「眠れない夜に自転車を飛ばしていたら、
フェスみたいなものをやっているのを見つけたことがあるんだ。
おれはそれに参加したいと思った。だからそれをMVにしよう。」

お酒を飲みながら、
深瀬は遊び道具を見つけた子供のように笑いながら話し始めた。

スターライトパレードのMV撮影。
突然割って入ってきたそのアイディアは、数日間私たちを忙しくさせた。


HELLO ENDING


フェスの名前は『CAN'T SLEEP FANTSY NIGHT』にしよう。

そう話し合ってすぐに、友達でもあり、デザイナーでもある
ヒロカズに絵コンテを書いて貰った。

それを持って意気揚々とスタッフに「どうだ!こんなMV撮ろうぜ!」と提案すると、
「これは1000万円くらいかかりますねえ」と言われ、結局再三修正することになった。


HELLO ENDING

場所の許可を取るのが兎に角タイヘンだった。

撮影したい場所は大抵区や市の役所が管理していて、
撮影しても良い条件は3つだと電話口で言われた。

「①撮影クルーは、全て合わせて15人まで。
②舞台セットなどは組んではいけない。
③夜18時までに撮影を終えること。」

300人のエキストラと、ステージセット、
そして夜の18時以降に撮影をしたかった私たちは
役所ではほとんど「三大悪」を網羅した存在であった。

HELLO ENDING


それでも私は理想の場所の許可を取る為に、
役所にひたすら電話をかけ続けた日もあった。

ひたすら下手に出ながら内容を説明する私に対して、

「はあ?300人?無理むりムリ無理無理、絶対に無理です」と
言われた日には、
汚い言葉で公的機関を罵りながら、
PUNK ROCKでも歌いたい気分にもなった。


HELLO ENDING

やっとの思いで許可が取れる場所を見つけ、
エキストラを募集してからも不安は続いた。

「もし5人くらいしか来てくれなかったらどうするんですか!」

不安過ぎてマネージャーに八つ当たりした日もあった。


HELLO ENDING

撮影は順調に、とはいかなかった。
当日は予定時刻を過ぎても撮り終えることは出来ずに

「予定時刻を過ぎていますが、
このまま参加して頂けるかたはご協力をお願いします」

とスタッフが拡声器で説明した。

夜は大分深くなってきていたけれど、
ほとんどの方々が残ってくれていた。


HELLO ENDING

何時間も立ちっぱなしの撮影になった。

スターライトパレードは口ずさめる程流れ、
流れるたびにエキストラのみなさまは踊ってくれた。

気力と体力と、情熱のぶつかり合いのような撮影だった。

「みなさま、最終カットの撮影です!!」とスタッフが言う頃には、
月も高く上がり、名残惜しさもとうに消え、
みんなで迷わず「イエ~イ!!」と言った。


HELLO ENDING

イエ~イ!

そしてようやく、「あの日」のMVが完成しました。

夢で見たような世界に一歩でも近づけたいという想いで、
仲間たちと撮ったMV。

「スターライトパレード」

楽曲、MV共に心を込めて作りました。
良かったら聞いて、見て、そしてライブに踊りにきて下さい。


HELLO ENDING