千葉県が「口利き記録制度」を含めた職員倫理条例を2019年4月に施行しています。この背景は、2017年11月に談合事件によって千葉県職員が逮捕されたことがきっかけです。公務員として注意を欠く行為があった反省から、県民の疑惑や不信を招く行為を行わないように条例・規則を施行したものです。

関根ジローはかねてから松戸市においても口利き記録制度の導入を求めておりますが、この千葉県の動きをうけて松戸市議会で改めて導入を求めました。

議事録(2019年9月議会)を転載します。

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◇質問:関根ジロー

口利き記録制度等の導入について

口利きの記録制度は、自治体が地方議員などからの要望や働きかけなどいわゆる「口利き」を受けたときに文書に残して庁内で共有する制度です。10年以上前に、宮城県や神戸市などで議員の口利きを発端にした談合や汚職事件が相次いだことをきっかけに、不正の未然防止を目的に、全国の自治体で「口利き記録制度」の導入が始まったものですし、最近の「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題をきっかけに改めて注目を集めています。

この口利き記録制度の導入にむけて、私から、これまでの議会で複数回、質問をさせて頂いておりましたが、先般、千葉県が「口利き記録制度」を含めた職員倫理条例を今年4月に施行しました。

この背景は、一昨年11月に県職員が逮捕された事件があります。県による談合事件の調査では、2016年6月にあった業者、県議との会食に県職員13人が参加し、コンパニオン、土産付きなのに会費五千円で自己負担が少なかったと推認されました。公務員として注意を欠く行為があった反省から、県民の疑惑や不信を招く行為を行わないように条例・規則を施行したものです。

国家公務員倫理法・倫理規程を基本とし、利害関係者からの金品の贈与や供応接待、利害関係者とゴルフ、旅行をすることを禁じるほか、自己負担であっても一万円を超える飲食をする場合は届け出が必要になりました。金品の贈与を受ければ免職になるなど懲戒処分の基準も定めています。県は年に一度、倫理が保たれているかの状況を公表するとのことです。また、事件では、入札に関して県OBからの働きかけがあった。それを教訓に、条例とは別の再発防止策として、県はOBの働きかけを記録・検証する制度を来年四月から導入したとのことです。

ここで伺いますが、口利き記録制度を含めて利害関係者からの金品の贈与を禁止する職員倫理条例を千葉県が施行したことをうけて、松戸市の取り組みをお答えください。

◇答弁:松戸市

はじめに、質問事項2について、ご答弁申し上げます。
本市の取り組みといたしましては、平成21年4月に、職員の倫理原則や職務関係者等との適正な関わり方について定めた「松戸市職員の倫理等に関する規程」を施行いたしました。
併せて職務関係者等との関わり方の可否について、具体例を挙げながら解説した「倫理規程解説」を作成し、新規採用職員への研修をはじめ、全職員への周知徹底を図っているところでございます。
また、千葉県におきましては、本年4月に職務の執行の公平さに対する疑惑や不信を招くような行為の防止を図るため、「職員倫理条例」を施行いたしました。
本市におきましても、同様の趣旨をもって運用しているところでございますが、修正すべきところは柔軟に対応して参ります。
今後も、職務の執行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図ることで、市政に対する市民の信頼を確保するため、口利き記録制度も含め、引き続き、調査研究を行って参りたいと考えております。
以上、ご答弁とさせていただきます。

◇要望:関根ジロー

松戸市における平成21年4月に「松戸市職員の倫理等に関する規程」を施行したこと、同年7月には「倫理規程解説」を作成し、新規採用職員への研修をはじめ、全職員への周知徹底を図っていることをご紹介頂きました。そのうえで、本年4月に施行された千葉県の「職員倫理条例」についても参考にしながら、松戸市の倫理規定や倫理規定解説を改善する必要がある場合には修正していく、という考えをお答え頂きましてありがとうございました。また、あわせて口利き記録制度についても導入にむけて検討してくださるとのことありがとうございます。

千葉県の職員倫理条例と、松戸市の倫理規定を読み比べてみますと、概ね千葉県の条例のほうが厳格で、より具体的な規定になっているように感じました。

例えば、利害関係者の対象について、千葉県では入札資格者の名簿に登録されている業者を含めているのに対して、松戸市ではこの規定はありません。

利害関係者との飲食について、千葉県では自己負担であっても1万円を超える飲食をする場合は倫理監督者に事前に届出が必要ですが、松戸市ではこの規定がありません。

千葉県では利害関係者以外の事業者等から5千円を超える贈与等を受けた場合、任命権者に報告をする必要がありますが、松戸市ではこの規定がありません。

千葉県では過去に従事していた職務での利害関係者も、異動後3年間は原則として利害関係者とみなされるとしていますが、松戸市ではこの規定がありません。

金銭、物品等の贈与を受けることについて、千葉県はせん別・祝儀・香典又は供花を列挙して禁止していますが、松戸市ではこの規定がありません。

千葉県は年に1度、倫理が保たれているか公表することとしていますが、松戸ではこの規定がありません

千葉県は倫理違反に関する懲戒処分基準を明示していますが、松戸市では明示しておりません。

千葉県は、事業者に対しても「千葉県と関わりのある事業者の皆様へ、県職員の倫理保持へのご協力のお願い」というパンフレットを作成のうえ配布していますが、松戸市ではこのような取り組みをしておりません。

以上、千葉県職員倫理条例にあって、松戸市倫理規定にないものは多々あります。松戸市におかれましては、千葉県の職員倫理条例を参考に、より一層松戸市行政の透明性がはかれるように、口利き記録制度導入を含めた松戸市倫理規定の改善をして頂きますよう要望します。