「ボリショイサーカスのチケットあるよ。行く?」

母がメールをくれた。

私はサーカスが好きである。
共同生活をしながらお互いを切磋琢磨し合い
世界中を旅する団員たち。

何て素敵な仲間なのだろう、と幼心から焦がれていた存在。

制作の渦中であったけれど、
私のサーカス熱はメンバーも知る所であり
この日は特別に作業を深夜にする事で遊びに行ける事になった。

「行く!!わーい!!」

かくして私はボリショイサーカスに行く事になった。
お供には団長を連れて行った。

「サーカスって行った事ある?」

「んー子供の頃にね」

「私も小学生以来!どうしようーわくわくする!」

場所:幕張メッセと書かれたチケットを握りしめて千葉に向かう途中
ディズニーランドのグッズを持った子供達とすれ違う。

幕張メッセへは、どうやら夢の国へと続く京葉線に乗り換える様だ。
動く歩道に載ると
あっという間にミッキーミニー、スティッチやモンスターズインク達に囲まれる。

団長は横で
ディズニーランドから帰って来る人たちの雰囲気 について
様々な比喩表現を一人で繰り広げていた。

彼はよくそういう話し方をする。村上春樹の好きなメタファーである。
私は応戦することもあるが、今日は無視である。
何故なら私はその間に一つのポスターを見つけたのだ。

「もしかして・・もしかしてあんなのかなあ・・」

私が指を指した先には・・


HELLO ENDING-a

さて、皆様この方々をご存知だろうか。


彼らの名前は「シルク・ドゥ・ソレイユ」

註釈すると、我々が向かっているボリショイサーカスではない。

日本語で太陽のサーカスという意味を持つ彼らを
私はこの時ポスター越しに初めて目にする事になる。

続く(メンバーはもうこの話を聞いてくれなくなったので)