幸運児 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

宝くじというものを私は買ったことがない。

もし買ったとしても、多分この先もあたることはないと思う。



先日、遅い父の日のために姉と二人でご飯に招待した。
父の日祝だから母はお留守番。
母はいつもならぶーぶーいいそうなものの、
父と娘2人で食事という珍しい構図を楽しんでいたよう。

皆が各々の場所から銀座に集合して、
なんか変な感じで楽しかった。

父は娘二人の集中攻撃を受けて、
母との出会いとか、学生時代の話とかを暴露してくれた。

自分の年齢のときに、両親は既に会っていて、
そんな二人が映画に行ったり渋谷でデートしていたことを
想像すると、何だかにやにやしてしまう。
一人バック・トゥ・ザ・フューチャー気分だ。

あと、亜弓の由来って結局何かということを
もう一度聞いてみた。

やっぱりガラスの仮面が愛読書だったの?(姫川亜弓説)
もしや元カノの名前?

と色々な疑惑をぶつけてみたものの、
どうやら本当に音と字面で決めたらしい。

名は体を表すというが、よく「根拠はないが"亜弓"っぽい」
といわれるので、不思議だ。
第二候補の「つばさ」と命名されていたら、今以上に
少年エキスが強まっていただろうから、まだ女子の名前と
認識されるだけよかったのだと思う。


話を聞いていると、やっぱり姉は母の血が濃くて
私は父の血の気が多い気がする。
自分がどうしたいか、ではなく、自分がどうすべきか、を
考えるところとか。
母と姉は、周りが何かをしてあげたくなるオーラを纏っている。





宴もたけなわとなった頃に、姉が
「やっぱり孫ってみたいものなの?」と聞いた。

父は



「うーん。まぁ人並みにみたいとは思うけど。

もう君たちがいるしねー」

と言った。


幼いころから父譲りだといわれてきた目から
ぶわってあついものがこぼれそうになった。




もう一度いうけど、宝くじというものを私は買ったことがない。

もし買ったとしても、多分この先もあたることはないと思う。

なぜなら
私は生まれると同時に運を使い果たしているから。



この父と、この母と、この姉と。

このベストメンバーに加われたことが、
人生最大の幸運なんだろう。