いま農家の多くは高齢化や労力不足でこまっています。

 

このような背景から、農業に関心を持つ市民を対象に農業の知識と技術を養成し、援農ボランティアとして農家で活躍できる人材を育成し、農家に派遣する取り組みである援農ボランティアが全国的に注目されてきております。

 

松戸市においても、さらなる援農ボランティアの推進がされるよう、2018年6月議会において関根ジローが議会質問を行っており、市から「現在策定中の松戸市都市農業振興計画のなかで、推進する方向で位置付ける」との答弁がありました。

 

以下、議事録転載です。

 

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■質問:関根ジロー

 

さらなる援農ボランティア推進に向けて見解を伺う。

 

私はサラリーマン時代、松戸から常磐線に乗って新宿に通勤していました。車窓から見える松戸~金町間に広がる矢切耕地の景観は素晴らしいし、後世にも残すべきと思います。矢切耕地をはじめとした松戸市の農業の現況を調べてみたのですが、戸数・従事者数・耕地面積がすべて減少傾向です。それだけではなく、農業従事者の高齢化も顕著であり、大変に厳しい状況になっています。

 

矢切耕地をはじめ松戸の農地を守っていくためには農家への支援が必要だと思います。

 

このような背景のなかで、我孫子市では「地産地消」の推進を目的に協議会が作られており援農ボランティアが盛んだと伺いましたので、先日、視察してきました。

 

都市の農業や農地に対する市民の関心と期待が高まっているなか、農家で農作業を手伝ってみたいなど、農業に関心を持つ市民を対象に農業の知識と技術を養成し、援農ボランティアとして農家で活躍できる人材を育成し、農家に派遣する取り組みを、援農ボランティアといいます。

 

我孫子市の協議会が取り組む援農ボランティアの実績ですが、平成28年3月時点で71名のボランティア登録者があり、その活動実績は年間延べ1640件ありました。また、受け入れ農家数は19軒です。

 

協議会は、毎月、70名前後のボランティアに対して、ボランティア活動可能日をアンケート調査します。それと同時に、20軒前後の農家に対してもボランティアを受け入れたい日程をアンケート調査します。そして、そのそれぞれのアンケート調査を突き合わせる事務を協議会が担っていますが、想像するだけでも膨大な事務量だし、突き合わせる際には、ボランティアと農家の所在地や、相性など、きめ細かな配慮をしているとのことですので、大変な作業をされていると感じました。

 

この協議会に対して我孫子市の支援ですが、300万円の負担金をだしており、加えて事務所の提供、通信費の負担などを行っております。さらに、ボランティアを募る広報や、ボランティア養成講座の支援を行っています。なお、協議会では援農ボランティア以外の事業も行っており、そのすべての事業を含めて、300万円負担しているとのことですが、協議会に各事業の業務量を聞いたところ援農ボランティアに係る業務量がメインを占めていると、お話しを頂いたことも申し添えます。

 

ここで、伺います。

松戸市の援農ボランティアの現状と、さらなる援農ボランティアの推進にむけて松戸市の見解をお答えください。

 

■答弁:松戸市

 

援農ボランティアについてでございますが、松戸市では野良の会という団体が活動しております。現在、会員として登録されている人数は約50名、利用している農家は9件と把握しております。

 

当該団体に対しましては、会員の募集及び養成講座の広報掲載や、その問合せ、参加申込、会場の確保等を農政課でサポートしております。また、農業まつりや、みどりの花のフェスティバルにも参加して頂き、PR活動をしております。

 

農家とボランティアのマッチングにつきましては、JAのベテランの営農指導員が積極的に携わっておりますので、スムーズなマッチングが行われているとのことでございます。

 

我孫子市の団体は、あびこ「地産地消」推進協議会というもので、援農ボランティア事業のみではなく、直売所や学校給食など、農業に関する事業を総合的に行う団体でございます。

 

我孫子市の負担金300万円につきましては、当該団体全体の事業に対して負担金として支出されているものであり、その団体のなかにおける援農ボランティアの事業費としては、13万円が充てられていると聞き及んでおります。

 

松戸市と我孫子市の援農ボランティアを比較しますと、ボランティア人数や利用農家数では、件数が少ないと感じることと、金銭的な支援は行っておりませんが、サポート体制といたしましては、松戸市でも同様な支援を行っているものと考えております。

 

いずれにいたしましても、援農ボランティアの需要が市内農家からあり、野良の会の活動も大変感謝を受けているということは、団体の代表者から聞き及んでおります。

 

今後につきましてはJAとの更なる連携による支援を図るとともに、長期的に活動して頂くためにも、現在策定中の松戸市都市農業振興計画のなかで、推進する方向で位置付ける必要性があると思いますので、他市の活動を研究するとともに、松戸市農業振興計画推進委員会で議論していただくよう勧めてまいります。

 

■要望:関根ジロー

 

松戸市の援農ボランティアについて、野良の会に対して一定のサポートをしている説明がありました。そのことについては評価をしますが、援農ボランティアにおける最大の事務作業であるマッチング作業で生じる労力や通信費への市としてのサポートがまったくなされていないことも明らかにになりました。今後、策定中の市農業振興計画のなかで、援農ボランティアを推進する方向で位置付けるとのことですので、さらなる支援を期待いたします。