三月花形歌舞伎に行ってきました。
團十郎さんの体調不良による休演が
発端となって急きょ決まった歌舞伎公演。
そのため演目は勘三郎さん追悼の
思いを込めての番組だった。
この演目を選んだときは、團十郎さんが逝ってしまうなんて
誰も思っていなかっただろう。
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一、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
一寸徳兵衛 中村亀 鶴
玉島磯之丞 中村種之助
傾城琴浦 中村米 吉
三河屋義平次 市川新 蔵
釣舟三婦 片岡市 蔵
三婦女房おつぎ 市川右之助
団七女房お梶 市村家 橘
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夏祭には様々な想いが。
まずは木ノ下歌舞伎に初めて出演させて
いただいたのがこの演目だから、京都での稽古の日々や、
お辰/徳平衛なんぞや自然に身体が動きそうになる。
木ノ下歌舞伎の俳優が脳裏をよぎって笑いそうになる。
でも、改めてみてもすごく忠実だなと思った。
むしろなぜここで長生き音頭がかからないんだろうと
木ノ下歌舞伎ver の印象が勝っているくらい(笑)
でも今はやはり、中村屋の面影が。
そして、出演者の成田屋一門の奮闘ぶりに
團十郎さんがどこかで見ているんだろうなと思うと胸が熱くなった。
そしてそして、我らが先輩・市川新蔵さんが、団七役の海老蔵さんと
長時間による立ち回りをされている姿は、
なんだか夢心地だった。
あ、もちろん「今、体中があざだらけなんだよ」とご本人がおっしゃる位、
リアルな親子の絡み合い、何を考えているかわからない、
不気味な義平次は新蔵さんならではのお役だったのは違いない。
その迫力のシーンだったにも関わらず、夢心地というのは、
私と同じように(なんて一緒にするのは大変失礼だけれど)
大学の国劇部という、学生歌舞伎から歌舞伎の世界へ入った先輩が、
こうして大役を演じていらっしゃるのは感動的だった。
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二、口上(こうじょう)
市川海老蔵
三、高坏(たかつき)
次郎冠者 市川海老蔵
高足売 中村亀 鶴
太郎冠者 市川新十郎
大名某 片岡市 蔵
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海老蔵さんは未来へ向かっているなと思った。
偲ぶとかではなく、もうバトンを受け取っている、
成田屋を背負って立つ身として、何をしなければいけないかを
はっきり悟っているようにも見えた。
團十郎さんとの思い出話で、とても真面目だったその性格を
笑い話として口上でお話され、お客さんを沸かせている姿など、
何だか頼もしかった。
(エルメスの手帖にも「夏雄」とテプラを貼っている逸話などは
本気で笑ってしまったし)
歌舞伎の未来は明るいんだ。
うん、そうだ。