朝日新聞(2011年4月28日)より転載。
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東北新幹線が29日、東京と新青森を結ぶ全線で運転を再開する予定だ。
東北自動車道、仙台空港に続く大動脈の復活を、活発な人の行き来につなげたい。
JR東日本には、停電による不安定な運行状況をぜひ解消してほしい。
東北は、これからが美しい季節。
桜の名所の多くはゴールデンウィークに見頃を迎える。
例年なら観光でにぎわうが、震災後の自粛ムードが影響し、旅行客は大きく減っている。
このままでは、地域全体の元気が出てこない。
人の流れをつくるアイデアが必要だ。
ボランティアをしたいが、時間はあまりない。
そんな人向けに、「地球の歩き方」を発行するダイヤモンド・ビッグ社はバス泊を含む5日間の「ボランティア・パッケージ」の受け付けを始めた。
岩手県遠野市の災害ボランティアセンターが受け皿になり、沿岸部で活動する。
内陸にある花巻市の温泉地のホテルや旅館に宿泊することで観光地を支援する狙いもある。
旅行会社も手数料はとらない。
被災地を訪ねると、物見遊山のように思われないか。
そんな心配をする人もいるだろう。
「復興作業を妨げないよう気配りさえしてもらえば、どんどん入ってきて欲しい」。
そう話すのは、衆議院議員の小野寺五典さんだ。
選挙区に気仙沼市や南三陸町を抱え、津波で自宅が大破した被災者である。
自分の目で惨状を見れば、支援する気持ちも強まる。
また、津波が到達しなかった地区では、営業を再開した店も多い。
そこで物を買い、食事をしてもらえたら、街の人は元気になる。
小野寺さんはそう考える。
もちろん、むやみに写真を撮ったり、渋滞を引き起こしたりするのは論外だ。
苦しんでいるのは、被災地ばかりではない。
津波に襲われた県でも、宿泊施設によっては避難所として活用されていたり、復旧作業のための要員が泊まったりする需要がある。
しかし、青森、秋田、山形の3県は、こうした需要も少ないうえ、原発事故の風評被害にも苦しんでいる。
日本に来ること自体が危ないというような国際的風評を吹き飛ばすためにも、まず日本人が率先して東北に出向く姿を見せたほうがいい。
被災地でがれきを片づけなくてもいい。
肩ひじ張らず、ごく普通に東北を旅し、喫茶店でコーヒーを飲んで、地元の人と話をする。
それも立派な支援活動になるだろう。
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