいりたいと存じます。

続きまして、要旨の3点目の再質問にお答えします。

今回は、あくまで新型コロナウイルス感染症への緊急対応であり、文部科学省からの「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」を踏まえ、まずはご家庭のパソコンやタブレット・スマートフォンなどの活用、学校の端末貸与など、あらゆる機器や環境を最大限に活用することを考えております。従って、議員ご指摘の、家にパソコンはあるが親が仕事で使うため子どもに使わせられないご家庭や、インターネット環境はあっても従量制のサービスに加入しているため、子どもの利用によって通信料金が上がるといったご家庭については、端末の貸与の対象としておらず、今回の緊急対応としては、今後も対象を増やすことは考えておりません。

なお、GIGAスクール構想において活用する機器は、構想の主旨でもある「多様な子ども達を誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の現場で持続的に実現」を目的としておりますことから、議員ご指摘のケースも含め、検討する必要があると考えております。

続きまして、緊急対応で貸与するモバイルWi-Fiルーターの通信量5ギガを上限とした理由についてですが、インターネットを介して活用いたします、先にご答弁いたしました「eライブラリ」と、「チーてれ スタディネット」が閲覧できる通信量を見込んで設定したものでございます。

なお、双方向のオンライン授業につきましては、GIGAスクール構想を進めていくうえで、その活用方法の一つとして考えられます。したがいまして、子どもたちの学力向上に向け、今後も状況に応じてより効果的に活用し、学びを支援できますよう、双方向のオンライン授業も含め、調査・研究してまいりたいと考えております。

以上、ご答弁とさせていただきます。