首相官邸オフィシャルブログ「官邸かわら版」からの転載です。

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16日午後、衆議院を解散しました。

 その瞬間、「万歳」を叫ぶ気には到底なれませんでした。

 国民の皆さんの前で誓った約束を守り、「決断する政治」を実現するための重大な決断です。その重みを噛みしめながら、解散の詔書を読み上げる横路議長の姿を厳粛な気持ちで見つめておりました。

 これから迎える衆議院選挙は、2013年以降の日本の舵取りをどの方向感で進めていくのかを決める選挙です。

 前に進むのか、後ろへ戻るのか。政権交代によって目指した、まだ道半ばの改革を更に進めていけるのか。それとも、政権交代前の古い政治に戻ってしまうのか。

 解散直後に行った記者会見で申し上げたとおり、具体的には、以下の5つの政策分野での方向感が問われています。

 ① 社会保障: 一体改革をやり遂げるのか、次の世代にツケを先送りするのか。

 ② 経済政策: 「人への投資」や「世界と共に成長する」という路線に軸足を置くのか。再び無駄な公共事業のバラマキを繰り返すのか。

 ③ エネルギー政策: 2030年代原発ゼロを目指して現実的に進むのか。脱原発依存という方向性さえ、うやむやにしてしまうのか。

 ④ 外交安全保障: 大局観を持って冷静に現実的な外交・安全保障政策を進めるのか。「強い言葉で語ればよい」という危険な風潮に流されるのか。

 ⑤ 政治改革: 脱世襲政治や定数削減を進めるのか。世襲議員が跳梁跋扈する古い政治に戻してしまうのか。

 巷には様々な動きがあるようですが、この5つの分野で方向感を明確に示さず、あるいは矛盾を抱えたままでは、そもそも評価すらできません。投票日までの一か月間、各党が政策本位での議論を大いに戦わせ、国民の皆様の正当なる審判を得たいと考えています。


 17日の土曜日には、都立工芸高校にお邪魔いたしました。デザインとものづくりを融合させる新たな取組を進めている特色ある高校です。しっかりと将来を見据え、前へ進もうとしている高校生たちのひたむきな姿に接し、私からは、志を持って歩もうとする若者たちへメッセージを伝えました。

 「次の世代」を担う若者たちの将来不安を払拭し、自ら抱いた夢や志を懸命に追いかけていける環境を整えるために、子ども・子育て支援の充実や経済再生を必ず果たさなければなりません。また、高校授業料の無償化を引き続き推進し、奨学金や海外留学の支援を進めるよう、関係省庁に指示をしたところです。

 「次の選挙」のことよりも、こうした「次の世代」のことを考えるのが政治家の本分です。誰がこの国を憂い、真剣にこの国の将来を思っているのか。胆力と覚悟を持って困難な道を切り開こうとしているのか。必ずや正しく見極めて頂けると信じています。

 衆議院が解散しても、政府の仕事が止まることはありません。30日に経済対策をとりまとめるよう指示したところであり、その内容を早急に具体化してまいります。また、これからASEANとの首脳会合や東アジア・サミットに出席するため、カンボジアのプノンペンへ出発し、各国の首脳とじっくり議論してきたいと思います。

平成24年11月18日
内閣総理大臣 野田佳彦

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