★2012年10月12日付、読売新聞からの転載です★

子どもの頃、自宅のトイレは和式だった。水洗型だったが、床は冷たいタイル張りで、居心地のいい場所ではなかった。それが、親類宅で初めて洋式トイレに腰掛けたとき、和式に比べて清潔で、無理に力む必要もなく、実に爽快な気分で用を足せた記憶がある。

これが逆だったらどうか。すなわち、洋式になれた子どもたちが、和式を使う場合である。「勝手がわからず、まごつくのではないか」と思っていたところ、頷けるデータを目にした。

小林製薬が今年6月、全国の小学生を対象に調査したところ、約3割の児童が「学校でうんちをしない」と答え、46.1%が「うんちを我慢したことがある」と回答したという。我慢する理由のトップは「恥ずかしい」(53.7%)だが、2番目に「和式が苦手」(35.3%)が並んだ。
うんちを我慢するとは看過ならない話だ。便秘の原因にもなるし、悪化すると腸が炎症を起こして下痢や便漏れに悩まされるからだ。

いまや家庭のトイレはほとんどが洋式のご時世だが学校現場ではそうではならないらしい。知り合いの教師に聞くと、「うちの小学校ではトイレに便器が4つあれば、洋式はそのうち1つだけ。洋式を増やそうという声がありますが、予算不足で後回しにされています」。

トイレと言えば、文部科学省の田中真紀子さんが就任あいさつに訪ねてきた文科次官を議員会館の女子トイレに呼び入れ、打ち合わせをしたとワイドショーで話題になった。

真紀子さん、今度は次官と一緒に学校のトイレを見に行ったらどうだろうか。

医療情報部次長
吉田 清久

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