「 8県議選、公報なし 条例なく見送り 経費理由に否決も
2015/06/01 」

共同通信転載します。

都道府県議選に立候補した候補者の公約や経歴を掲載する選挙公報を、山梨、新潟、福井、愛知、岐阜、岡山、広島、山口の8県の選挙管理委員会は作成していないことが30日、共同通信の調査で分かった。39都道府県は作成している。統一地方選の低投票率が問題になっている中で、有権者への判断材料の提供に差があることが浮き彫りになった。
 公選法は、国政選挙や 知事選の選挙公報の作成を、都道府県選管に義務付けている。しかし都道府県議選や市長選などには発行義務がない。発行する場合は条例が必要とされる。8県の選管は、選挙公報を作らない理由を「条例が制定されていないため」と説明している。
 新潟県では昨年12月、民主、公明、共産党などが選挙公報を発行するための条例案を県議会に共同提案したが、最大会派の自民党などが反対し、否決された。反対派は「経費と手間がかかる」などと主張した。
 各県選管によると、愛知、福井、山口の県議会でも公報発行のための条例案が否決されたことがある。
 新潟県、愛知県では、県庁所在地の新潟市議選、名古屋市議選の選挙公報は発行されている。新潟県選管によると、県議選と市議選が実施された4月の統一地方選の際に、県民から「なぜ県議選の公報は配布されないのか」との問い合わせがあったという。
 名古屋市選管も「県議選の公報が届かないと電話がかかってくることがある」としている。
 選挙公報は候補者の政策を比較したり、公約実行を点検したりする資料になる。
 地方自治に詳しい 新藤宗幸 (しんどう・むねゆき) 千葉大名誉教授(行政学)は「8県で選挙公報が作られていないのは驚きだ。候補者の意思を有権者に伝えなくては選挙が成り立たない」と指摘。「公報発行の条例を作らないのは県議会や選管の怠慢だ」と話し、投票率低下の要因になりかねないと懸念している。
 (共同通信)