千葉県内で初となる「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする学校施設の改築」が松戸市立上本郷第二小学校体育館において推進されております。

2月5日、松戸市及び千葉県の各担当課から地域住民に対して説明会が開催され、関根ジローも参加してきました。

松戸市担当課から「新築工事は平成30年度の卒業式前までに完成させること(工事スケジュールを添付)」「工事期間中の子どもたちの体育や行事に可能な限り影響がないように配慮すること(平成29年度卒業式及び翌年度入学式は代替施設にて実施)」や、「新設される体育館の仕様として出入口にスロープを整備すること、多機能トイレや洋式トイレを整備すること」「災害時に備えて備蓄倉庫の機能を備える」等の説明がありました。

松戸市には引き続きの丁寧な説明を、保護者や地域住民にお願いしたいと思います。
 


●土砂災害警戒区域とは?
土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害発生のおそれがある地域を明らかにし、その地域での避難警戒体制を整備するなど、土砂災害防止対策の推進を図ることを目的に、平成13年に「土砂災害防止法」が施行されました。

●千葉県内の現状は?
千葉県内には土砂災害警戒区域等のエリアが3000か所以上指定されており、そのうち41校の公立幼稚園・小中校学校が土砂災害警戒区域エリア内に存在しております。そのうち29校において、市町村が「避難所」として指定しております(平成26年9月1日時点。添付の千葉日報参照※)。このうち、松戸市においては上本郷第二小学校体育館、1校が該当します。

※添付の千葉日報の記事のなかに「県から市町村に対して該当学校施設の安全対策を要請」との記載がありますが、これはそのような事実はなく誤報です。詳細は⇒http://ameblo.jp/sekine-jiro/entry-12087297482.html
 


●土砂災害警戒区域に学校施設が存在することの問題点
土砂災害警戒区域等の指定がされた場合、当該区域における警戒避難体制の整備を図ることが義務付けされています。ここで問題となるのが、土砂災害警戒区域等の指定をされたエリアに、避難場所に指定された学校施設が存在することです。土砂災害警戒区域等の指定により、避難体制の整備を図ることになりますが、その避難場所が同エリアに存在することになり、矛盾が生じています。

●安全対策について
土砂災害警戒区域等の指定をうけた学校施設のハード的な安全対策について、次の2つの方法が想定されます。1つめとして、急傾斜地を補強する方法です。これについては国の補助制度があります。しかしながら、補強費用の一部をその急傾斜地の所有者が負担する必要があります。所有者が「民間」の場合には、一部とはいえ負担が生じることにご理解いただくのに時間がかかることは容易に想定されスピード感を持った事業推進が困難です。2つめとして、区域指定をうけた学校施設を移転・改築する方法です。しかしながら、これについての国の補助制度が存在しません。国の補助制度が存在しないなかで、各自治体の自主財源のみで移転・改築していくのは極めて困難です。

●松戸市立上本郷第二小学校改築の取り組みについて

2012年、土砂災害防止法に基づき、千葉県が上本郷第二小学校付近を土砂災害警戒区域等の指定を行い、体育館の一部がこの区域に含まれてしまいました。地域の避難場所として指定されている上本郷第二小学校体育館が、土砂災害警戒区域等の指定をうけたために、避難場所として相応しくないという状況に陥ってしまいました。

そこで関根ジローは安藤じゅん子県議と協力して、土砂災害警戒区域のエリア外に上本郷第二小学校体育館を移転建替えするべきと松戸市に要望していました。

その結果、2014年9月議会において、安藤じゅん子県議(当時は市議)の議会質問に対して、松戸市が「翌2015年に体育館の敷地内移転または改築にむけて設計したい」と明らかにしました。

しかしながら、その後、国の補助メニューに「土砂災害警戒区域等の指定を理由とした学校施設の安全対策」が存在しないことから、このままでは体育館改築事業費が松戸市の単独事業になってしまう可能性が極めて高いことが松戸市の調査で明らかになりました。

単独事業による体育館改築は松戸市財政への大きな負担になってしまうため、国県からの補助を得ることが出来ないものか、2015年8月、関根ジローと安藤じゅん子県議とで文部科学省と協議しました。その結果、学校施設環境改善交付金危険改築事業が適用される可能性があるとの認識が示されました。危険改築事業が適用の可否については、耐力度調査を実施し構造上危険な状態にある建物と判定した場合、1/3の割合で国が補助するというものです。

