9月松戸市議会において「土砂災害警戒区域地域に指定された上本郷第二小学校」の安全対策について下記の通り質問と要望しました。

議事録転載します。

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◇質問:関根ジロー

土砂災害警戒区域地域に指定された上本郷第二小学校体育館の安全対策について伺います。

3月議会に引き続いての質問です。

上本郷第二小学校東側に隣接している急斜面の影響により当該急斜面及びその下の学校敷地と体育館の一部を、千葉県が土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域に指定しております。

このような状況のなかで、松戸市では体育館について平成27年度は設計を行い、建物位置、工事の工法など、詳細な検討をすることがこれまでの議会で明らかになっております。

ここで2点をお伺いします。

1つめとして、今年度に行われている設計の進捗をお聞かせください。特に、設計のなかで、体育館は土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域を避けられるエリアになるのかお応えください。

2つめとして、県・国からの補助についての見込みがどうなっているのかお応えください。また、仮に県・国からの補助が見込めない場合においても、3月議会で答弁頂きましたように平成29年度中の完成を目指す考えに変わりはないかお応えください。

◇答弁:松戸市

1点目のご質問についてでございますが、本年7月1日付けで体育館新設工事に伴う設計委託契約を締結いたしました。その設計検討のなかで建物の位置については、今よりも小さな体育館を建てる場合においても、狭隘な校内であることなどから、現在の位置で建て替えることといたしました。

そこで、現在は、新設体育館が土砂災害警戒特別杭行及び土砂災害警戒区域のエリアを避けられるのかなどを含め、検討しております。

その最終的な結果はまだ出ておりませんが、当該エリアを避けられない場合には、体育館の斜面側の堅固な構造にするなど、建築基準法をはじめ関係法令に適合するよう安全な計画といたします。

次に、2点目の質問といたしまして、「国、県からの補助についての見込みと、補助が見込めない場合でも平成29年度中の完成を目指す考えに変わりはないか」についてでございますが、補助につきましては、調査したところ現時点では補助メニューがございません。

このことから、平成29年度中の完成を目途に進めてまいりたいと考えておりますが、財政部門と協議・調整が必要であることをご理解いただきたいと存じます。

◇要望:関根ジロー

答弁により、設計検討のなかで建物の位置について「土砂災害警戒区域等のエリアを避けられるのかなどを含め検討していること、当該エリアを避けられない場合には、体育館の斜面側の堅固な構造にするなど、建築基準法をはじめ関係法令に適合するよう安全な計画とすること」がわかりました。

また「国、県からの補助についての見込み及び補助が見込めない場合でも平成29年度中の完成を目指す考えに変わりはないか」についてです。松戸市が調査したところ現時点では補助メニューがないこと、そして補助が見込めなくても教育委員会としては平成29年度中の完成を目途に進めていきたいことがわかりました。この点、財政部門と協議・調整が必要であることも示されましたが、命にかかわることですので、財政部門におかれても早期の完成を目指すように力を尽くして頂けますよう、私からも要望させて頂きます。

松戸市が調査したところ見込みがなさそうな補助メニューについてですが、私もこの間、調査してまいりました。

まず、8月21日に安藤じゅん子県議とともに、千葉県議会控室において「県教育委員会及び県土整備部」から、該当する補助メニューがないものか協議をしてきました。その結果、残念ながら該当する補助メニューがないものの、千葉県としては次の2つの見解が示されました。
1つとして、「今後、千葉県としては、さらに土砂災害警戒区域指定を推進していくなかで、上本郷第二小学校のようなケースが生じる可能性があるので、その件数の把握に努めたい」
2つめとして、「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューがないことは県としても問題だと認識するので、国に補助創設について要望することを検討していきたい。また松戸市からも土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニュー創設にむけて千葉県に要望してほしい」
との認識が示されました。

さらに、8月28日には安藤じゅん子県議とともに、衆議院会館において「文部科学省及び国土交通省」から、該当する補助メニューがないか協議をしてきました。その結果、土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューはないとの見解が示された一方で、学校施設環境改善交付金のなかの危険改築事業が適用される可能性があるとの認識が示されました。危険改築事業が適用の可否については、耐力度調査を実施し構造上危険な状態にある建物と判定した場合、1/3の割合で国が補助するというものです。松戸市におかれましては早期に耐力度調査を実施して頂き、国からの補助の確保にむけて努力して頂きますよう要望します。

