第13回マニフェスト大賞ノミネート(優秀賞候補)が発表され、関根ジローが事務局として参加する「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク」が取り組む「色覚チョーク」が選ばれました。応募総数 は2,242件で、優秀賞候補に選ばれたのは109件の取り組みです。詳細はコチラ⇒ http://www.local-manifesto.jp/manifestoaward/docs/2018100100016/

 

下記が、色覚チョークの取り組みについてのエントリー文書です。

 

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■取り組み概要

 

1.取り組み概要

 

色弱(※1)の子供たちを含めたすべての児童が見やすい「色覚チョーク(添付①)」を全国の学校に導入推進。導入された学校現場からは「暗い背景に対する赤など、文字がはっきり見えるようになった」「各色の区別がつくようになった」と反響が挙がる。一方で先生からも「白と黄色以外の色チョークも気兼ねなく使用することが可能となり(※2)、負担軽減につながった」という声も挙がっている。

 

色覚チョークを導入した自治体がメディアで報道(添付②)されたことや、各地方議員の議会質問によって、全国の学校で色覚チョークの導入が加速している。色覚チョークは国会でも話題となり、文部科学大臣が色覚チョークに関する国会答弁を行った。

 

2.取り組みのきっかけ

 

10年ほど前に東京大学、伊藤啓氏およびNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(以降、CUDO)メンバーがチョークメーカーに協力し、どの色の配合であれば、色弱の子供たちによく見えるか、色覚チョークが開発された。しかしながら「10年経過しても全国の学校現場に色覚チョークが認知されないし、導入する学校が拡がらない」という声を、カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク(以下、CUDN)(※3)が聞いたことをきっかけに、全国の地方議会で色覚チョーク導入を求める議会質問を行うことになった。

 

3.色覚チョークの導入の実績

 

例えば、千葉県松戸市では、2017年3月の予算委員会で色覚チョークの導入を教育委員会に求め、その結果、複数校で色覚チョークの導入が始まった。その後、同年12月議会において、市内全65校ある小中学校に色覚チョークの導入を求める提案をしたところ、教育委員会は「先行で色覚チョークの導入をしている学校から『赤い文字がはっきり見えるようになった』『以前より文字が明るくなり、線の輪郭がはっきりするようになった』等の声が寄せられたことから、4月から小中学校で全面導入する」ことを明らかにした。松戸市をはじめCUDNに所属する超党派地方議員も各議会において、色覚チョークの導入にむけて提案を行っており、全国規模で色覚チョークの導入が加速している。

 

※1 色弱(眼科学会では色覚異常)とは色の見え方の特性がその他大勢の人と異なり、特定の色同士の区別がしづらいことをさす。日本では男性の約5%、女性の約0.2%、人数にすると全国に300万人以上いるとされている。

 

※2 文科省は、2003年に策定した「色覚に関する指導資料」の中で、「黒板上に赤・緑・青・茶色などの暗い色のチョークを使用することを避けるようにする」と記載し、教職員に対して「白と黄色のチョーク」の使用を推奨している(添付③)。

 

※3 CUDNは、「消防採用時における色覚検査の実施状況調査(第12回マニフェスト大賞受賞)」をきっかけに立ち上がった、全国の超党派議員、学生、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構と関連団体が協力するネットワーク。

 

■力をいれたポイント

 

1.各地方議会において色覚チョーク導入を議会提案

 

CUDNに参加する各地方議員は、それぞれの議会において色覚チョークの導入にむけて議会提案を行っておりますが、その質問の事前にCUDNが立ち上げているフェイスブックグループで情報共有し、メンバーが協力してより質の高い質問に練りあげるなどの工夫をしています。また、CUDOをはじめとした色弱の当事者もフェイスブックグループに参加して頂いていており、助言を得ています。

 

2.文部科学大臣に色覚チョークに関する国会質問を行う

 

CUDN顧問の櫻井シュウ衆議院議員が2018年3月の衆議員文科委員会において、憲政史上初めて国会に黒板(色覚チョークと従来チョークを比較するため)を持ち込んでの質問を、文部科学大臣に対して行いました。質問の趣旨は、2003年に文科省が策定した「色覚に関する指導の資料」において、「白と黄のチョークを主体に使います」や「黒板上に赤・緑・青・茶色などの暗い色のチョークを使用すると、見えにくいため、避けるようにする」と書かれており、このことが色覚チョーク(白/朱赤/黄/青/緑)の普及を妨げている要因ではないか 、というものです(※1)。林芳正文科大臣からの答弁要旨は次の通りでした。

 

「色覚チョークを使用するかどうかは各学校や教育委員会の判断に任せる」「色覚チョークを学校で使用することは問題ない」「色覚に関する指導の資料を今後改定する際には、色覚チョークを盛り込むよう検討したい」

 

この文部科学大臣の答弁を背景に、全国の学校現場では色覚チョーク導入の動きがさらに加速しています。

 

3.色覚チョーク製造メーカーについて

 

現在、色覚チョークを製造しているチョークメーカーは日本に2社のみです。色覚チョークが全国の学校で拡がることによって、従来チョークしか製造していないメーカーも色覚チョークを標準品として製造するようになることが、私たちの願いです。いつの日か、色覚チョークが学校現場ではあたりまえになれば、もはや色覚チョークではなく「チョーク」と呼ぶことになると思います。いつか、あたりまえになるように、CUDNは引き続き全校の学校現場に色覚チョークの導入を働きかけてまいります。

 

※1 色覚チョークの価格についてですが、製造元の段階では色覚チョークと従来チョークは同じ価格です。しかしながら、流通の段階では、販売量が多い従来のチョークが安くなるという現象が起きています。でも、これは色覚チョークの販売が増えれば増えるほど、色覚チョークの価格も安くなる、という話です。加えて、色覚チョークが従来のチョークよりも高いと言っても、1本のチョークにしてみると“数円”だけ高いという話であり、価格が導入を妨げる問題ではありません。