北川正恭 早稲田大学名誉教授が審査委員長を務める「第10回マニフェスト大賞 」において、関根ジロー・学生・市民団体が連携して取り組む「選挙公報.com」が「優秀コミュニケーション・ネット戦略」を受賞しました。

受賞にあたってマニフェスト研究所が発行するマニフェスト大賞記念冊子に下記の通り寄稿しました。

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「選管ウェブサイトへの選挙公報の継続掲載が実現」

▽取り組み概要
総務省の通達によってこれまで投票日に削除されてきた各地の選挙管理委員会(以下、選管)が管理する立候補者たちの選挙公報を、投票日以降もウェブサイトに掲載できるように訴えた結果、全国紙、地方紙、ネットメディアなど多くの媒体で紹介されて話題となり、総務省が見解を修正することになりました。
選挙公報は投票に向けた候補者の周知と同時に、選挙後に公約の達成をチェックする「ツール」にもなり、また選挙公報を継続的にウェブサイトに掲載することで、インターネット世代の学生・社会人の若者が接しやすく、政治・行政への関心の向上や投票率向上も期待されています。

▽総務省の見解を修正に至った経緯
総務省は2012年、各選管ウェブサイトに選挙公報を掲載することを認めましたが、選管向けの通達や「Q&A集」で「掲載は投票日までが適当」とし、この総務省の通達に沿った形で各選管は選挙後にウェブサイトから選挙公報を削除してきました。
しかし、「選挙公報が削除されてしまうと、候補者の公約達成を有権者が確認することが難しく、当選しても言いっ放しになってしまう政治家もいる」と、松戸市議会議員 関根ジロー事務所でインターンを経験した大学生たちが問題意識を持ちました。
2014年8月、この大学生と仲間たちが全国の自治体の選管ウェブサイトを調べた結果、選挙後に選挙公報の掲載が確認できたのは1788中18自治体のみという現状でした。
この結果に愕然としたメンバーが各地の選挙公報を集め、市民団体の地域政策研究所と協力して選挙公報.comのウェブサイトを開設することになりました。
現在では2014年12月の衆院選の全選挙区や、2015年4月の統一地方選など700以上の選挙公報を掲載し、メディア等で選挙公報.comの活動を知った全国の市民もボランティアとして選挙公報の収集などにご協力して頂いています。
この活動を知った衆議院議員が選挙公報の削除に疑問を持ち、選挙後の掲載を求める文書を安倍内閣に提出したところ、5月下旬、「選挙後も掲載して差し支えない」と答弁、総務省は各選管に通達しました。
現在、この総務省の通達を受けていくつもの自治体が過去の選挙公報を次々とウェブサイトに再掲載し始め、他の自治体でも今後の選挙についての継続掲載が決定したり、議会や選管での検討が始まっています。

▽検証
前述の通り、5月下旬に総務省がこれまでの見解を修正して「選管ウェブサイトに選挙公報を継続的に掲載しても差し支えない」という見解を全国の選管に通知しましたが、この通知を受けて各選管が実際に実施しているか確かめるために、全国の選管ウェブサイトを再調査しました。
その結果、9月末現在で選挙公報の継続的なウェブサイト掲載を実施している選管は1788中185自治体になることが明らかになりました。
この流れが加速し、多くの自治体での選挙公報の継続的なウェブ掲載が実現するように、選挙公報.comはこれからも活動していきたいと思います。

■受賞メッセージ
選挙公報.comは、活動の中核を担っている学生メンバー、賛同して頂いている団体、データ収集に協力して頂いている市民、活動を取り上げて頂いた各メディア、そして提言を行政に伝えて頂いた国会議員の皆さんによって支えられています。
私たちの活動が統一地方選を契機に全国に紹介され、一連の流れが小さな社会現象となったことで総務省が見解を改める契機となり、選挙公報の継続掲載に舵を切る自治体が増加しましたが、実施している選管は現状10.3%に留まる残念な状況です。
選挙公報.comのマニフェスト大賞受賞を契機に、社会に改めてこの問題が認知され、「選挙公報の継続的なウェブ掲載」を求める市民の声が更に高まることを期待しています。