「ねえねえ、この曲知ってる?」

「んー?」

「スゴく良くて。私今までこういうの、全然興味無かったんだけど」

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先日友人に誘われて、
オールナイトのクラブイベントTAICOCLUB×電刃/DENPA
遊びに行った時のこと。


HELLO ENDING


今までクラブに行った事と言えば うちのラブがまわす時くらいで、
ほとんど経験のない私は渋谷の円山町という妖艶な街に困惑しながら
どうにか深夜1時頃に会場へとたどり着いた。

クラブというのはそういうものなのかもしれないけれど、
会場は携帯の電波が入らない。

友人と連絡を取ることも出来ずに緊張しながら一人でフロアへと上がると、
薄暗いフロアには お酒と煙草と大音量の音楽が。

「何してんのー?」

「音楽を聴いています」

そしてとても気軽に話しかけて来る殿方たち。

「お酒奢ってあげようかー」

「いえ、大丈夫です」

彼らの勇気あるエネルギーには敬意を込めてお断りさせて頂いた。


最近少し飲めるようになってきたので 私もビールでも買ってみようと奮起し
一人でプルトップを開けていると、友人の姿を発見することが出来た。

「ゴメンごめん、電波無かったね。今からkz君のDJ見に行こう」

「ん、行こう」

歩く無教養の私は、人の名前を極端に知らないので
kz君とはどなたでしょうかと聞くことも出来ずに、
軽く知ったかぶりをしてフロアへと上がった。

大きなスピーカーは大音量で音楽を鳴らしていて、
お腹に当たるバスドラの音が気持ちいい。


「何この曲…初音ミク?」

「知らないの?GooglechromeのCMの!」


知らない曲だった。
知らないのに、大音量で聞く初音さんの声は
一発で私の琴線に触れてきた。痺れた。


HELLO ENDING

Tell Your World/livetune (livetuneというのは、kz君の別名義なのだそう)

最高に格好良くて、気持ちよくて、
そしてちょっと感動してしまった。

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「知ってるよ。良い曲だよね」

「なんだ、知ってるんだ」

「でもおれは、初音よりgumiの方が好きだな」

深瀬は、メンバー内では一番ボーカロイドが好きで、
ベスト版のCDを買ったりしているのだ。
gumiというのはボーカロイドの種類の一人である。

「何か良い曲ある?」

「gumiなら『パンダヒーロー』か『十面相』」

-再生する-

「……格好良いね、、」

「格好良いだろー」

しかし本当に、格好良い。
最早自分でもやってみたい。

久しぶりに新しいジャンルを開拓出来そうな予感です。