早稲田大学名誉教授の北川正恭先生が審査委員長を務める第12回マニフェスト大賞の優秀賞候補が昨日発表されました。優秀賞候補に選ばれたのは、応募総数 2,597件のなかから108件の取り組みです。詳細は⇒http://www.local-manifesto.jp/manifestoaward/docs/2017092800010/

このなかに、関根ジローが発起人事務局を務め、全国の超党派地方議員・学生・市民と協力して取り組む「カラーユニバーサルデザイン推進議員ネットワーク」も選ばれています。

このカラーユニバーサルデザイ推進議員ネットワークの取り組みは、「消防採用時における色覚検査の実施状況の全国的な調査」です。

本取り組みは、色弱(※1)の当事者をはじめ、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(※2)にも評価して頂き、現在は、協力して全国調査や調査結果の分析を行っています。


(※1)色弱とは色の見え方の特性がその他大勢の人と異なるということを意味します。日本では男性の約5%、女性の約0.2%、人数にすると全国に300万人以上いるとされています。

(※2)特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構(略称CUDO)は、社会の色彩環境を多様な色覚を持つさまざまな人々にとって使いやすいものに改善してゆくことで、「人にやさしい社会づくり」をめざすNPO 法人です。かつて色盲・色弱・色覚異常などと呼ばれた人たちや高齢者、ロービジョンの方たちにも分かりやすい色づかいの社会を作ります。http://www2.cudo.jp/wp/


なお、関根ジローはこれまでに、マニフェスト大賞を2年連続3度受賞してお、今回受賞すれば3年連続4度目の受賞となります。

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下記が、マニフェスト大賞へのエントリー文書です。

■取り組み概要

1.取り組み概要
消防職員採用時における色覚検査の実施状況を調査~色覚検査の必要性が問われる結果をうけて全国で見直しの議論が加速~

2.調査のきっかけ
推進議員ネットワーク発起人が色弱のある松戸市消防職員から「故郷である東北のとある消防局に就職したかったが、採用時に色覚検査を求められ門前払いされる可能性があったため、色覚を求めない松戸市消防局(学生時代に住んでいた街でもある)を希望し入局することができた」という声を頂いたことをきっかけに、消防職員採用時における色覚検査の実施状況を調査することにした。

3.調査結果
発起人が学生と協力のうえ、平成29年度における地元千葉県内の自治体の消防職員採用時における色覚検査の実態調査を実施したところ、31の自治体のうち約6割の18消防が受験者に対し色覚障害を調べる色覚検査を求め、うち約8割に当たる14消防で検査結果が採用に影響していることが明らかになった。
色覚検査を求めていると答えた18消防はその理由として「車両運用などに支障をきたす可能性がある」などと信号機識別に関わる理由が目立ち、「健康などを確認する」、「わずかな色の差異で現場活動に関わる職員や一般市民の命に関わる事態に陥る可能性がある」といった回答もあった。このうち、約78%に当たる14消防は検査結果が採用に影響するとした。
一方で、求めていないと答えた13消防はその理由として「異常と判別される人でも、大半は支障なく業務可能」、「過去に実施していたが、支障などがない」などと、検査を求める理由を否定する内容の回答があった。検査を求める理由として、多くが信号機の識別を挙げたが、2消防は、運転免許を取得していれば問題ないと捉えている。

4.色覚検査の必要性が問われる調査結果
採用時の色覚検査について厚生労働省は平成13年に「色覚検査で異常とされても大半は支障なく業務が行える」ことから、雇入時健診での色覚検査を廃止し、就職に際して根拠のない制限を行わないよう通達を出している。
今回の調査によって、消防職員採用時において「色覚検査を求めていない」と回答した自治体は約42%を占め、且つその理由について「色覚異常があっても消防業務に支障がない」と回答していることから、色覚検査を実施する必要性が問われる結果となった。

5.全国展開へ
この調査結果を憂慮した超党派の地方議員らが集まり、調査を全国の都道府県内の自治体に拡げる取り組みがスタートしている。また、それぞれの議会において「消防採用時における色覚検査の在り方」を問題提起し、議論が活発になっている。

■特に力を入れた点、取り組みのポイント

「カラーユニバーサルデザイン推進議員ネットワーク」では、下記の3点を今後の活動指針としていきます。

1.消防採用時における色覚検査実施状況の可視化
 「カラーユニバーサルデザイン推進議員ネットワーク」では平成29年8月に千葉県内の自治体における調査を完了し、この結果を9月にウェブサイトで公開する予定です。これに加え、未調査の都道府県へと活動を拡大し、最終的には全国47都道府県すべてでの調査を目指します。この結果は、10月10日の「目の愛護デー」に同ウェブサイトで公開します。
この可視化は、色弱がある消防職への就職希望者が受験先を選ぶ際の大きな参考資料となります。加えて、同じ消防業務を行っているにも関わらず「色弱は消防業務に支障をきたすと考える自治体」と「色弱は消防業務に支障をきたさないと考える自治体」が存在する矛盾が生じていることを明らかにすることで全国的な議論が巻き起こることを期待しています。

2.各地方議会において消防採用時における色覚検査の必要性を問題提起
 「カラーユニバーサルデザイン推進議員ネットワーク」に参加する各地方議員は、上述の消防採用時における色覚検査実施状況の調査結果を活用し、厚生労働副大臣の国会答弁(※3)を参考にしながら、それぞれの議会において「消防採用時における色覚検査の在り方」について問題提起の質問を行います。

3.総務省消防庁に対して見解を問う
 厚生労働省は平成13年に「色覚検査で異常とされても大半は支障なく業務が行える」ことから、雇入時健診での色覚検査を廃止し、就職に際して根拠のない制限を行わないよう通達を出しているなかで、自治体によって消防採用時における色覚検査の実施の有無がバラバラであることについて、消防業務を所管する総務省消防庁に対して国会議員の協力を得たうえで、その見解を質問する予定です。

(※3) 平成26年3月14日参議院予算委員会において、有村治子 参議院議員の質問に対し、佐藤茂樹 厚生労働副大臣が採用時における色覚検査の在り方について①色覚を理由に一方的に採用を制限することは望ましくない ②色を見分ける仕事の場合、その具体的な業務内容の詳細を求人票に記述すべきである ③色覚検査を事業主が実施する場合には、本当に色覚検査が必要なのか事業主に説明責任が生じる ④事業主の工夫によって色覚異常の人も仕事できるように配慮することが望ましい といった旨の国会答弁を行っています。