「パーマン1号、2号、3号、4号、5号、集合~」

というものをご存知だろうか。

他人の膝の上に 親指から小指へと順番にひとつずつ置いていき
集合~ のところでぐるぐると円を描き
他人にぞわっとする感覚を与える  遊びである。


私はパーマンという方をよく存じないのだけれど
この遊びには小さなパーマンという者たちが
四方八方からシュパっと集まってきて他人に不快感を与えるという
何ともいえぬ無意味さが愛らしく
よく団長の膝に集合させていた。

団長もまた、同じように私の膝に集合させたので
パーマンたちは私達の間で何度も無意味に借り出され
「やめて」「きもちわるいー!」などと罵詈雑言を浴びせられながらも
毎度変わらずその愛らしい不快感を与えてくれていた。

しかしつい先日練習の休憩中に、
団長が振り返りざまに
私の背中にピっと縦に線を引いて ぼそっと言った。

「パーマン一号 のみ」

「えっ」

2号と3号と4号と5号は何処へいったかと問う前に
練習が始まり、彼らの行方はうやむやになっていたが

今日ふと思い出して 団長に聞いてみた。


「ほかのみんなは どこに行ったの?」

「それには哀しい過去があるんだよ」

ほお。即答ときた。


「どんな??」

「パーマンにはカラーがあって、1号は赤なんだけどね」

「うん」

「2号とか3号とか、みんなにもカラーがあって。
青・緑・黄色・ピンク みたいにね」

「それで??」

「彼らはヘルメットを被ってるんだけど、
一人で飛んできたパーマン1号のヘルメットは 赤色だけじゃなかった」

「えっ・・・」

「みんなの色が混ざってたんだよ、青とか緑とかピンクとか。
それも凄くぼろぼろのパーツばかりで出来てる」

「みんなは・・どうしたの」

「言わないんだ」

「どうしても?」

「普段はおとなしい奴で、割と無口な方なのに
一度ヘルメットを「ダサイ」と馬鹿にされて、相手をぼこぼこに殴っちゃった事がある」

「うん」

「それで警察に捕まったんけど、何を聞かれても黙ったままだった。
パーマン一号はある時期からずっと一人で飛んでるけど、
そのヘルメットのことは、絶対に馬鹿にしちゃいけないんだ」


私は聞き入った。
話を聞きながら 想像の悲しみの中で
1枚の絵が浮かんだ。

カラフルでぼろぼろのヘルメットをつけたパーマン一号が
夜空を一人で飛んでいる姿。


「ねえ、続きは?」

「んー・・」

寝てしまった。


気になる。
パーマン1号、私は君の事をもっと知りたい。

手をグーにして、未だに未成年と間違えられる可愛らしい寝顔の作者に、続きを期待。