松戸市公式HPに「放射線専門医による健康相談での皆様からの主な質問とその返答」されていましたので転載します。

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Q1 食品や水が心配なのですが。

A1 流通食品は出荷時に放射線量を測定しているので、基本的に安全と考えてよいでしょう。水道水も放射線量の測定が行われていますので、安全と考えてよいでしょう。




Q2 放射線を気にして外遊びを制限してしまっていますが、気にしなくてよいのでしょうか。特に砂遊びは気になります。

A2 公園等は除染を行っており、放射線の量自体それほど多くはないと思います。また常に這っているわけではないので、遊んだとしても身体への影響はほとんどなく、健康問題になることはないでしょう。外遊びが少ないと子どもに運動不足やストレスがたまりやすくなることもあります。公園の放射線測定結果を参考に遊ばせるとよいでしょう。




Q3 体内に入った放射性物質は、将来子どもの身体にどのような影響があるのでしょうか。

A3 100ミリシーベルト浴びると1000人に5人の方ががんになるというデータがあります。したがって1ミリシーベルトにすると確率的には10万人に5人ががんになることになります。しかし微量の放射線が健康に影響を及ぼすか はわかっていません。ICRP(国際放射線防護委員会)は、平常時の公衆被ばくの限度として年間1ミリシーベルトを勧告しています。




Q4 体内に溜まっている放射性物質は体外に出てくるのでしょうか。

A4 放射性物質は半減期があり時間の経過で減衰し、また物質によって排泄経路が異なりますが尿便等で排泄されます。セシウムの半減期は30年と長く被ばくの影響が心配ですが、松戸を含め近隣地区は健康に影響を及ぼす量ではないと考えられています。

Q5 マイクロシーベルト、ミリシーベルト、ベクレルの単位はどう違うのでしょうか。

A5 シーベルト:人間が放射線を受けた場合の影響度を示す共通の単位です。1シーベルト=1,000ミリシーベルト=1,000,000マイクロシーベルト(ミリシーベルトはシーベルトの1,000分の1となり、マイクロシーベルトは1,000,000分の1)です。
  ベクレル:放射能を出す能力の強さを表す単位です。1ベクレルは、1秒間に1個の放射性核種が壊変する場合の放射能を表します。一定の係数をかけることにより、シーベルトに換算することができます。





Q6 飛行機に乗る回数が多いので心配です。

A6 健康に影響はないでしょう。成田・ニューヨーク間の往復は、胸部レントゲンを1回受けたのと同じくらいの被ばくです。飛行機による被ばくで今まで問題になったことはありません。お子さんを含め、気にされる必要はありません。





Q7 レントゲン検査で放射線を年間1ミリシーベルトを超えて浴びてしまっていると思う。体に影響はありますか。

A7 放射線の量を示す単位としては、ミリシーベルトというものを使います。一般に、人間の体に影響がではじめる放射線被ばくの量としては、100ミリシーベルトといわれています。では、病院での検査はどうでしょうか。たとえば、撮影の条件によっても多少異なりますが、胸のレントゲン撮影では、0.05ミリシーベルト、胃のバリウム検査では、2.0ミリシーベルト、頭部のCTでは0.5から1.5ミリシーベルト、胸部のCTでも7.0ミリシーベルトといったところです。このように、私たちがレントゲンやCTなどの検査で被ばくする線量は、健康に影響を及ぼす可能性の線量と比較すると、きわめて小さいと考えられます。レントゲンは、慎重に扱う必要があります。しかし検査で得られる情報は非常に重要で診療に不可欠です。レントゲン検査が患者さんに多くの利点があることから撮影することをご理解いただきたいと思います。また、意外なようですが、私たちの細胞にも微量の放射性物質が含まれています。また、常に放射線を受けており、空気、建物、自然界からの放射線を含め、年間の平均被ばく量は2.4ミリシーベルトとされています。





Q8 放射能が心配で洗濯物(特に子どもの)は家の中に干しているのですが・・・?

A8 全く問題がありません。放射線量はかなり下がっているので外に干して大丈夫です。





Q9 テレビで子どもの甲状腺検査をしたら異常が出たという人がいたが・・・。

A9 福島県の健康管理調査、18歳以下を対象とした甲状腺検査で、1人が甲状腺がんとマスコミに報告されました。甲状腺検査の対象は約36万人で、これまで結果が判明した約8万人の分析によるものです。専門家の判断は、推定被ばく線量が低く、原発事故による放射線が原因が考えにくいとのことです。今後継続的な調査で放射線の影響が明らかになるでしょう。ある程度被ばく量の多い地域で、発がんを含め影響が出る可能性がありますが、微量の地域では影響は出ないと考えられています。松戸では甲状腺への影響はないと考えられます。






Q10 放射性物質は、布が吸収したりしませんか?

A10 セシウム137から出てくるガンマ線は、四方八方に放射線が出ます。放射線の被ばくを低くするためには、距離をおくこと(距離が2倍になると4分の1)、放射線と接する時間を短くすることが大切です。また放射性物質との間に遮蔽物を入れることも考えられますが、鉛等重く密度の高いものが必用となります。(放射線防護の3原則:時間、距離、遮蔽)放射性物質が飛散すれば布に着いたりしますが、セシウム137から出てくるガンマ線は布に吸着したりすることはありません。






Q11 福島県郡山の実家に度々子どもを連れて帰省していたので、放射線による影響が心配です。

A11 郡山は居住制限区域ではありません。現在0.5μ㏜/時なので5m㏜以下/年と考えられます。住み続けても健康が害されるとは考えられません。一時期の帰省による被曝は問題になりません。安心してください。






Q12 チェルノブイリのときは日本でも雨に濡れないように、などと騒いでいましたが、今回はあまり騒ぎになっていません。なぜなのでしょうか。

A12 チェルノブイリ事故では爆発後2週間ほど空中に放射性物質を放出しながら燃え続け、多量の放射性物質が拡散した報告がされています。当時放射性物質が雨に含まれる可能性が高くそのような情報が流れたようです。福島での原発事故は、大気に拡散した放射性物質量は少なかったようです。場所による実際の線量は把握できませんが、健康に影響がでるレベルの量ではないようです。






Q13 妊娠初期に原発事故があり、本児(1歳)への影響が心配です。

A13 胎児は細胞増殖が盛んでありまた未熟な細胞が多いことから放射線の影響を受けやすいとされています。しかし微量の放射線による影響の報告なく、胎児への影響でわかっていることは胚死亡、奇形、発育遅延は、100m㏜以上の被曝で起こり始めます。松戸市の被曝の量は微量であり影響ないと考えられます。参考:除染対象の基準値は0.23μ㏜/時(2mSv/年)です。

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