近年の日本の夏は、暑い。9月も、暑かった。

 

9月下旬になってから、ようやく涼しさを感じる日が増えてきたが、それでもまだ暑くなる時がある。例えば、26日の東京都心の最高気温は31.7℃だった。特に中旬までは、暑い日が多かった。

 

9月と言えば、13日から、東京で陸上の世界選手権が開催されていた。

 

この日の気温は、東京で30度を超えていた。

 

9月13日に、男子35キロ競歩が行われたのだが、懸念すべき事例が発生した。関連する一部の内容を以下に記す(<蒸し暑さ、苦しむ選手 35キロ競歩、男女17人が途中棄権 世界陸上>、毎日新聞、2025年9月13日配信)。

 

 

<最初の種目の男子35キロ競歩でメダル候補だった川野将虎がフィニッシュ直後に倒れた。日本陸上競技連盟の関係者によると、意識ははっきりしていたが、熱中症と思われる症状で脱水状態になったという>

 

<川野は前半から先頭集団でレースを展開したが、27キロ付近で胸を押さえながら嘔吐(おうと)し、一度立ち止まった。

 

その後、持ち直したものの、順位を落として18位でフィニッシュ。川野はコースを振り返って一礼した途端にふらつきながら倒れ、けいれんを起こした>

 

 

記事によると、この競技で、途中棄権の選手が続出した。男子は50選手の中で10選手、女子は46選手中、7選手が途中棄権したという。

 

この数字について、皆さんはどう思うだろうか。まともに競技ができる環境だったとは、言い難いだろう。

 

この競技以外にも、特に大会の早い時期に行われた競技では、途中棄権をした選手たちがいたと思う。

 

過去の記事にも書いてきたが、何度でも書く。陸上に限らず、なぜ、わざわざ、暑い(そして、高湿度)ことが予想される時期に、スポーツの大会を開催するのだろうか。世界陸上の日程の後半は気温が比較的落ち着いていたが、暑い日が残っていた前半の状況が続いていたら、体調不良の選手がもっと増えていた可能性がある。

 

いつになったら、アスリートが優先されるようになるのだろうか。変わらない状況に、筆者はうんざりすることがある。

 

しかし、変化の兆しもある。例えば、IOC(国際オリンピック委員会)の会長に就任したコベントリー氏が、インタビューで、地球温暖化の影響を考慮して、今の期間(夏と冬)にこだわらず、オリンピック大会の開催時期を議論する必要があると述べた(<IOC会長 “オリンピック開催時期 見直す議論が必要”>、NHK NEWS、2025年9月1日配信)。

 

日本も、スポーツ大会の開催時期を見直す必要がある。例えば、甲子園を真夏の時期に開催するのは、もう限界が来ていると思う。選手の健康を最優先して、各大会の日程を検討すべきだと思う。

 

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