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民主党の枝野幹事長は、国会内で記者団に対し、礒崎総理大臣補佐官が26日、安全保障関連法案に関連して、「法的安定性は関係ない」と発言したことについて、「行政に関与する資格はない」と述べ、安倍総理大臣は、礒崎補佐官を更迭すべきだという考えを示しました。


国家安全保障を担当する礒崎総理大臣補佐官は26日、大分市で行った講演で、安全保障関連法案に関連して、「法的安定性は関係ない。わが国を守るために、必要な措置であるかどうかを気にしないといけない」などと発言しました。


これについて、民主党の枝野幹事長は、27日、国会内で記者団に対し、「事実であるとすれば、行政に関与する資格はないと言わざるをえない。法的安定性に関係なく、ルールがその時々の都合で、ころころ変わるということは、憲法はもとより、そもそも法治主義や法の支配の観点から、行政に携わる資格がないと思う」と、批判しました。そのうえで、枝野氏は「安倍総理大臣は、行政のイロハのイも分かっていない補佐官を、いつまで使い続けるのか」と述べ、安倍総理大臣は、礒崎補佐官を更迭すべきだという考えを示しました。


公明・山口代表が苦言
公明党の山口代表は27日、党の参議院議員総会で礒崎補佐官の発言を念頭に「与党側で、政府の足を引っ張るような言動をする者が現れないように、厳に注意し合って、気を引き締めて取り組んでいきたい。政府側で対応する人も、足を引っ張るようなことがないようにしてほしい」と述べ、苦言を呈しました。


また、自民党の谷垣幹事長は記者会見で「どういう意味合いで発言したかわからないが、『関係ない』と発言したのだとすると、極めて配慮の欠けたものだ。法的安定性も十分考慮しながら、この範囲では支障がないという判断で法案を作ったと理解している」と述べました。


官房長官 更迭にはあたらない
菅官房長官は午後の記者会見で、「誤解される発言はつつしまなければならないと思うが、私どもが承知している発言の内容は、『安全保障関連法案を議論していくうえで、憲法との関係とともに、安全保障環境の変化というものも十分に考える必要がある』という認識を示したものと考えている。安全保障関連法案は、合憲性と同時に法的安定性にも、何の問題もない法案と考えている」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、民主党の枝野幹事長が、礒崎総理大臣補佐官を更迭すべきだという考えを示したことについて、「全くあたらないと思う」と述べました。


従来からの主張したまで
礒崎総理大臣補佐官は、国会内で記者団に対し、「従来からの主張をしたまでだ。安倍総理大臣が答弁したように法的安定性は大事で、『砂川判決』の考え方、政府の必要最小限度という憲法解釈のしかた、態度は一貫して何も変わることはない。変わったのは国際情勢の変化でその変化に伴って必要最小限度の内容が変わるということは今まで何度も、政府としても、私個人としても言ってきたことだ」と述べました。


共産・山下書記局長「違憲立法認める発言だ」
共産党の山下書記局長は、記者会見で、「礒崎補佐官の発言は、『戦争法案』が法的安定性に欠け、これまでの憲法解釈を180度変えて立憲主義を踏みにじる違憲立法だということを、政府みずからが認めるものだ。この法案は、参議院の審議を通じて、廃案にするしかないということが、ますます明らかになった」と述べました。


社民・吉田党首「許しがたい発言 辞任すべき」
社民党の吉田党首は、記者会見で、「許し難い暴言だ。安全保障環境の変化は続いており、それを踏まえての対応は必要だが、憲法9条の範囲内で必要な措置を行うべきだ。法的安定性は、法治国家として欠くべからざる要件で、総理大臣補佐官として許し難い発言であり、礒崎氏は補佐官を辞めるべきだ」と述べました。