投票翌日までに大半削除
青森県は再掲示の意向
選挙公報を選挙後はホームページから削除するよう求めていた総務省の通知を受け、今春実施された道府県議選の選挙公報の大半は投票日の翌日までにネットから削除されていた。総務省が削除通知を見直したことにより、各地の選挙管理委員会が保存や閲覧継続をどう具体化するかが焦点になる。
▽独自の見解
今年4月の統一地方選では、33道府県議選の選挙公報が作成され、全てホームページに掲示された。半数以上に当たる18道府県の選管は投票終了後、その日のうちにホームページから削除した。残りの15府県は翌日以降に消した。
ただ、青森県は当日いったん削除したものの、後日「選挙の記録」として保存し再掲示する考えだ。
公選法には選挙公報のネット保存の是非を規定した条項はなく、削除通知は総務省独自の見解に基づいていた。法的拘束力はないが、各地の選管は通知が求めた「速やかな削除」を実行したことになる。
選挙公報をネットから削除しないよう訴えてきた千葉県松戸市の 関根治朗 (せきね・じろう)
市議は「総務省が勝手な解釈や判断を示すべきでない」と通知自体に問題があったと指摘。今回の方針転換に関しては「高く評価したい」と話す。
「総務省自身が、国政選挙の選挙公報を全て見られるページを作るべきだ。各地の選管は過去の選挙にさかのぼって公報をネットに掲示してほしい」と注文している。
▽言いっ放し
投票が終わるとすぐに選挙公報がホームページから削除されるのに対抗し「選挙公報ドットコム」というサイトを運営している市民グループもある。ボランティアの学生らが全国の自治体から選挙公報を集め掲示する。
事務局を担う市民団体「地域政策研究所」の 九曜明 (くようあきら)
さんは「選挙公約を『言いっ放し』にし、議会では違うことを述べていても、選挙公報が保存されなければ分からない」と意義を説く。
昨年の衆院選と今年の統一地方選を合わせ、延べ約660自治体の選管が発行した選挙公報を集めた。各地の市民に選挙公報をもらったり、自治体に提供を依頼したりする。情報公開制度を使って開示を求めるケースもある。
九曜さんは「総務省が方針を変えたとはいえ、実際に選挙公報をネットに保存、掲示する選管が半数を超えるまで、これまでと同じ取り組みを続けたい」と話している。
方針転換は当然
学習院大の 平野浩 (ひらの・ひろし) 教授(政治過程論)の話
インターネット上に保存された選挙公報を見て、有権者が候補者の過去の公約を調べられるようにするのは非常に重要だ。どの選挙でどのような傾向があったのかも分析できる。総務省の方針転換は、技術の流れからいっても当然で、評価できる。国や自治体が記録資料として全てきちんと残し、ネット上で誰でも閲覧できるようにするべきだ。
インターネットと選挙
インターネットと選挙 選挙管理委員会が選挙公報を初めてホームページに掲載したのは、東日本大震災のため遅れて実施された2011年秋の岩手、宮城、福島3県の県議選だった。被災者への配布が難しかったことが考慮された。総務省は12年3月、選挙公報のネット掲載を全ての選管に認める見解を通知した。インターネットを使った選挙運動は13年に一部解禁された。
青森県は再掲示の意向
選挙公報を選挙後はホームページから削除するよう求めていた総務省の通知を受け、今春実施された道府県議選の選挙公報の大半は投票日の翌日までにネットから削除されていた。総務省が削除通知を見直したことにより、各地の選挙管理委員会が保存や閲覧継続をどう具体化するかが焦点になる。
▽独自の見解
今年4月の統一地方選では、33道府県議選の選挙公報が作成され、全てホームページに掲示された。半数以上に当たる18道府県の選管は投票終了後、その日のうちにホームページから削除した。残りの15府県は翌日以降に消した。
ただ、青森県は当日いったん削除したものの、後日「選挙の記録」として保存し再掲示する考えだ。
公選法には選挙公報のネット保存の是非を規定した条項はなく、削除通知は総務省独自の見解に基づいていた。法的拘束力はないが、各地の選管は通知が求めた「速やかな削除」を実行したことになる。
選挙公報をネットから削除しないよう訴えてきた千葉県松戸市の 関根治朗 (せきね・じろう)
市議は「総務省が勝手な解釈や判断を示すべきでない」と通知自体に問題があったと指摘。今回の方針転換に関しては「高く評価したい」と話す。
「総務省自身が、国政選挙の選挙公報を全て見られるページを作るべきだ。各地の選管は過去の選挙にさかのぼって公報をネットに掲示してほしい」と注文している。
▽言いっ放し
投票が終わるとすぐに選挙公報がホームページから削除されるのに対抗し「選挙公報ドットコム」というサイトを運営している市民グループもある。ボランティアの学生らが全国の自治体から選挙公報を集め掲示する。
事務局を担う市民団体「地域政策研究所」の 九曜明 (くようあきら)
さんは「選挙公約を『言いっ放し』にし、議会では違うことを述べていても、選挙公報が保存されなければ分からない」と意義を説く。
昨年の衆院選と今年の統一地方選を合わせ、延べ約660自治体の選管が発行した選挙公報を集めた。各地の市民に選挙公報をもらったり、自治体に提供を依頼したりする。情報公開制度を使って開示を求めるケースもある。
九曜さんは「総務省が方針を変えたとはいえ、実際に選挙公報をネットに保存、掲示する選管が半数を超えるまで、これまでと同じ取り組みを続けたい」と話している。
方針転換は当然
学習院大の 平野浩 (ひらの・ひろし) 教授(政治過程論)の話
インターネット上に保存された選挙公報を見て、有権者が候補者の過去の公約を調べられるようにするのは非常に重要だ。どの選挙でどのような傾向があったのかも分析できる。総務省の方針転換は、技術の流れからいっても当然で、評価できる。国や自治体が記録資料として全てきちんと残し、ネット上で誰でも閲覧できるようにするべきだ。
インターネットと選挙
インターネットと選挙 選挙管理委員会が選挙公報を初めてホームページに掲載したのは、東日本大震災のため遅れて実施された2011年秋の岩手、宮城、福島3県の県議選だった。被災者への配布が難しかったことが考慮された。総務省は12年3月、選挙公報のネット掲載を全ての選管に認める見解を通知した。インターネットを使った選挙運動は13年に一部解禁された。