少し前のニュースだが、日本の中学生や高校生の英語力について、英検を参考にすると向上しているという意見が書かれていた。

 

以下、関連する記事から一部引用する(<中3で「英検3級以上」52% 上昇続く、英語力調査>、共同通信、2025年6月23日)。

 

 

<文部科学省は23日、全国の公立学校を対象にした2024年度英語教育実施状況調査の結果を公表した。中3で英検3級相当以上の英語力がある生徒は前年度より2.4ポイント増の52.4%、高3で英検準2級相当以上は1.0ポイント増の51.6%だった。

 

中高とも上昇が続いているが、政府は27年度にいずれも60%以上にするとの目標を掲げており、文科省の担当者は「英語力向上を、さらに加速させたい」としている>

 

 

英検の合格者の割合は、少しずつ増えているのだろう。そのことで、英語力が向上していると言いたいのかもしれない。

 

しかし、上記の記事で紹介されている、英検3級と準2級が該当する、英語力のレベルについてはご存じだろうか。

 

外国語の学習に関して、CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)という基準がある。この基準を参考にすると、英語に限らず、外国語のレベルがイメージできる。

 

CEFRは、6段階のレベルで表現される。もっとも低いレベルがA1、そしてA2、B1、B2、C1とレベルが上がっていき、もっとも難しいレベルがC2である。

 

A1とA2は初級者レベルである。B1とB2は「自立した言語使用者」であり、例えばビジネスで英語を使うのであれば、B2レベルにまで達していることが望ましいとされる。

 

それでは、上記の記事に出てくる、英検3級と準2級は、どのくらいのレベルに該当するのだろうか。

 

文部科学省の対照表には、英検3級はA1、準2級はA2に該当することが記されている。すなわち、どちらの級も、「初級者レベル」ということになる。

 

英語の授業について、現在は小学校でも行われている。そして、中3の時点で英検3級。すなわち、CEFRではA1で、もっとも低いレベルである。また、高3の時点でA2ということであれば、A1よりは良いが、やはり初級者レベルということになる。

 

これだけの時間をかけて、初級者のレベル。もし、英語の語学学校だったら、この期間でこの結果であれば、問題になると思われる。

 

もっとも、学校教育では英語ばかり学ぶわけではない。そのため、語学学校と単純に比較することはできないが、それにしても、勉強に費やした時間と比べて、結果が見合っていないのではないかと思う。

 

それに、2024年度に実施した、小学校の国語と算数、そして中学校の国語と数学、英語のスコアに関する経年変化分析調査(抽出)によると、前回の調査と比べて小中の学力が大きく低下したことが判明したが、その中でも英語のスコアがもっとも低下したことが明らかになっている(読売新聞、2025年8月1日)。英検の合格者の割合が増えた一方で、こういう結果も示されている。

 

筆者は、英語の授業の内容を変える必要があると思う。例えば膨大な数の英単語を無理に覚えさせるような方針は止めて、もっと楽しく、効果的に英語を学ぶことができるように、文部科学省は考えてほしいと思う。

 

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