新松戸駅は街並みが整っている西口に比べ東口には畑が広がり、車が通行できる道路がありません。多くの市民はアクセス道路や駅前広場を整備してほしいと思われていることと思います。

松戸市3月議会には、立体換地(市がマンションを建設する)を伴う新松戸駅東口区画整理関連事業費が含まれた補正予算案が提案されました。アクセス道路や駅前広場を整備する必要性はあるものの、事業の内容に重大な問題があるため、関根ジローは所属する会派「政策実現フォーラム」を代表して、3月1日の本会議で反対討論を行いました。残念ながら、賛成多数で可決されてしました(議案に対する各会派・議員の賛否態度は下記をご覧ください)。討論では「財政面の問題」「地権者合意形成の問題」「手続きの不透明さの問題」に分けて討論しました(討論原稿を転載します)。市は新松戸駅東口区画整理事業を見直すべきです。

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令和元年度松戸市一般会計補正予算(第4回)について会派を代表して討論します。

令和元年度松戸市一般会計補正予算(第4回)のうち「土地区画整理関係業務以外の補正予算は賛成なものの、土地区画整理関係業務のうち「換地設計等業務委託」及び「立体換地建築物基本設計業務委託等」について認めがたいため、苦渋の決断で『令和元年度松戸市一般会計補正予算(第4回)に反対』」することとします

土地区画整理関係業務のうち「換地設計等業務委託」及び「立体換地建築物基本設計業務委託等」について認めがたい理由を、「財政面の問題」「地権者合意形成の問題」「手続きの不透明さの問題」に分けて討論します。

◎まず、「財政面の問題」についてですが、2点の指摘をします。

1点目は、松戸市全体としての財政面の問題についてです。委員会質疑で確認しましたが、「換地設計等業務委託」及び「立体換地建築物基本設計業務委託等」は、昨年12月議会において執行部が明らかにした事業計画を前提にしたものであることがわかりました。この事業計画に投入する市税投入額としては、区画整理に約65億円、道路整備に約11億円、合計約76億円を見込んでおります。一方で、今後、松戸市としては「市役所建て替え」「焼却場建設」「公共施設再編」「学校施設の長寿化」など多額の予算を要する事業が控えています。しかもこれらの事業は、しなくてもよい事業ではなくマストの事業です。しかしながら、これらの総額がいくらになるのか現在まで明らかにされていないなかで、必ずしもマストではないと思われる立体換地を伴う区画整理事業に約76億円投入する財政的な余力があるのか大きく疑問であります。また、多額の予算が必要な立体換地を伴う区画整理事業ではなく、よりコストがかからない道路整備事業など他の手法の検討が十分にされていないことも問題であると指摘します。

2点目は、立体換地建築物建設費の問題です。事業計画書では、立体換地建築物を建てたコストよりも18億5千万円も安い価格で処分する計画になっており、市税の使い方として市民の納得を頂くことは極めて難しいと、指摘せざるを得ません。

◎次に「地権者合意形成の問題」について2点の指摘をします。

1点目として、賛成者が減少傾向である問題です。委員会質疑のなかで「12月下旬に12名の連名で、市に要望書が提出されている」ことについて伺いました。要望書の内容を伺ったところ「事業内容の見直しを求めるものだった」と答弁があり、それに対して「土地区画整理事業に反対という理解でよいか」と質問したところ、「市としては賛成と捉えている」という、極めて苦しい答弁がありました。この点について、要望書が「事業内容の見直しを求めるものだった」ことから、少なくとも12人の方はこの事業計画の土地区画整理には「賛成していない」ことが明らかになったと受け止めるべきで、以前に比べて賛成者が減少している問題があることを指摘します。

2点目として、合意形成にむけて市が丁寧な説明をしていない問題です。先ほど紹介しました12月下旬の要望書について、「要望書を市が受け取って以降に、要望者と対話を重ねたのか」と質問したところ、「要望書への回答を書面で出した」のみであることも明らかになりました。我が会派としてはこれまでの議会で再三に渡って、地権者に対して丁寧な説明をしてもらいたいと要望しておりましたが、この要望書に対してその回答を書面で回答するに留める市の姿勢が、地権者に対して丁寧な説明であったとは言えないことを指摘します。

◎最後に「手続きの不透明さの問題」について、1点指摘します。

コンサルタントに関する契約について、公募型プロポーザルを行っているものの、公募期間が約一週間という極めて短い期間であったことや、応募条件が厳しいものになっていることもあり、三菱地所(地権者が三菱地所を紹介してきたと、市が12月市議会で答弁しています)が選定されるべく選定されたような印象をうけます。また、コンサルタント契約は「無料」ということも、過去の議会の審査において明らかになり、競争性や公平性が担保されていたのか、疑問の声が市民から挙がっています。加えて、市が建設したマンションの大部分を、公募により譲渡することになっていますが、無料のコンサルタント三菱地所も応募することは可能であることも審議のなかで明らかになりました。結果的に三菱地所が譲渡をうけた場合には、市民からさらに疑問の声が挙がると思われることを指摘します。

このように、土地区画整理関係業務は多くの問題があります。

◎そもそも、国土交通省が策定した「立体換地マニュアル」には、「立体換地を活用するめメリットとして、より簡易な手続きでスピード感をもって実施することが可能」としていますが、区画整理事業地のうち3割以上を所有する地権者が、アクセス道路や駅前広場の整備については理解し協力する姿勢を示しているものの、マンション建設を伴う77%を超える減歩率の土地区画整理事業に反対している現状では、すでにスピード感をもって実施することが不可能になっています。事業が長引くことが容易に想像されるなかで、経済状況変化のリスク増大、また地権者の高齢化に伴う相続も発生するかもしれません。とりわけ、昨年の台風等の災害によりタワーマンションが災害に弱いのではないかと言われており、タワーマンションの魅力の低下が報道されるようになりました。また、消費税増税による景気の悪化も報道されています。加えて、新型コロナウイルス感染症対策の影響により報道によっては東日本大震災を超える日本経済への悪影響が懸念されています。このようにリスクが明らかに増大しています。

このような社会状況・経済状況の大きな変化が起きているなかで立体換地を伴う土地区画整理事業はリスクが大きすぎると思います。少なくとも、土地区画整理関係業務の予算は、地権者の合意形成を図ってから提案すべきです。事業の実現可能性が低いなかで、急いで予算計上しても結果的に「換地設計等業務委託」及び「立体換地建築物基本設計業務委託等」に関する本補正予算約5,674万が無駄になってしまうかもしれません。

以上のように、土地区画整理関連業務の一部について、問題点が重大であるため本補正予算に会派を代表して反対を申し上げて討論とさせて頂きます。

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<賛成した会派・議員>

●松政クラブ
木村みね子
桜井秀三
鴈野聡
中村典子
大塚健児
大谷茂範
大橋博
鈴木大介
石井勇
箕輪信矢
杉山由祥
田居照康
小沢暁民

●公明党
城所正美
諸角由美
篠田哲弥
鈴木智明
松尾尚
岩瀬麻理
高橋伸之
伊東英一
飯箸公明
織原正幸

●市民クラブ
末松裕人
市川恵一
渋谷剛士
岩堀研嗣
深山能一
中川英孝

<反対した会派・議員>

●政策実現フォーラム
二階堂剛
関根ジロー
成島良太
戸張友子
DELI
増田薫
原裕二

●日本共産党
宇津野史行
平田きよみ
ミール計恵
山口正子

●会派に属さない議員
中西香澄
岡本優子
山中啓之

※敬称略
※議長は採決に加わらない