立憲民主党 石橋みちひろ参議院議員のメーリングリストを転載します。石橋さんは働く立場に立って力を尽くしてくれたと思います。石橋さんの取り組みを多くの働く立場の皆さまに知ってもらいたいです。

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◎働き方改革関連法案が成立してしまいました...

 今日午前に行われた参議院本会議で、「働き方改革関連法案」が採決され、本当に悔しくて、残念かつ無念ですが、与党などの賛成多数で可決し、成立しました。

 本会議では、私も立憲民主党会派を代表して反対討論に立ち、渾身の力を込めて法案の問題点を指摘し、反対を訴えました。これまで毎回のように厚生労働委員会で質問に立って、それこそ枚挙に暇がない法案の問題点や懸念点を徹底的に追及してきただけに、高度プロフェッショナル制度の撤回を含めて具体的な成果が勝ち取れなかったことは、本当に残念でなりません。

 以下、長文になりますが、ここに至るまでの経過をご報告しておきます。

・6月26日の様子

 今週の参議院厚労委は、まず6月26日(火)に「総理入り質疑」が行われて、私も15分間の質問に立ち、安倍総理に直接、「高度プロフェッショナル労働制」の問題を中心に見解を質しました。

 そもそも普通は、「総理入り質疑」というのは対政府質疑で論点が出尽くして、法案の大きな論点について総理大臣の決断を求める場合に行われるものです。その意味では、私はこの段階で「総理入り質疑」が行われること自体に反対でしたので、厚労委の理事懇談会ではその旨、発言して、法案審議の続行を求めたのですが、与野党の筆頭理事が合意してしまったことで、総理入り質疑が行われることになってしまったわけです。

 委員会室には、この日も多くの傍聴者が駆け付けてくれて、私たちの対総理質疑を応援してくれていたのですが、この期に及んで、官僚の作成したメモをただ棒読みするだけの安倍総理の答弁を聴いて、皆さんさぞがっかりしたことと思います。

 まあ、これじゃあ議論が深まらないのも仕方ないです。これだけ委員会審議を積み上げて、論点を洗い出し、具体的な対応を求めているのに、政府の答弁が衆議院の審議入り段階と変わらないのでは、何のための国会審議か分からなくなってしまいます。この辺も、安倍内閣がいかに国会審議を軽視しているかが分かります。

 火曜日の午後には、通常の対政府質疑も開催されて、私も午前中に続いて40分間の質問に立ちました。実は、高プロ制度は、法案には何らの期間制限もなく、極端な話では、1日単位の利用も可能なんです。しかしこれでは、ますますこの制度が、企業のいいように乱用・悪用されてしまいます。だって、1日単位で契約すれば、24時間フルに働かせることができて、そうするとなんと時給1,400円程度での「働かせ放題」が可能になってしまうのです。

 前日の月曜日に、この問題を取り上げることを厚生労働省に事前通告したところ、慌てて議論したんでしょうね。それまで1日単位でも契約可能と言っていたのに、当日の委員会では「あまりに短期の契約は制度の趣旨に合わないので、1ヶ月未満については指針等で制限する」との答弁が突如、飛び出してきました。法案の穴を埋める約束を取り付けたことは喜ばしいのですが、一晩でそうした対応が可能ならば、その他の数多くの問題点についても、同様に真摯に対応して欲しいものです。

 ところで、自民党は、この日の質疑をもって審議を終局させ、採決を行うことを求めてきました。私たちはもちろん、審議が尽くされず、法案の根幹部分の課題が依然として解決されないまま、審議を打ち切って採決することには応じられません。最後まで押し問答した結果、それでもなお、自民党が採決を強行する姿勢を見せたために、緊急で、加藤厚生労働大臣に対する問責決議案を野党共同で参議院に提出しました。

・6月28日の攻防

 翌水曜日の参議院本会議で、残念ながら加藤大臣の問責決議案は数の力で否決されて、その日の午後に厚生労働委員会の理事懇談会が開催され、与野党の筆頭理事から木曜日に2時間だけ委員会を開催するという提案がありました。これまで、厚生労働委員会は6時間の質疑を行ってきたので、木曜日も十分な審議時間を確保すべきだと私も強く要求しましたが、残念ながら委員長が議論を打ち切り、2時間だけの開催を決定してしまいました。明らかに、委員長の運営が大会派寄りの運営に切り替わったことを感じます。

 そしていよいよ木曜日の厚労委です。私は25分間の質問で、高プロの対象業務違反が確認された場合の法的効果、高プロの対象となる年収「1075万円」に手当が含まれる問題など、これまでの政府が不十分な答弁を繰り返してきた問題についてさらに追及しました。

 また、これまで議論されていなかった論点として、高プロ適用労働者の出産・育児休業の取得の問題や、「保育の必要量の認定」の問題について取り上げました。高プロは、労働契約上も就業規則等においても労働時間が定められていないので、「労働時間」とリンクしたさまざまな制度の適用がどうなるのか、分からないんですね。これ、結構大事な問題なんです。雇用保険、健康保険、厚生年金、保育の認定など、色々なことに絡むんです。

 今の保育制度では、保護者の労働時間(実績又は見込み)によってお子さんの保育の必要性と量が判断されんですね。高プロは労働時間という概念がないわけで、じゃあどうやって認定をするのかという問題になるわけです。

 まあ驚いたことに、これまで政府内(厚生労働省と内閣府)で、この問題についての話し合いは一度も行われていなかったと言うのです。私が質問で取り上げて、慌てて対応を検討する始末。まあこんなんばっかりですよ。これで法案の審議打ち切りを提案してくるのですから、開いた口が塞がりません。

 さて、ここからが本題です。

 委員会は、午前中2時間の審議後に休憩に入って、理事会が再開されました。そこで、与党側筆頭理事から、再度、採決の提案が行われました。私は、立憲民主党としては断固、反対であることを重ねて訴えて、審議の継続を主張しましたが、委員長判断で採決が決められそうな状況になってしまいました。そこで、立憲民主党として厚生労働委員長の解任決議案を提出(社民党、共産党も同調)し、対抗したのです。

 これまで、第一種常任委員長の解任決議案が提出された場合には、参議院本会議に上程し、採決を行って処理することが先例でした。これに反する事例は一度もなかったのです。ところが、本会議案件になるとすると、処理は翌日の金曜日となり、委員会での採決は来週火曜日以降になってしまうことから、与党も考えました。禁じ手である「議院運営委員会での揉み消し」を行って、本会議への上程を認めなかったのです。

 当然ながら、立憲民主党は議運委で猛抗議を行いましたが、数の力の前に屈し、午後6時30分から厚労委理事会が再開され、その後の委員会で採決が行われることが決められました。立憲民主党としては、採決時に委員会を退席することも真剣に検討しましたが、もはや何をしても法案は可決してしまいますので、法案には堂々と反対票を投じる一方で、47項目にも及ぶ附帯決議案に賛成する決断をして、委員会採決に臨みました。

 結果、内閣提出の「働き方改革関連法案」は可決し、私たちが提出した議員立法「パワハラ規制法案」は否決されました。いずれの結果も、無念でなりません。

 結果としては、重ねて、残念かつ悔しいばかりですが、これから労働政策審議会で多くの論点が議論されることを考えれば、47項目もの附帯決議を確保できたことはそれなりに意義があると思います。今後の議論、そして運用をしっかりとフォローしていきます。