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【上本郷第二小学校体育館の安全対策について、これまでの経緯】

■1969年
 松戸市が上本郷第二小学校を避難場所として指定する

■2001年
 「土砂災害防止法」が成立

■2002年
 上本郷第二小学校体育館の耐震工事を実施

■2012年
 「土砂災害防止法」に基づき、千葉県が上二小学校付近を土砂災害警戒区域等の指定を行う(体育館の一部が該当)

■2013年9月
 松戸市議会において、安藤じゅん子千葉県議会議員(当時は市議)が「土砂災害警戒区域等の指定をうけた上二小学校の安全対策を求める議会質問」を行う

■2013年10月16日
 大島で土砂災害発生 死者35名

■2013年10月21日
 安藤じゅん子と関根ジロー市議の連名で松戸市長に「上二小学校の安全対策を早急に講じることを求める要望書」提出し、①「土砂災害発生した際に物理的に被害を軽減する工事等のハード面での対策」②「避難所場所としての再考等のソフト面での対策」③「解決案の住民への周知」を求める

■2013年11月
 上記要望書を受けて、上二小学校体育館が避難場所の指定から解除される

■2014年8月20日
 広島で土砂災害発生 死者74名

■2014年3月
 松戸市議会において、関根ジローが「上二小学校体育館のハード面での安全対策を求める議会質問」を行う
 ⇒松戸市が「体育館の敷地内移転または改築を検討したい」と明らかにする

■2014年6月
 松戸市議会において、安藤じゅん子が「土砂災害警戒情報発令時の体育館の使用について議会質問」を行う
 ⇒松戸市が「土砂災害警戒情報発令時には、体育館を中止する」と明らかにする

■2014年9月
 松戸市議会において、安藤じゅん子が「上二小学校体育館の敷地内移転または改築の検討の進捗について議会質問」を行う
 ⇒松戸市が「翌2015年に体育館の敷地内移転または改築にむけて設計したい」と明らかにする

■2015年7月
 松戸市の調査により「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする学校施設移転・改築への国・県の補助金メニュー」がないことが明らかになる

■2015年8月21日
 安藤じゅん子・関根ジローが「千葉県教育委員会及び県土整備部」と協議。
 ⇒千葉県から「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする学校施設移転・改築の国・県の補助金メニューがないこと」 「県内におけて、上二小学校のようなケースがどのくらい生じているのか、その件数把握に努めたい」「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューがないことは県としても問題だと認識するので、国に補助創設について要望することを検討していきたい。また松戸市からも土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニュー創設にむけて千葉県に要望してほしい」との見解が示される。

■2015年8月28日
 安藤じゅん子・関根ジローが「文部科学省及び国土交通省」と協議。
 「土砂災害警戒区域等の指定を理由とする補助メニューはないとの見解が示された一方で、学校施設環境改善交付金のなかの危険改築事業が適用される可能性があるとの認識が示される。危険改築事業が適用の可否については、耐力度調査を実施し構造上危険な状態にある建物と判定した場合、1/3の割合で国が補助するというもの。

■2015年9月議会
 松戸市議会において、関根ジローが「移転・改築の進捗状況」及び「上二小学校体育館の移転・改築にむけて、国の補助金の「学校施設環境改善交付」が確保できる可能性があるので、耐力度調査を実施してもらいたい」と議会質問を行う。
 ⇒松戸市が「移転・改築の進捗は現在進行形で検討しているところだが、その場所での改築になった場合には土砂災害に耐えうる建築物としたい」 「補助メニューがなくても教育員会としては来年度から移転・改築にむけて予算要求したいが、予算化されるかは財務部の判断」と答弁する

■2015年9月議会後
 松戸市が「学校施設環境改善交付」の獲得にむけ耐力度調査を実施する方針を固める(12月or3月議会にて補選予算にて措置予定)。しかし、耐力度調査を実施した場合「耐力度に問題がなければ学校施設環境改善交付が確保できないリスク」「手続きの期間が必要のため、着工が延びる」という可能性がある。