三谷文楽 「 其礼成心中 」 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

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俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。


三谷文楽 「 其礼成心中 」観てきました!
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作・演出
三谷幸喜

出演

竹本千歳大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹睦大夫 
 豊竹靖大夫 鶴澤清介 鶴澤清志郎 鶴澤清??
鶴澤 清公 吉田 幸助 吉田 一輔 吉田 玉佳 
 桐竹 紋臣 桐竹 紋秀 吉田 玉勢 吉田 簑紫郎
 吉田 玉翔 吉田 玉誉 吉田 簑次 
 吉田 玉彦 吉田 玉路 吉田 簑之

〈あらすじ〉
舞台は元禄十六年。
 大坂では近松門左衛門が実際の心中事件を元に書いた『曽根崎心中』が大ヒット。
その舞台となった天神の森は悲恋の末に心中を遂げようとする男女の心中のメッカとなっていた。
 その森の入り口にある饅頭屋の夫婦と心中にやってくる男女の物語を三谷幸喜が書き下ろします。
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PARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』で歌舞伎の破天荒さと
突っ込みどころをあぶり出し、一つのジャンルを開拓したかのように見えた三谷さん。
第二弾を心待ちにしているところで、なんと文楽。

とにかく品があって、笑いに無理がない。

私はカーテンコールで涙が出た。

直接内容が泣けたのではなく
(もちろん感動の要素はあったけど)

あぁ、今までの歴史を否定するのではなく、
この文楽の良さを再確認するために新しいチャンスを創造してくれたんだな

というような気持ちになったから。

インタビュー

「伝統的なものに新しい何かを入れることが今、やるべきことだと思った。
人間の俳優とからむ計画もあったんですが、「それでは文楽ではなくなってしまう」と言われました。それをぶっ壊そうと言いたくない。」

観終わった後にこれを読んで、まさにその通りだと思ったし、勘所をおさえているから
文楽に敬意を表しているのが感じられるのだと思った。


「三谷文楽」と名付けたからには、今後も続けていく責任がある。

新たなジャンルを作り出すには、作品への想いだけでなく
その芸そのものへの想いや思想がなければ不可能だと思う。

チケットを手配してくれた木ノ下歌舞伎のお祭り王子とそんなことを
話しながら、自身の身の上相談もしてしまった。

どこに行きたいかは明確。
でも途中で何度も答えを求めてしまう。
「必要とされなくても飛び込んでやる」
位の気概を持てれば楽なのだろうけれど、
臆病になってしまう。特に公演と公演の間では。

でも話を聞いてもらって、やっぱり私は
走り続ければいいんだなと背中を押してもらえた気がする。


で、お祭り王子にお礼をいいたいところだが

拙者も義経を演じてからお客さんに「立役専門になったら」とか
「王子的な役を今後伸ばしては」と
いわれるようになった。




王子の座を巡ってはライバル。

いくら演出家であろうと油断出来ないぜ