三月国立歌舞伎「春と桜と大人の事情」 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

久々の国立劇場観劇。



そして演目は「一谷嫩軍記」


普段は「熊谷陣屋」だけの抜粋が多いけど今回はちょっと変わった趣向。



まず序幕に「堀川御所」を上演。(九十八年ぶりの復活だそう)


このシーン、めちゃくちゃ意味あった!


陣屋だけだと


「義経さんが俺に


『一枝を切らば一指を切るべし』


とか遠まわしにいってきたんだよ。


それって暗に


『敦盛の首の代わりに君のとこの息子さんの首切って
身代わりにしてよ』
ってことじゃん?」



的な、熊谷の状況説明になってしまう。


でもこのシーンで
義経と熊谷の実際のやりとりをみせることによって



熊谷の葛藤とか、無常感とか、


大人の事情とか、政治的な理由とか。。


いろいろつながってわかるようになってて、
面白かったです。



制札の見得が役者によって、札を逆さにしたり、重心をどう置くかなどこだわりがあるのにも納得できます。


国立劇場ならではの構成にあっぱれでした。

でも初めて歌舞伎を見る人におすすめするのはちょっと難しいよなーと
やっぱり思ふ。



常に初心者向け歌舞伎をやってる
劇場があったら色々おすすめする
幅が広がるのに。




そういえば舞台中に出てきた
桜の枝に春を感じました。

季節と演目が連動していて、
粋だなと思うと共に

早く
お花見の時期にならないかなと
想いを馳せました。



あ、幕間中に読んでた本は
季節感まるで無視でしたが
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