小屋入りから閉幕まで | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

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楽屋にて。普段眠っている化粧道具が散在。
アミノカルピスやお守りや七味が(←なぜかは割愛)。

水-初日開幕。本番前にゲネプロがあり、テンションあがる。
二回公演かという位に、思い切りやった。
というか、思い切りやらないリハーサルなんてあったんだろうか。
いや、そんなもったいないことするわけない。


19:25 とうとう本番。

ボス&芽衣さん(孤高のヴァイオリン弾き)の演奏と客いじりから始まるこの作品。
客席からウェルカムな空気が流れていて、
私たちものれるのれる。

観客の方々は視界に入っていたけど、私の眼は何も見てなかった。
ただ、空間を楽しんでいた。

終演後、初日打ち上げを軽く。
ファミリーだなと思う。

木-二日目であり、千穐楽でもある。
早く舞台に出ていきたい衝動にかられるものの、
それはつまりこのメンバーの解散を意味するわけで。

皆とハグしてたらそのことが真実味を帯びてきて
おしつぶされそうだった。

のは5秒くらい。

はやく舞台に出たい。
今が最高。

その気持ちで今日も挑んだ。
今が最高。

そうして瞬間最高値がどんどんあがっていて、
気づいたら幕が閉じていたという感じ。

今日もお客さんをよく見たはずなのに、誰も見えなかった。

ただ、舞台と客席の間には見えない膜があって、
侵せない領域だということがわかった。

「舞台と客席の往来を可能にする切符」が
あるのではないかという幻想を抱いていた自分が
恥ずかしくなるほどに、思い知らされた。

やっぱり舞台から肌で感じる美しい景色は
何にも代え難かった。