この文科省の見解をもとに、2015年9月議会において、関根ジローが、上本郷第二小学校体育館について耐力度調査を実施するよう提案しておりました。

その提案が松戸市2016年度予算に反映され、上本郷第二小学校体育館の耐力度調査費用が盛り込まれ、その調査結果によって、国費補助を得たかたちでの体育館改築が可能となり、平成30年度卒業式前までに新体育館を建設する工事が推進されております。


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【これまでの時系列】

■1969年
松戸市が上本郷第二小学校を避難場所として指定する

■2001年
「土砂災害防止法」が成立

■2002年
上本郷第二小学校体育館の耐震工事を実施

■2012年
「土砂災害防止法」に基づき、千葉県が上二小学校付近を土砂災害警戒区域等の指定を行う(体育館の一部が該当)

■2013年9月
松戸市議会において、安藤じゅん子千葉県議会議員(当時は市議)が「土砂災害警戒区域等の指定をうけた上二小学校の安全対策を求める議会質問」を行う

■2013年10月16日
大島で土砂災害発生 死者35名

■2013年10月21日
安藤じゅん子と関根ジロー市議の連名で松戸市長に「上二小学校の安全対策を早急に講じることを求める要望書」提出し、①「土砂災害発生した際に物理的に被害を軽減する工事等のハード面での対策」②「避難所場所としての再考等のソフト面での対策」③「解決案の住民への周知」を求める

■2013年11月
上記要望書を受けて、上二小学校体育館が避難場所の指定から解除される

■2014年8月20日
広島で土砂災害発生 死者74名

■2014年3月
松戸市議会において、関根ジローが「上二小学校体育館のハード面での安全対策を求める議会質問」を行う
⇒松戸市が「体育館の敷地内移転または改築を検討したい」と明らかにする

■2014年6月
松戸市議会において、安藤じゅん子が「土砂災害警戒情報発令時の体育館の使用について議会質問」を行う
⇒松戸市が「土砂災害警戒情報発令時には、体育館を中止する」と明らかにする

■2014年9月
松戸市議会において、安藤じゅん子が「上二小学校体育館の敷地内移転または改築の検討の進捗について議会質問」を行う
⇒松戸市が「翌2015年に体育館の敷地内移転または改築にむけて設計したい」と明らかにする

■2015年7月
松戸市の調査により「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする学校施設移転・改築への国・県の補助金メニュー」がないことが明らかになる

■2015年8月21日
安藤じゅん子・関根ジローが「千葉県教育委員会及び県土整備部」と協議。
⇒千葉県から「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする学校施設移転・改築の国・県の補助金メニューがないこと」 「県内におけて、上二小学校のようなケースがどのくらい生じているのか、その件数把握に努めたい」「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューがないことは県としても問題だと認識するので、国に補助創設について要望することを検討していきたい。また松戸市からも土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニュー創設にむけて千葉県に要望してほしい」との見解が示される。

■2015年8月28日
安藤じゅん子・関根ジローが「文部科学省及び国土交通省」と協議。
「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューはないとの見解が示された一方で、学校施設環境改善交付金のなかの危険改築事業が適用される可能性があるとの認識が示される。危険改築事業が適用の可否については、耐力度調査を実施し構造上危険な状態にある建物と判定した場合、1/3の割合で国が補助するというもの。

■2015年9月議会
松戸市議会において、関根ジローが「移転・改築の進捗状況」及び「上二小学校体育館の移転・改築にむけて、国の補助金の「学校施設環境改善交付」が確保できる可能性があるので、耐力度調査を実施してもらいたい」と議会質問を行う。
⇒松戸市が「移転・改築の進捗は現在進行形で検討しているところだが、その場所での改築になった場合には土砂災害に耐えうる建築物としたい」 「補助メニューがなくても教育員会としては来年度から移転・改築にむけて予算要求したいが、予算化されるかは財務部の判断」と答弁する

■2015年9月議会後
松戸市が「学校施設環境改善交付」の獲得にむけ耐力度調査を実施する方針を固める。

■2016年3月議会
上本郷第二小学校体育館の耐力度調査費用が盛り込まれた松戸市2016年度予算が成立。調査結果により、国費補助を得たかたちでの体育館改築の可能となる。