アイドルの星 | 香散見草

香散見草

三者三様徒然記+
~テーマごとに綴る三人の随筆PLUS ONE~

【最近読んだ本】

【rozann】


 最近読んだ本で興味深かったものをいくつか上げたい。

 まずはノンフィクションから。清水潔の「犯人はそこにいる」。1979年に起きた北関東連続幼女誘拐殺人事件を追った本。著者は事件専門記者で、現場で築き上げた人脈で事件にかなり深く入り込み、普通のメディアでは到底知り得ない部分に迫っており面白い。状況証拠だけなら犯人は特定できているのだが。

 ミステリでは加藤シゲアキの「ピンクとグレー」。著者は言わずと知れたアイドル。芸能人の話題作りかと思ったが、見事に裏切られた。本書はデビュー作だが、1作目での出来栄えに唸った。ミステリ好きの心をくすぐる遊び心も随所に散りばめられている。3作目まで一気に読んだが、同じような構成はなく、挑戦意欲も旺盛で感心した。話の舞台が3作とも芸能界なのは、決して浅はかなわけでなく精通した世界の知識が逆に武器になっている。その後の作品が文学賞候補にもなるわけだが、当然と言える才能だ。小説家としてどう成長するか実に楽しみ。

 最後は原田マハ「異邦人(いりびと)」。京都が舞台の美術品にまつわるミステリ。話の中に京都の四季が見事に表現されている。関西での学生時代の京都へ憧れが根底にあるとのことだが、当作以外にも京都の小説を多く書いており、京都好きは必読。他にもまだまだ。

 忙しい時こそ、疲れた時こそ読書。元気をもらおう。