市川新蔵丈との6時間トーク | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

ル・テアトルの観劇記の続きになりますが、
義平次役を務められた新蔵さんとは年齢的には親子ほど
離れていますし、
こんなへっぽこと一緒にされたくないと思いますが、一応後輩な私です。

私が生まれる前に成田屋一門となられ、
私が卒業する頃に名題となられ、新次のお名前から「新蔵」さんに
なられたと思うと、芸歴の長さを実感しました。

現役学生の頃は遠い存在だったため、
お話をすることも叶いませんでしたが

100回公演の「三人吉三」ときに、新蔵さんが
立ち回りや、台詞を指導をしてくださったお陰で、
お近づきになれたという訳です。

しかも本番は後見&「おんやく払いましょう~」の
呼び声までつけてくださったのです。
なんて贅沢な・・・


共演?させていただいた時の楽屋写真。


という訳で、テアトルの感想をお伝えするためにお時間をいただき、
神田薮そば(燃えてないお店)へ。

義平次のお役のことはもちろん、師匠であり肉親のように
偉大な存在だとおっしゃる旦那、つまり
團十郎さんとのことなど、お話は尽きませんでした。

すごく印象的だったのは、私が衣裳さんの取材のときに

「成田屋さんはすずかけ(弁慶の衣裳についている白いボンボン)
の絹が通常の2倍」

ということを伺った、とお話をしたら、
表には團十郎さん、裏には新蔵さんが合同公演で
務めたときの弁慶のお写真を見せてくださり、

「同じ衣裳なんだよ」と。

確かに、すずかけを見るとボリューム満点。
いくらお弟子さんといえど、成田屋ならではの衣裳は
そう簡単に使用することを許可しないのでは。

他にも、九代目の銅像をつくるときの話とか、
海外公演の下見とか、名古屋むすめ歌舞伎とか、
新蔵さんと團十郎さんとの貴重なお話を聞かせていただき
お二人の信頼関係を想像してなきそうになりました。

気付けばそこで既に4時間位が過ぎていて、
そこへ同じく、新蔵さんにとっては後輩、私にとっては先輩であり
野崎村で共演したお光(役の先輩)が登場。




また更に思い出話、そして今度はミュージカルの話にも花が咲き、
益々盛り上がり。

新蔵さんが、
「そばをすすめるのもミュージカルだとこうだよね」と実演してくださり、
「では歌舞伎だったら・・・」と調子にのった私の
リクエストにも答えてくださり!!
考えてみるとプロの、つい数時間前まで海老蔵さんの
相手役を務めていらした役者さんに何をやっているんだと
反省モノでした。本当に、優しい先輩で良かったです。

楽しい時間はあっという間。

気がつけば新蔵さんを6時間も拘束してしまいました。


この貴重な時間。
テアトルのBOX席料金を出しても買えないなぁ。