ディストピアというユートピア | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

角角ストロガのフ「ディストピア」全公演無事に終了しました。
千穐楽は追加席を出してさらにキャンセル待ち、という嬉しい悲鳴が上がったのです。

7月から稽古が始まり、少し涼しくなったこの8月の終わりに
走り抜けていったディストピア。
まさに2013年夏のすべてでした。

狩野という刑事役をいただき、もがき続け、
役と一緒に成長させてもらいました。

正義というものは、安全なところでふりかざしたり
ラベルとして貼っているだけでは毒にも薬にもならないものなんだと思いました。


ただ生きているだけでも食い殺される可能性のある世界に入り込んで初めて、
自分が描いていた正義感を改めさせられたという。


幕切れに柴田が命を絶つきっかけが
誰なのかはお客様が決めることだけど、
彼女はあの後どんな顔をしていたかはなんとなく察することが出来ました。

一服して、また前を向いているといいな

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劇中で初めて使った。
小道具として買いにいって、なんとなくこの銘柄を選んだのは
「罪と罰」がどこかで流れていたからなのか。



私は台本を読めば読むほど、舞台が立ち上がっていくほど
角田ルミさんは現代の鶴屋南北なんじゃないかとずっと思っていた。
ダイレクトに、大胆に、それが一周まわって爽快とさえ思え、時にユーモアでくるんで
現実を飛び越えたところで現実をみせる。

そして世界感ではなく圧倒的な「世界」をつくって、人を魅了する。
圧倒的な人。

その世界で繊細に鮮烈に生きていた「いしだ壱成」という
ルミさんにとっての女神がいて、触れられるところで演じ、
同時代に生きているということが、最大の事件だった。

最後は「えがお」で








また絶望郷で会いましょう