9月議会における関根ジローの質問に対して、松戸市が避難者カードを大幅に改善することを表明しました。既存の避難者カードを上記です。

超党派「避難者カード標準化プロジェクト」(http://www.hinansha.com/)では、各議会において避難者カードの改善を求める取り組みをしています。

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※松戸市の避難者カードの改善のポイント
①要配慮者のチェック項目を追加
②外国語表記の避難者カードを作成
③車中泊や軒先避難などの避難先を把握する項目を追加
④ペットに関する項目を追加(6月議会で改善を答弁済)

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議事録(未定稿)は下記の通りです。

■質問:関根ジロー

避難者カードの充実について伺います。

先般の6月議会からの継続での質問です。

避難者カードの位置づけや意義について、詳しく紹介したいと思います。2011年に発生した東日本大震災では、要介護高齢者、障がい者、妊産婦、乳幼児、アレルギー等の慢性疾患を有する者、外国人等(以下「要配慮者」という)が避難所等に避難を余儀なくされましたが、この要配慮者への支援が必ずしも十分ではなかった事から2013年6月に災害対策基本法が改正され、避難所における生活環境の整備等が進められています。この取組みに当たって、内閣府が「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(同年8月)」を策定し、避難者の数や状況の把握や要配慮者へのきめ細やかな支援を目的として、災害時に避難所の受付で作成する「避難者カード(避難者名簿)」を作成することが望ましいとしています。

6月議会では、松戸市が策定している避難者カードの項目にペット同伴の有無の記載が存在しないことを指摘し、避難者カードにペットに関する項目を設ける提案を致しました。その提案に対して、総務部長から「ペット同伴の有無を避難所の受け付け時に把握することは、その後の迅速な支援や対応につながることが期待できますことからも、全市的に統一した対応が行えるよう、ペットに関する項目の追加に向けて所定の手続を行ってまいりたい」と答弁を頂きました。

今回の質問は、ペットに関する項目以外にだけではなく、内閣府の取り組み指針に明記されている要配慮者にはじめとしたさまざまな項目を充実させる必要があるのではないかという質問です。

6月議会終了後、千葉県内の54自治体の避難者カードを入手し、その項目がどうなっているのかを調査しました。54自治体のなかで避難者カードをそもそも作成していない自治体は、野田市・神崎町・長柄町の3自治体ありました。また、要配慮者についてチェック項目設けている自治体は、妊産婦が14自治体/乳幼児が11自治体/障がい者が15自治体/要介護が18自治体/医療機器利用が9自治体/アレルギーが7自治体/傷病が31自治体でした。この都道府県における各自治体の避難者カードを調査し分析する取り組みについて、現在では超党派「避難者カード標準化プロジェクト」が立ち上がり、北海道・埼玉県・東京都・福井県・兵庫県・三重県・愛媛県の8都道県域に取り組みが拡がっております。

このような現状の避難者カードについて下記3点伺います。

1つとして、松戸市の避難者カードにおける要配慮者の現状ですが、チェック項目は設けておらず、自由記載のみであります。要配慮者への迅速な支援や対応を行っていくためにも、自由記載ではなく、要配慮者に関するチェック項目を設けるべきと思いますが、ご見解をお答えください。

2つとして、外国語表記の避難者カードについ伺います。千葉県内54自治体のなかで英語・中国語・韓国語等の外国語版の避難者カードを策定している自治体は、船橋市をはじめ一部の自治体のみでした。災害時には避難所にも外国人が避難することが考えれますことから、松戸市においても外国語版の避難者カードを策定すべきと考えますが、ご見解をお答えください。

3つとして、熊本日日新聞 2016年8月14日の記事によると、熊本地震では様々な事情によって軒先避難やテントや車中泊する避難者が多かった一方で、その現状を多くの市町村が把握できていなかったと報道されています。このことについて、同記事のなかで災害時の避難・支援に詳しい福島大うつくしまふくしま未来支援センターの天野和彦特任准教授は、「誰がどこで何を課題として、どんな状況にいるか』を把握しなければ適切な支援はできない」と指摘しております。このことから、松戸市の避難者カードにも、どこで避難をするのかを把握するための項目が必要と考えますが、ご見解をお答えください。


■答弁:松戸市

避難者カードは、避難所に避難された方の氏名、年齢、緊急連絡先などを把握することにより、その後の避難生活、避難対策を構築するうえで、重要な資料になるものと考えております。

そこで、まず、1点目の「避難者カードにおける要配慮者」についてでありますが、本市の現在の「避難者カード」にも備考欄として、避難されてきた方の「病気、アレルギー等の留意点」などを記載する欄を設けておりますが、具体的な病名などの記載などをチェックする形式をとっておらず、ややもすると記載漏れが生じる可能性も考えられます。

特に、多数の方が狭い体育館で共同生活する上で、健康問題の把握は、避難生活が長くなればなるほど、保健衛生対策、感染症対策を行うためには、非常に重要であると認識しております。

今後におきましては、他市の避難者カードの内容やどのような種類の病名を定型的に記載するかを含めてまして、検討・改良を加え、より良くしてまいりたいと存じます。

2点目の「外国語表記の避難者カード」についてでありますが、現在、本市では、外国人の方が母国語で記載できる避難者カードは作成しておりません。

議員ご指摘の通り、大規模地震が発生ひた場合、避難所には日本人をはじめ、外国人の方も避難される可能性がありますので、今後は、市内に居住している外国人の方の居住実態を把握し、必要な言語を抽出して、外国語表記の避難者カードの作成にむけ、検討してまいりたいと存じます。

3点目の「避難所に避難した方の避難後の居住実態の把握」についてでありますが、避難されてきた方も、家庭環境や避難に対する考え方も様々であり、避難所に避難してからも、その後どのような行動、対応をとるかは多様性があり、一律ではないと認識しております。

現在の避難者カードには、避難所に居住せず食料、物資のみを希望する及び緊急連絡先の記載欄はございますが、具体的に、避難所に避難後どのような対応をとるかを記載する欄まではございません。

今後は、継続的かつ効果的な支援を実施するため、避難後、どのような場所で避難生活をしていくのかなどのきめ細かい把握ができるように、他市の避難者カード等を参考にしながら、検討・改良を加え、より良くしてまいりたいと存じます。

■要望:関根ジロー

避難者カードの改善にむけての提案に対して、すべて前向きな答弁を頂きまして、感謝申し上げます。
1点、要望させてください。そもそもの話しになりますが、内閣府が「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を策定し、自治体に対して避難者カードの策定を求めているものの、内閣府自体があるべき避難者カードの例示をしておりませんし、また優良な避難者カードの紹介をすることもしておりません。また、千葉県自体については避難者カードの例示をしておりますが、要配慮者のチェック項目が不足しており充実した内容とは言えません。そこで、松戸市として、千葉県や内閣府に対して、内閣府が策定した「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」に実行性を持たせる・または指針を具現化した、あるべき避難者カードを策定・例示・紹介するように要望して頂きたいとお願い致します。